フロド。

2004年7月13日 日常
 
 
ウチの店には、いろいろな映画のフィギュアや
いろいろな映画に関連したグッズが置いてある。
 
その中の1つに『ロードオブザリング』があり、
ウチの店には、そのグッズもいくつか置いてある。
 
しかし、困った事にオレは、
『ロードオブザリング』を1度も観た事がない。
 
どちらかというと単館系の映画が好きなオレは、
ああいった超話題作的な映画が苦手なのだ。
 
だからオレは、
『ロードオブザリング』をちぃとも知らない。
 
知っているのは、レゴなんとかという人のみである。
 
こういった映画のグッズを扱う仕事をする以上、
これは致命的なことで、
お客にその商品の説明を求められたとき
困ってしまうのは目に見えてるというものだ。
 
ソレは解っていた。
 
解っていたのだがオレは、
なんとなくメンドクサクて、
『ロードオブザリング』を観るのを怠っていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そんなオレに、危機的状況が訪れる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 客:「すみませ〜ん」
 
 
 
 
 
『ロードオブザリング』の
グッズが置いてある場所に張り付いていた客に呼ばれた。
 
 
 
 
 
ゲル:「はーい」
   (うわっ、やっべぇよ。『ロードオブザリング』の棚だよ)
 
 
 
 
 
客がいる場所は、
『ロードオブザリング』に出てくるらしい
いくつかの剣のミニチュアが置かれている場所だった。
 
オレが、最も苦手とするコーナーである。
 
 
 
 
 
 客:「これって、『ロードオブザリング』の剣ですか?」
 
 
 
 
 
ゲル:「はい、これは
    『ロードオブザリング』の剣のミニチュアですね〜」
 
 
 
 
 
知らない事も、
さも知ってるかのように話す。
 
ソレがプロというものであろう。
 
 
 
 
 
 客:「これって、いくらくらいするんですか?」
 
 
 
 
 
ゲル:「これは、5700円ですね」
 
 
 
 
 
 客:「あ〜、結構するんですね」
 
 
 
 
 
ゲル:「そうですねー。
    時々、1種類づつまとめて買う方もいるんですけどね」
 
 
 
 
 
ハッタリである。

1本5700円もする剣を
5本も6本もまとめて買うヤツなんて、そうはいない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
しばらくの間黙って、
数種類ある剣を1本1本手にとって見ていた客が
ふいにオレに質問した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 客:「フロドはどれですか?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ゲル:「フロ???」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 客:「フロドはどれですか?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ゲル:「・・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ピンチ!!
 
オレ、ピンチ!!
 
フロドって何!?
 
映画を観てないから、さっぱりワカラン!!
 
 
 
 
 
しかし、オレはプロである。
 
プロの販売員である。
 
プロである以上、
「解りません」なんて事は言えない。
 
プロである以上、
嘘でも知ったふうな答えを繰り出さなければイケナイのだ。
 
さぁ、どうするオレ!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ゲル:「ああ、フロドですか〜」
 
 
 
 
 
適当に相槌を入れてははいたが、
内心ではオレ、パニック。
 
だいたい、フロドがナニを現す言葉さえかも知らぬのだ。
 
こうなりゃヤケである。
 
こうなりゃイチかバチか、である。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ゲル:「フロドはですねー、
    えーと、
    コレコレと・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 客:「えっ!?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
えっ!?違うの!?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ゲル:「あ、いや、コレです!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
適当に差し出す1本の剣。
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 客:「あ、ホントだー。
    これですねー」
 
 
 
 
 
おおおっ、
適当に差し出したのがフロドだったとは、さすがオレ!!
 
ナイス判断オレ!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
客は、オレが差し出したフロドを買っていった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
仕事が終わって帰り、
その日の出来事を思い、
さすがにこれではマズイだろうと思い、
『ロードオブザリング』を借りて帰った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ああああ。
 
 
 
 
 
フロドって人だったのね。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
***************

 
 
●魔美様。
 
ウチの店って、2階建てなんですよー。
そんで、連絡とるのに
トランシーバーが使われてるんです。
いや、地声でもじゅうぶん聞こえる範囲なんですけどね。
カッコつけてトランシーバー(笑
 
黒猫、
目が合うともう、
その日はヤバイ感じでいっぱいになります。
 
  
 
 
 

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