32歳になった。
32歳になってしまった。
時計の長い針と短い針が「12」の上で重なった時、
オレは、32歳になってしまったのだ。
まぁ、年齢なんていうのは
社会生活の中で便宜上つけられるものであって
肉体的、精神的になんら関係ないという事は解っているのだけど、
それでも、なんかヘコむ。
まぁ、今日からオレは、
『32歳 独身』として生きていかなければいけないのだ。
またちょっとヘコんだ。
そんな、32歳を迎えたばかりのオレに、
昨日の深夜2時ごろ、電話がかかってきた。
携帯を見てみると、ソレは昔の彼女からだった。
彼女とは、別れてからも友人的な付き合いをしていて、
極、たまに電話で話すことなんかもあった。
その彼女からの電話だ。
(ははぁん、コイツ、オレの誕生日を覚えててくれたのか)
オレは、なんとも嬉しくなって、その電話に出た。
「ゲルタくん、久しぶり〜。
ゴメンね、こんなに遅くに」
「ベツに構わねぇよ」
「最近どう?」
「おお、元気だよ」
型どおりの会話がしばらく続く。
そんな会話をしながらもオレは、
(バカ。オマエの言いたい事はそんなんじゃないだろ?あん?)
そう思っていた。
不毛な会話は続く。
「そういえばゲルタ君、
こないだテレビに出てたよねー」
(バーカ。そんなんどうでもイイじゃないか)
「雑誌にも載ってた」
(ハイハイ。載ってた載ってた)
彼女の口からは、
一向に「オメデトウ」の言葉が出ない。
いつしか、オレの中には、
「自分から誕生日の事に触れたら負け」
そういうルールが出来上がっていた。
「ワタシさぁ、最近疲れやすくてさぁ」
(まぁ、オレと同い年だからねぇ)
「歳なのかなぁ」
(その「歳」ですけど、
今日、オレは32歳になりましたよー!!)
「あ、そうそう。
ミワちゃんね、結婚するんだってー」
(バーカ、そんなことより、もっとメデタイ事があんだろうが!!)
「最近あったかいよねー」
(バアさんかっ!?オマエはバアさんかっ!?)
「そういえば、花見に行った?」
(花見かよっ!!オレの誕生日は花見以下かよっ!!)
と、そこで、
彼女の口調が少し変った。
「あ、そうそう。
そんなことより、ゲルタ君に聞きたい事あったんだよねー」
(キタキタキタキタッ!!
誕生日だろ?オレの誕生日がいつかってことだろ?
ハイ、そうですよー。
オレの誕生日、今日ですよー)
俄然、盛り上がるオレ。
「あのさー、
気になって気になって仕方なかったんだけどさ、
ゲルタ君なら覚えてるかと思って。
昔、『ときめきトゥナイト』ってあったじゃん」
(『ときめきトゥナイト』???まぁ、あったけど・・・???)
「主人公の江藤蘭世の恋人ってさぁ、なんて名前だっけ?」
「真壁くんに決まってんだろうが
このボケェェェェェェェッ!!」
ブチッ
そしてオレは、
また1人、貴重な友人を失った。
オレの32歳は、そんな始まりだった。
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●槙村 了様。
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只今、こちらのリンクが制限いっぱいになってるものですから、
相互リンクできずに申し訳ありません!!
下品で、くだらん日記ですが、
なにとぞよろしくお願いします!!
オレも楽しく拝見させていただきます!!
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