ドラクエ。
2003年11月3日風邪をひいて、
オレは仕事を休ませてもらい、寝込んだ。
寝込み倒した。
しかしすぐに、寝ている事に飽きてしまった。
非常に暇であった。
日記でも書けば良いのだが、
どうにもそんな気分になれず、オレは、
押入れの中なんかを覗いてみたりしていた。
そして、発見したのである。
ファミコン。
約20年程前、小学生だった時に、
酔っ払った父親のご機嫌をとって
買ってもらった初代のファミコン。
昔は純白だったそのファミコンのボディも、
今ではどうにも黄ばんでいたのだが
TVに繋いで電源を入れると、
そのファミコンは、昔と同じように動き始めた。
なんて物持ちがヨイのだ、オレ。
サスガだ。
ファミコンがあった隣の紙袋を開けてみれば、
当時、ハマッたゲームソフトも何本か出てきた。
そして、その中にソレはあった。
『ドラゴンクエスト』
今でも人気が高いドラクエシリーズの第一作目。
伝説の原点であり、名作中の名作。
オレは、頭に冷えピタを貼り、
トローチをナメながらプレイする事に決めた。
気持ちは20年前、アノ頃のまんまだ。
自分の分身となる勇者の名前を入力し、
王様に会いに行く。
そこから、壮大な物語は始まるのだ。
王様:『よくぞきた
ゆうしゃちんこよ。』
おおっ、勇者ちんこ!!
そうだ。
約20年前、
初めてこのゲームの世界を旅した時も、
オレが勇者に与えた名前は“ちんこ”だった。
勇者ちんこ、約20年の時を経て復活。
そして、勇者ちんこの
世界を救う為の冒険は始まった。
城の外に出て、適当に彷徨い歩いていると
突然、モンスターが現れる。
『スライムがあらわれた!!』
おおっ、スライム!!
この、下衆めがっ!!
『ちんこのこうげき』
くらえっ、ちんこアターックッ!!
『スライムのこうげき
ちんこは1のダメージをうけた』
ダメージを受けた勇者ちんこ。
でも、勇者ちんこが受けたダメージは
ちんこへのダメージではない。
紛らわしいが、それは大事。
よし、今度はこっちから行くぞっ!!
死ねっ、スライム!!
『ちんこのこうげき
スライムをたおした』
フハハハハハハハ、
勇者ちんこに逆らったバツだ。
あの世で眠れ、スライム。
その後も、
勇者ちんこの世界を救う旅は続く。
次々とモンスターを倒し成長していく
オレの分身、勇者ちんこ。
オレは、分身である勇者ちんこを操作しながら
この約20年の事に、想いを馳せていた。
いろいろな障害を乗り越え、
いろいろな出会いと別れがあり、
いろいろな敵とも出会った。
考えてみれば、自分の人生など、
この、ドラクエのようなものだ。
幾度の喜びと挫折があって、今の自分がある。
勇者ちんこの成長はオレの成長であり、
勇者ちんこの強さは、オレの強さである。
約20年の時を経て復活した勇者ちんこは、
強くなったオレの分身であるのだ。
『スライムベスがあらわれた!!』
とぉぅりゃっ!!
ちんこアターックッ!!
『ドラキーがあらわれた!!』
くらえっ、ギラ!!
『リカントがあらわれた!!』
貴様は眠っていろっ、ラリホー!!
物語はどんどん進み、
勇者ちんこはどんどん強くなっていく。
しかし。
そんな中オレは、自分と戦っていた。
自分の指先を襲う、猛烈な痛みと。
この約20年前のファミコン、
動くのだが、さすがに20年前のだけあって、
コントローラーのボタンがフニャフニャで
接触が悪くなっていたのだ。
そして、接触が悪い為、
オレは、勇者ちんこを動かす時に、
コントローラーのボタンを、
力いっぱい連打していた。
その為に、両手の親指が
痛くてたまらない状態になっていたのだ。
それでも、オレと勇者ちんこは冒険を続けた。
スライムを倒し、
ドラキーを倒し、
ゴーストを倒し、
リカントを倒し、
がいこつを倒し、
そして。
『ゴールドマンがあらわれた!!』
画面には、金色のモンスターが現れる。
今の勇者ちんこのレベルでは
少々倒し難い相手だったが、
オレは後には引かなかった。
『ちんこのこうげき』
くらえっ、ギラッ!!
くそ、ゴールドマンには、ギラが効かない!!
『ゴールドマンのこうげき』
ぐわっ!!
さすがゴールドマン、
一発一発がすごい威力だ。
おのれ、ゴールドマンめ・・・
『ちんこのこうげき』
くらえっ!!
ちんこアターッ・・・・・・
ぎゃぁっ!!
指がっ!!
親指が痛ぇっ!!
見てみると、マメが出来ている。
2個も!!
左手は・・・
うわぁ!!
左手親指にも小さいマメが出来ている!!
ま、まさか、ゲームのし過ぎでマメ!?
ドラクエのやりすぎでマメが3個!?
痛すぎる!!
・・・・・・
世界を救う旅に出た勇者ちんこ、
マメを理由に世界を救う事を断念っ!!
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