春の陽気に誘われたとでも言うべきなのだろうか、
ちょっとコンビニまで昼飯を買いに出たオレは、
いつの間にか昼飯の事などそっちのけで、
ただ気の向くままに車を走らせていた。

コンビニを通り越して、梅の木が並び咲いてる道をしばらく走ると
隣町の小学校に出る。そして、小学校を斜めにみる場所には
少しの遊具が設置してある小さな公園がある。
快晴の空の下、公園には、近所の奥さんと子供達が
薄手の服を身に纏い、春を謳歌していた。
自分でも気付かなかったが、
車を運転するようになってから十数年、この道を車で走るのは
初めての事だった。いや、車で走るのだけではなく、
この場所に訪れるのさえ、十数年ぶりかもしれない。

そこは、当時14歳のオレが、初めて女の子に告白した場所だった。
 
 
 
 
 
中学2年当時のオレは、なんというか、
ちょっと不良に憧れていた時期だった。いや、オレだけではない。
なんせ、当時はビーバップハイスクールなんかが流行っていたせいか、
男はみんな不良チックな言動をしていたものだ。
オレも、ジュニアハイスクールながら当然ビーバップで、
ビーバップを真似て変形した学ランを着用しては、同級生に、

「オメー、今日のオールナイトニッポン録音してこい。
 録音してこなかったらボコボコだかんなっ!!」

などと言って、同級生に夜更かしさせておきながら
自分は早く寝てしまうという、そんなボンクラ中学生であった。

そんなボンクラ中学生のオレではあったが、
女の子と喋るのは苦手であった。

だが、女の子が苦手とは言えども、やはりそこは好奇心旺盛な中学生。
その旺盛な好奇心の大部分は女性の事で占められていたりして、
“彼女が欲しい”
“セックスがしたい”
“でも、ナニをどうすりゃいいのかイマイチ・・・”
そんな思いでオレの頭は溢れかえっていた。

そんなオレに変化が起きたのは、中学2年のクリスマス前のこと。

オレの後ろの席の女の子、ミサの態度が以前と違う事に
オレは気が付いた。授業中、オレが立ち上がれない程に、
やたらと席を前にして近づいてきたり、休み時間なんかも、
ふと気が付くと、いつもミサの視線を感じるようになっていた。

「アレ?ミサって、オレの事好きなんじゃね?」

そう考え出したらもう止まらない。オレは、
ミサの行動が逐一気になるようになり、いつの間にか、
完全にミサが好きになってしまっていた。

ミサは、可愛い女の子だった。目が大きくて、
口の下、南野陽子ポジションにあるホクロが印象的。
そしてなにより、中学生とは思えぬ程、おっぱいが大きかった。
“巨乳”という言葉が無い当時の言葉で言えば、“ボイン”であった。

オレの決断は早かった。

「ミサに告白する!!」

自分を好きでいてくれてるであろう女の子に告白する。
話は早い。チョロいもんだ。女の子が苦手と言えども、
セックスまで行くのにたいして時間はかかるまい。
決行するのはクリスマスの夜。告白もセックスも聖なる夜に。
オレは、自分の未来が明るいものだと信じて疑わなかった。

だが、ここで問題が。それは、我ながらアホらしいが、
“セックスの仕方が解らない”というものだった。
いや、大体は解る。大体は解るのだが、その、なんというか、順序?
よく映画で見ていたベッドシーンで、
“セックスの際には、ああいう事をやる”というのは知っていたが、
果たしてソレが何のために行われるものかが
当時、不良ぶりながらも
『1/3の純情な感情』を心の中に持っていたオレには、
イマイチ理解できていなかったのだ。
スコラを見ても載っていない。プレイボーイを読んでも載っていない。
当然、アップル通信なんか読んでも載っているワケがなかった。
このままでは、クリスマスのセックスに間に合わない!!

そして、そうこうしているウチに、クリスマスはやってきた。
 
 
 
      (↓下に続く)
 
 
 
 
 

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