その日、
オレが店長を務めるオモチャ屋には、
一種、異様な雰囲気が流れていた。
 
その理由は外国人。
 
外国人女性4人組が来店し、
商品を見ては、ナゼか大いに盛り上がっちゃっていたのだ。
 
 
 
「オ〜ゥ!!ガンダ〜ム!!」
 
 
 
とか、
 
 
 
「オ〜、チョビ〜ッツ!!」
 
 
 
とか言っているのだ。
 
異様としか言えない。
 
 
 
 
 
 
  
最近では、
日本のアニメは“ジャパニメーション”などと呼ばれ、
海外での人気が高く、
また、海外でも“コスプレ”や“オタク”などといった言葉が
知られてきているようだが、
彼女達もそういった感じの外国人女性なのだろうか。
 
気になったオレは、
彼女達とコンタクトをとる事にした。
 
すでに、『日本の店長』と呼ばれて久しいオレではあるが、
ここらで、海外に目を向けるのもヨイだろう。
 
この外国人女性達とコンタクトをとるのは、
『世界の店長』と呼ばれる為の、第一歩なのである。
 
ちなみに、彼女達4人の名前は
スージー、ナンシー、バーバラ、ロドリゲスである。
 
もちろん、オレが勝手につけた。
 
 
 
 
 
 
 
オレは、はしゃいでいる彼女達に近づき、その前に立った。
 
オレの存在に気付き、
会話を止めてオレに注目する彼女達。
 
 
 
 
 
 
 
さぁ、オレよ!!
 
ここで彼女達にガツンと英語っで挨拶してやるのだ、オレよ!!
 
 
 
 
 
 
 
・・・・
 
 
 
 
 
・・・・
 
 
 
 
 
・・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
し、しまった!!
 
つい、ノリで彼女達の前に立ってしまったが、
オレは英語がからきしダメな事を忘れていた!!
 
だいたい、オレの高3の最後の英語のテストの点数、解るか!?
 
解るか!?解るか!?
 
8点!!
 
8点のオレには、
なんと言って声をかけていいのかさえ解らねぇ!!
 
 
 
 
 
 
 
困った。
 
彼女達の前に立ちながら、困ってしまった。
 
なんと言って声をかけたらヨイのだろうか。
 
声をかける時はやっぱ、“エクスキューズミー”だろうか。
 
ちうか、“エクスキューズミー”ってなんだ!?
 
“エクスキューズ”ってどういう意味だ!?
 
“エクスキューズ”は知らねぇのに、
“エクスクラメイションマーク”とか、
余計な事は知ってる自分が恨めしい!!
 
ここでオレが「エクスキューズミー」とか笑顔で挨拶したら、
あっちはどう思うのだろうか。
 
イキナリ殴られたりしないだろうか。
 
彼女達がどこの国の人かは知らないけれど、
アメリカ人女性はすぐに訴えるからな。
 
気をつけねばなるまい。
 
ちうか、いつまでも黙っているワケにはいかない。
 
なんでもイイから、軽く挨拶をしなければ!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ゲル:「ソーリー」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ソーリーて!!
 
ソーリーって、
何をイキナリ誤ってるのだ、オレよ!!
 
オレはアレか!?
 
典型的日本人か!?
 
 
 
 
 
 
 
とりあえず気を取り直したオレは、
ゆっくりと、たどたどしい英語で
一番好みのスージーに話し掛けた。
 
 
 
ゲル:「ドゥーユー スピーク ジャパニーズ?」
 
 
 
通じたか?
 
オレとしては、
「アナタは日本が話せますか?」と言ったつもりだが、
通じているのか?
 
すると、スージーの隣にいたロドリゲス、
親指とひとさし指で“少し”というような表現をしてみせ、
 
 
 
ロド:「コニチワ。アリガト」
 
 
 
おおおっ、通じた!!
 
オレのイングリッシュが通じた!!
 
ちうか、ロドリゲスには話し掛けてないけど!!
 
気分をヨクしたオレは、次の質問をしてみた。
 
 
 
ゲル:「ユー、ライク、ジャパニーズアニメーション?」
 
 
 
まったくもって、文法とかを無視した質問だが
彼女達には通じるのか?
 
するとロドリゲス、
 
 
 
ロド:「ウ〜ン、イエス」
 
 
 
おおおっ、通じた!!
 
単語を繋いだだけの質問が通じた!!
 
ちうか、ロドリゲスは黙ってろっ!!
 
オレはオマエじゃなくて、スージーに質問したんだ!!
 
 
 
 
 
 
 
すると、隣にいたスージー、
 
 
 
スー:「◎♪△Φ仝ΘΞ◆〃―∞」
 
 
 
 
 
 
 
さ、さっぱり解らねぇ・・・
 
8点のオレには解らねぇ・・・
 
きっと、
 
「ええ、日本のアニメは大好きよ。
 絵柄もストーリーも魅力的よね」
 
そんな事を言っていたのだ。
 
と思う。
 
 
 
 
 
 
 
それから少しのやりとりがあり、
彼女達は、315円のミニフィギュアを買ってくれて、
いざ、帰ることとなった。
 
なんとも寂しかった。
 
初めて英語で会話した外国人女性が店から出て、
もう、二度と会う事もないのだろうと考えると、
オレはとても寂しかった。
 
せめて。
 
せめて、少しだけでもイイから思い出して欲しい。
 
日本に訪れた時、
こういう男がいたという事を、すこしだけでも思い出して欲しい。
 
そこでオレは、
店に置いてある商品の中から、マッタク売れない
CDつきのお菓子を彼女達にプレゼントすることにした。
 
コンビニでよく見かける、懐かしの名曲が入ったアレだ。
 
 
 
ゲル:「ズィス イズ プレゼント。
    ジャパニーズポピュラーソング コンパクトディスク」
 
 
 
プレゼントが何かを理解したのかどうかは解らないが、
彼女達は、口々に
「ワ〜オ」とか「センキュー」とか言ってくれて、
キャーキャー言って喜んだ。
 
すると突然、
スージーが両手を広げてオレに近寄り、
オレの体を軽く抱きしめてくれた。
 
ハグというのだろうか。
 
外国人女性と体を密着させている。
 
もう、ドキドキであった。
 
ドキドキしながらも、なんか照れくさかった。
 
あと、おっぱいがあたってプヨプヨで気持ちよかった。
 
 
 
 
 
 
 
そうして彼女達は去っていった。
 
オレは、店の外に出て、
店から離れていく彼女達を見送った。
 
 
 
 
 

 
彼女達との出会いは、
なんとなく、気持ちのヨイ時間だった。
 
スージーのおっぱい以上に気持ちよかった。
 
オレは、
その日の出来事を、イイ思い出として胸に刻むと共に、
改めて『世界の店長』を目指す決心をしたのであった。
 
 
 
 
 
目指せ!!外国人のおっぱい!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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