私ノ人生ト経験ト魂。
2003年12月6日ふと、気が付くと、
同僚のクラキやサトの態度がオカシかった。
バリバリに働いている。
業務終了後の時間なのに、バリバリだ。
自分の席に座って読めばイイ資料も
立ったまま目を通しているし、
いつもより、体や言葉のキレが全然違う。
サト:「クラキさん!!
明日の5時に
○○さんにアポとってあるよ!!」
クラ:「オッケーッ!!
じゃ、明日はまかせて!!」
「まかせて」とか言っている。
いつもは、
「営業なんてダリィ」とか言ってるクラキが
「まかせて」とか言っている。
不審に思いながら
サトとクラキから視線を動かすと、
その先には、
職場の隅っこの応接スペースに、
年末年始のアルバイトの面接に来ている、
素朴な感じの可愛らしい女子高生の姿があった。
ははぁ〜ん。
コイツら、女子高生の手前、
カッコつけようとしているな?
バーカーめーっ!!
女子高生の目に
汚れきったキサマらなんぞ映るかっ!!
女子高生の目に映る事が出きるのは!!
オレっ!!
オレも、面接をしている
女子高生の視界に入る場所、
すなわち、女子高生と向かい合っている
面接官である副局長の後ろに移動する。
そして、女子高生に対して、
オレが最もステキに見えるであろう角度、
右斜め45度に体を向ける。
手にはもちろん新聞。
新聞の株の欄。
苦みばしった顔をしながら
株の値の動向に目を向けるオレ。
なんてカッコイイ大人なのだろうか、オレ!!
さぁ〜、女子高生よ!!
その目に
オレの大人な姿を焼き付けるがいい!!
でも、惚れないで!!(←バカ)
そこに、カワイイけど、
健康サンダルを履いていた女、イトが。
イト:「ゲルタさんって、
ちゃんと新聞読むんですね〜」
まぁな。
大人の男たるもの、
毎日、新聞は欠かさず読むものだ。
大人の男は、
常に世の中の流れを
把握しておかなきゃイケナイからな。
イト:「競馬ですか?」
株だっ!!
その後、
面接をしている女子高生が、
一人で席に座っている事に、イトが気付いた。
見れば、副局長は電話をしている。
どうやら、緊急の用事ができたらしい。
女子高生は、慣れない場所に一人取り残され、
なんだかカワイソウであった。
イト:「かわいそうだから、
コーヒーでもいれてあげようかなぁ」
おお、コーヒー!!
ナイスアイディア、イト!!
早速、オレがコ−ヒーをいれに行くと、
サトとクラキもコーヒーをいれに来やがった。
「オレがコーヒーをいれる!!」
「いや、オレがコーヒーをいれる!!」
「オレがいれるコーヒーはマジにウマイ!!」
「オレのコーヒーは、コクがある!!」
「オレはマンハッタンラブストーリー見てるから
オレのコーヒーはウマイ!!」
「オマエは目薬も入れそうだ!!」
オレがオレがオレがオレが
オレガオレガオレガオレガ
醜い争いを繰り広げる男たち。
ジャンケンの結果、
オレがコーヒーをいれる事になった。
早速コーヒーをいれ、
一人で寂しそうに座る女子高生の元へ運ぶ。
途中、オレは考えた。
そのままコーヒーを出してイイものだろうか?
やはり、大人な男としては、
軽いジョークをトばしたほうがヨイのではないか?
カッコイイ大人は、
いつも、ユーモアに溢れていなきゃイカン。
座る女子高生のテーブルに、
オレは、オレが最もステキな角度、
右斜め45度から入って、コーヒーを置いた。
ゲル:「私の
人生と経験と魂を込めたコーヒーです。
よかったらどうぞ」
女子:「あははは。すみません。」
イェェェェェェェェェェェェェアッ!!
笑ってくれたっ!!
オレに対して、100万ドルの笑顔をくれたっ!!
彼女も『マンハッタンラブストーリー』を
見てるってオレの感は当たったぜ!!
いやぁ、
『マンハッタンラブストーリー』、
見つづけていてよかった!!
ありがとう、宮藤官九郎!!
ありがとう、マンハッタンラブラブ!!
「私の人生と経験と魂」とか言いながら、
ホントはただのネスカフェだったんだけど!!
その後しばらくして、女子高生は、
面接が終わって帰ったようだった。
彼女に出したコーヒーを片付けに行く。
ガーン。
ほとんど飲んでねぇ。
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