入院中ノ想ヒ出 2。
2003年2月2日右手を伸ばす。
あとは、その指先にある銀色のドアノブを
軽くひねって、手前に引くだけ。
ほんのちょっとだけ
右手に力を込めればいい。
そうすれば、
扉の向こう側には天国が待っているはずだ。
ドアには
『看護婦休憩所』
というプレートが貼られていた。
『看護婦休憩所』。
どうだろう?男子諸君。
なんかこう、
シャバダバしてこないだろうか?この響き。
病棟の一室に作られたその空間で
『看護婦』が『休憩』しているのである。
もう一度言う。
『看護婦』が『休憩』しているのだ。
常に緊張感を漂わせている看護婦さんが
その場所では気が緩んだ表情を見せるのだ。
パラダイスだろう?
ノッキンオン・ヘヴンズ・ドア!!
「ゲルタくん」
突然、背後から声をかけられる。
のわっ!!
驚きでビクンッと反応してしまう。
多分、2cm程浮いたはずだ。
ちょっとした空中浮揚。
声の方向を見ると、
オレを担当してくれていた看護婦、
Bの人なつっこい笑顔があった。
前日の朝までオレは外科病棟にいた。
手術がなくなったオレは、
『看護婦休憩所』訪問の前日に
内科病棟に移されたのだ。
そして、その移動の日、
Bは休みでいなかった。
Bはオレを担当してくれた看護婦さんだ。
歳が近いという事もあり、
くだらない冗談を言い合えるほど仲良くなった。
だが、
オレの外科から内科の突然の移動で
お別れの挨拶ができなかった。
「遊びにきてくれたの〜?」
ドアの前に立ち、Bは言う。
「うん。
お世話になったけど、挨拶できなかったから。」
嘘だ。
ただ、『看護婦休憩所』に入りたかっただけだ。
「これから休憩に入るの?」
「そうだよ。」
「休憩所、みんないるの?」
「いると思うよ。」
「入れて。」
「ダメ。」
ベツにイイじゃねぇか!!
断られたオレは、
一応、世間話などをしながら
休憩所に入り込むチャンスを伺っていた。
Bがドアを開け、休憩所に入るその時。
その時が最大のチャンス。
しかし、なかなかBは休憩所に入らず、
すでに20分が経とうとしていた。
「そろそろメシ食ったほうがイイんじゃね?」
休憩所に入るよう、促してみる。
おかしな話だ。
休憩させたいなら自分がその場を去ればイイのだ。
「うん、ゴハン食べる。」
Bはそう言うと、ドアノブを回した。
チャンス到来!!
高機動型オレ、発進っ!!
Bの手の上からドアノブを掴み、
無理矢理にドアを手前に引く。
あとは、その空間に身体を放り込むだけ。
『看護婦休憩所』。
きっと空気までもが薄いピンク色なんだ。
甘〜い香りが漂っているんだ。
淡い想いを抱きながら、顔を突っ込む。
が。
ショック!!
オレ、ショォォォォォック!!
白衣を着た看護婦さんがゴロ寝してるっ!!
なんか、顔が死んでるっ!!
リビング・デッド!!
しかも、弁当臭ぇっ!!
オレが想像していたピンクな世界も
甘い香りもそこにはなく、
あるのはただ、
看護婦の集団ゴロ寝と弁当の匂い。
そして、
テーブルの上に散乱してるコンビニ弁当のカス。
そのテーブルの端っこにある爪楊枝はなんだっ!?
歯の間、シーッシーッてやったかっ!?
やったのかっ!?
想像してた世界と
現実とのギャップに凍りつくオレに
追い討ちをかける者がいた。
「ゲルタくん、
遊びにきてくれたの?」
婦長っ!!
おばちゃんパーマの婦長っ!!
「遊びにきてくれたの?」
「ええ、まあ・・・」
「また遊びに来てね。」
「ああ、はい・・・」
二度と来ねーよ!!
