毛。
2003年4月26日鼻毛だ。
鼻毛である。
コントによくある
メイクでもしてるのかとも思ったが、
ソレは本物の鼻毛であった。
角度を変えて見たら一目瞭然。
その鼻毛は、なにしろ立体的だった。
3Dだった。
昨日の夜、
オレは、「誕生祝をしてあげるよ」とイウ
友人と共に、市街地の外れにある
一軒の薄汚れた感じの小さな居酒屋に入った。
外見と同様、中も薄汚れていたが、
店内は溢れんばかりの人で賑わっていた。
店主:「今、混んでてねぇ、
そこのカップル席しか
空いてないんだげんちょも、
ソコでいいがい?」
方言マルダシの店主に促されて、
オレと友人はベツにカップルでもないのに
カップル席に座った。
店主:「今、お通し持ってくっから、
ちょっと待っててない。」
そう言って微笑む店主。
ニィッと笑った店主の顔に、
オレはソレを見た。
鼻毛だ。
鼻毛である。
コントによくある
メイクでもしてるのかとも思ったが、
ソレは本物の鼻毛であった。
角度を変えて見たら一目瞭然。
その鼻毛は、なにしろ立体的だった。
3Dだった。
ゲル:「なぁ、今の見たか?」
友人:「うん、見た。
なんか、スッゴイ鼻毛。」
店主がカウンターから離れている間、
オレと友人は、店主の鼻毛について語った。
鼻毛談義。
友人:「あの鼻毛さ、
なんか、毛筆って感じだよね。」
ゲル:「な。
束になってんもんな。
なんか、書初めって感じだよな。
『初日の出』とか。」
友人:「『はまなす』とか。」
ゲル:「あの鼻毛で筆作ったらさ、
多分、高級っていう馬の毛で出来た
筆よか滑らか〜に書けんじゃね?」
友人:「書道の達人だね。」
そんなトリトメノ無い会話をしていると
店主が近づいてきた。
鼻毛談義、一時中断。
店主:「お通し、ちょっと待っててね。
飲み物は何にする?」
相変わらず、見事な鼻毛っぷり。
キップのいい鼻毛の出し方だ。
酎ハイとウーロンを頼むと、
オレと友人は、また鼻毛について語る。
鼻毛談義、再開。
ゲル:「しっかし、スゲェな。
とりあえず、
『バカボンのパパ』って名付けるわ。」
友人:「ボンパパだね。
アレってさぁ、
ワザとじゃないのかなぁ。確信犯。」
ゲル:「ポリシー。」
友人:「伸ばさないとイケナイ理由があるとか。」
ゲル:「宗教?」
友人:「汝、鼻毛を切る事なかれ。」
ゲル:「汝、鼻毛を抜く事なかれ。」
友人:「ヤダねぇ、そんな宗教。」
ゲル:「案外、アレ育ててるのかもな。」
友人:「ガーデニング?」
ゲル:「ガーデニングなんてもんじゃねぇよ。
なんちうの?
自然保護区?」
友人:「ジャングルだね。」
ゲル:「秘境だね。」
友人:「密林だね。」
ゲル:「熱帯だね。
『藤岡弘探検隊シリーズ』!!
我々はジャングルの奥に
信じられない光景を見た!!
隊長!!
鼻毛が多くて前に進めません!!
そんな感じな。」
友人:「アハハ!!
『コブラに襲われる!!』みたいな。」
ゲル:「『人食いアリの恐怖!!』みたいな。」
鼻毛談義に花を咲かせていると、
ボンパパが近づいてきた。
ボン:「ハイ、
こちらはお通しねー。」
オレと友人はお通しの小鉢を見て愕然とする。
友人:「・・・鼻毛?」
ゲル:「ボンパパの鼻毛、
まさか、食材?」
お通しの小鉢を友人に押し付ける。
ゲル:「オマエ、食えよ!!」
友人:「いーやーだー!!」
小鉢の中には、
黒々としたひじきがあった。
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