昨日の夜、
男達は、ある居酒屋に集まった。
 
集まった男達のチーム名は、『東京ハングマン』。
 
以前、
オレが勤めていた会社にあった秘密組織。
 
主な活動内容として、通販の裏ビデオの購入。
 
昨日集まったメンバーは、
そのハングマンの幹部で、
今でも、時々こうして集まっていた。
 
そして、
『ハングマン飲み会&ボウリング大会』を
定期的に開催しているのであった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「飲み会」とは言っても、
メンバーは誰も飲まない。
 
ナゼならみんな、飲み会の後にある
ボウリング大会の方に本気になっているから、
酒を飲んでフラフラになってボウリングをする事は
避けたいからであった。
 
かと言って、その、誰も飲まない飲み会は
ただのお食事会に終わる事もない。
 
メンバー、誰もが、
自分以外のメンバーに、なんとか酒を飲ませ、
自分だけ優位に立とうという、
そんな考えを腹の底に隠していた。
 
 
「まぁまぁ、1杯飲んでくださいよ〜」
 
 
「やー、オレはいいから、キミこそ飲んでくれ」
 
 
そんなやりとりが続く。
 
テーブルには、
ビールがナミナミとつがれたコップが並んでいたが
誰も、それを空にするものはいない。
 
一見、金の無駄とも思えるが、
ここから、ボウリングの前哨戦、
言わば、心理戦は始まっているのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
結局、
互いに牽制しあい、
誰もがビールに口をつけないまま心理戦は終わり、
そのままボウリング場に向かう事となった。
 
『ハングマンボウリング』。
 
年に2回行われるこの大会に、
メンバーは本気になっている。
 
優勝者に贈られる賞金の為でもあるし、
なにより、『優勝』という名誉の為。
 
マイボウルを使いこなすオレが
優勝候補であることはいつもの事なのだが、
今回は、そのオレに
ライバル心をムキダシにしてくる
一人の男がいた。
 
先輩、ナオさん。
 
 
 
 
ナオ:「オレはここ2週間で、
    6回もボウリングの練習をやった。
    最高スコアは178!!」
 
 
 
 
ほぅ、178か。
 
まあまあじゃないか。
 
だが、そのスコアじゃぁ、
オレに勝つ事はできねぇ。
 
 
 
 
ゲル:「ナオさん、
    この、『ハングマンボウリング』の時は
    先輩後輩、ナシですよ。」
 
 
 
 
ナオ:「おー、構わねーよ。
    まぁ、オレの目の黒いうちは
    ゲルタは
    オレに勝つ事は出来ないけどね。」
 
 
 
 
ふっ。
 
言ってくれるぜ。
 
 
 
 
ゲル:「まぁ、オレのマブタが一重なうちは、
    ナオさんはオレには勝てねーっすよ。」
 
 
 
 
ニヤッとフテキな笑みを漏らすナオさん。
 
 
 
 
ナオ:「まぁ、
    オレの目に、目クソがついてるうちは
    キミは勝てねーよ。」
 
 
 
 
ゲル:「いやー、
    オレの鼻の穴から、
    鼻毛が見え隠れしてるウチは
    負けねーっすよ。」
 
 
 
 
漫画『湘南爆走族』にあったようなケンカを
エスカレートさせるバカ2人。
 
 
 
 
ナオ:「オレの乳首が黒いウチは〜」
 
 
 
 
ゲル:「オレの乳輪が小さいうちは〜」
 
 
 
 
ナオ:「オレのヘソが臭いウチは〜」
 
 
 
 
ゲル:「オレのウンコが臭いウチは〜」
 
 
 
 
ナオ:「オレのチンコが左曲がりなウチは〜」
 
 
 
 
ゲル:「オレの腋毛がフサフサなウチは〜」
 
 
 
 
ナオ:「オレの屁が臭いウチは〜」
 
 
 
 
ゲル:「オレの虫歯が痛いウチは〜」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
どんどんエスカレートしていく
バカ合戦に、他のメンバーから
ストップがかかった。
 
 
 
 
「早く投げてくんない?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ナオ:「ハッキリ言って、負ける気がしねぇ。
    すっげぇ練習したからなー。」
 
 
 
 
ナオさんは、相変わらず強気。
 
 
 
 
ゲル:「ふっ、
    オレだって負けねーっすよ。
    なんせオレは、
    このボールを使いこなす為に、
    肉体改造しましたからねー。」
 
 
 
 
そう、オレは、
15ポンドのボールを自在に操るべく、
腕力、そして握力の強化をしたのだ。
 
 
 
 
ゲル:「酔拳の
    ジャッキー・チェンみたいなもんすよ。」
 
 
 
 
オレは、
オレにとってのヒーロー、
ジャッキー・チェンの名前を出した。
 
 
 
  
ナオ:「ふっ。
    甘いな。
    キミの尊敬するジャッキーとオレ、
    どっちが強いと思ってんだ!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ゲル:「いや、
    ジャッキーじゃないの・・・かな?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そして、ゲームは進んだ。
 
次々と出るストライク。
 
レーンを包む緊張。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そして、試合が終わる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
結果。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
優勝、オレ!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
イェェェェェェェェェアッ!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アイ アム ボウリング サイボーグ!!
 
イェアッ!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ナオさんの最高スコア、107。
 
プププ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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