ズルイ女。
2003年3月29日イト。
同じ職場で働くこの女を
オレは甘く見ていた。
正直、タダの愚か者だと思っていた。
正直、なんかヘンなのに
取リ付カレてるんじゃないかと思っていた。
昨日までは。
昨日、送別会があった。
ウチの職場は、
2階が多目的ホールになっている。
飲み会なんかは、
そのホールで催される事が多い。
幹事が酒と食い物を買出しに行くのだが、
昨日の飲み会は、その幹事がイトだった。
イトが買出しから帰ってきた時、
丁度、オレも仕事にケリがついたので
オレは、イトが買い込んできた荷物を持ってやり、
2階の会場を一緒に作る事にした。
机を並べ、
その上に、人数分のコップ、皿を並べる。
そして、刺身やオツマミを並べようとした時、
オレは袋の中に、妙なモノを発見した。
プリン。
グリコ、プッチンプリンであった。
ナゼ、プッチンプリン？
「いやぁ、タカさんが、
いっつも子供達連れてくるじゃないですか。
子供が食べるかなって思って。」
先輩であるタカさんは、
職場の飲み会に、必ず子供を二人連れてくる。
子供対策というワケか。
・・・・・・
フ。
フフフフ。
イトよ、オレを騙せると思ったのか？
イト。
貴様、「子供の為」とか言いながら、
ホントは自分が食いたかったんだろう！！
タカさんが連れてくる子供は二人。
イトが買ってきたプリンは、
3個パックになってるヤツが3個。
プリンが9個。
子供がそんなにプリン食うか？
「いや、みんな食べるかもって思って。」
・・・・・・
食うかっ！！
酒飲みながら、プリン食うかっ！！
プッチンするかってんだよ！！
そうだ。
イトは、そういう女だった。
飲み会の後、残ったオードブルを
まとめて持ち帰り、
それで2、3日食い繋ぐような女だったのだ。
夏場の暑いなかに行われる飲み会でも、
残った刺身まで持ち帰るような女だったのだ。
このプリンだって、
残りを持って帰って食うつもりだったのだ！！
・・・・・・
まあ、イイ。
プリン、食べるがイイさ。
しかし。
コイツは許さん！！
もう一つの袋に入ってた、コイツは許さん！！
納豆。
納豆3パックが2個！！
「え〜、皆食べるかと思って〜。」
・・・・・・
嘘だっ！！
飲みながら食うか？
飲みながら納豆をダイレクトに食うか？
ちうか、貴様。
明日の朝、納豆ゴハンにするつもりだったろ！！
この納豆を持ち帰って、
明日も明後日もその次も
納豆ゴハンにするつもりだったろ！！
なんて計算高い女だ！！
オレらの会費で
こんなん買ってきやがって！！
オードブルだってショボイし！！
コープの寿司だし！！
貴様ぁ、許さ・・・
・・・・・・
文句を言うオレの頭の中に、
昔、イトが話していた事が浮かぶ。
「昨日、彼氏と一緒だったんですけど、
お金無くて、二人で
ゴハンに塩かけて食べたんですよ〜。」
「今日って
『ヨークベニマル、いち・に・さんの市』
じゃないですか〜。
早く仕事終わらせて買い溜めに行かなきゃ〜。」
なんて悲しい女なんだ、イトよ！！
プリン、持って帰りなさい。
納豆も持って帰りなさい。
野菜もちゃんと食べるのですよ。
コメント