そしてオレは
まだ全然馴染んでない内科の看護婦が待つ
内科病棟へと帰っていき、
枕を濡らした。
あとは、その指先にある銀色のドアノブを
軽くひねって、手前に引くだけ。
ほんのちょっとだけ
右手に力を込めればいい。
そうすれば、
扉の向こう側には天国が待っているはずだ。
ドアには
『看護婦休憩所』
というプレートが貼られていた。
『看護婦休憩所』。
どうだろう?男子諸君。
なんかこう、
シャバダバしてこないだろうか?この響き。
病棟の一室に作られたその空間で
『看護婦』が『休憩』しているのである。
もう一度言う。
『看護婦』が『休憩』しているのだ。
常に緊張感を漂わせている看護婦さんが
その場所では気が緩んだ表情を見せるのだ。
パラダイスだろう?
ノッキンオン・ヘヴンズ・ドア!!
「ゲルタくん」
突然、背後から声をかけられる。
のわっ!!
驚きでビクンッと反応してしまう。
多分、2cm程浮いたはずだ。
ちょっとした空中浮揚。
声の方向を見ると、
オレを担当してくれていた看護婦、
Bの人なつっこい笑顔があった。
前日の朝までオレは外科病棟にいた。
手術がなくなったオレは、
『看護婦休憩所』訪問の前日に
内科病棟に移されたのだ。
そして、その移動の日、
Bは休みでいなかった。
Bはオレを担当してくれた看護婦さんだ。
歳が近いという事もあり、
くだらない冗談を言い合えるほど仲良くなった。
だが、
オレの外科から内科の突然の移動で
お別れの挨拶ができなかった。
「遊びにきてくれたの〜?」
ドアの前に立ち、Bは言う。
「うん。
お世話になったけど、挨拶できなかったから。」
嘘だ。
ただ、『看護婦休憩所』に入りたかっただけだ。
「これから休憩に入るの?」
「そうだよ。」
「休憩所、みんないるの?」
「いると思うよ。」
「入れて。」
「ダメ。」
ベツにイイじゃねぇか!!
断られたオレは、
一応、世間話などをしながら
休憩所に入り込むチャンスを伺っていた。
Bがドアを開け、休憩所に入るその時。
その時が最大のチャンス。
しかし、なかなかBは休憩所に入らず、
すでに20分が経とうとしていた。
「そろそろメシ食ったほうがイイんじゃね?」
休憩所に入るよう、促してみる。
おかしな話だ。
休憩させたいなら自分がその場を去ればイイのだ。
「うん、ゴハン食べる。」
Bはそう言うと、ドアノブを回した。
チャンス到来!!
高機動型オレ、発進っ!!
Bの手の上からドアノブを掴み、
無理矢理にドアを手前に引く。
あとは、その空間に身体を放り込むだけ。
『看護婦休憩所』。
きっと空気までもが薄いピンク色なんだ。
甘〜い香りが漂っているんだ。
淡い想いを抱きながら、顔を突っ込む。
が。
ショック!!
オレ、ショォォォォォック!!
白衣を着た看護婦さんがゴロ寝してるっ!!
なんか、顔が死んでるっ!!
リビング・デッド!!
しかも、弁当臭ぇっ!!
オレが想像していたピンクな世界も
甘い香りもそこにはなく、
あるのはただ、
看護婦の集団ゴロ寝と弁当の匂い。
そして、
テーブルの上に散乱してるコンビニ弁当のカス。
そのテーブルの端っこにある爪楊枝はなんだっ!?
歯の間、シーッシーッてやったかっ!?
やったのかっ!?
想像してた世界と
現実とのギャップに凍りつくオレに
追い討ちをかける者がいた。
「ゲルタくん、
遊びにきてくれたの?」
婦長っ!!
おばちゃんパーマの婦長っ!!
「遊びにきてくれたの?」
「ええ、まあ・・・」
「また遊びに来てね。」
「ああ、はい・・・」
二度と来ねーよ!!
そしてオレは
まだ全然馴染んでない内科の看護婦が待つ
内科病棟へと帰っていき、
枕を濡らした。
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