『エロいヤツは髪の毛が伸びるのが早い』
 
 
 
何を根拠にそう言っているのか知らないが、
あちこちでそういう話を聞いたりする。

その定義に当てはめれば、
オレなんかは物凄いイキオイで伸びそうなもんだけれど、
実際はそうでもなく、
どういうわけか、後ろ髪ばかりが長くなってるような気がします。

や、なんちうの?
前髪も伸びてるのは伸びてるんだけど、
おでこが広いからなのかな?
なかなか前髪が伸びてるような感じがしなくて、
後ろ髪ばっかが伸びちゃってるような感じになるんです。
 
 
  
 
 
「後ろ髪ばっかり伸びるのは、
 キミが中途半端なエロだからだよ!!」
 
 
 
 
 
『エロ』という、
どちらかといえばあまり自慢にならない事でも、
「中途半端」と言われると少し落ち込む。

じゃぁ何かい?
『エロ』を極めちゃったほうがいいのかい?
そしたらオレは、きっとキミにセクハラするぜ?

そんな事を言いつつ、
友人の前で後ろ髪をバサバサやっていると、
友人が突然、驚いた声をあげました。
 
 
 
 
 
「あっ!!」
 
 
 
 
 
おぅ、どうしたっ!?
何かあったのかっ!?
 
 
 
 
 
「ゲルタくん・・・
 後頭部の一ヶ所、髪が無くなってるよ・・・」
 
 
 
 
 
へ?
髪が無くなってる???
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「円形脱毛症・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
はぁぁぁ!?
円形脱毛症!?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
嘘っ!?
マジかっ!?
オレの後頭部に円形脱毛症があんのかっ!?

その部分を触ってみると、確かに髪の毛が無い。
もう、鳥肌が立つくらいにスベスベな感触。

うおおおお、ヤッベェよ!!
オレ、ホントに円形脱毛症になっちゃったよ!!

ちうか、ヤベェじゃん!!
これじゃ後ろ髪切れないじゃん!!

どうすんの!?
こういう時はどうすんの!?どこの病院行くの!?

オレ、パニック。
 
 
 
 
 
すると友人、
 
 
 
 
 
「ゲルタくん!!」
 
 
 
 
 
何っ!?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「そこに落書きしてもいいかな?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
な、なんで!?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「記念?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
記念って、何のっ!?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
しかしオレは、
友人の「是非ともお願いします」の声に、
自分の円形脱毛症への落書きを許可しました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
キュッ キュッ(←書いてる音)
 
 
 
 
 
な、何書いてるのかな・・・
 
 
 
 
 
キュッ キュッ
 
 
 
 
 
「SEX」とか、そういう事は書かないでね。
 
 
 
 
 
キュッ キュッ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「よし、出来た!!
 アハハハハハハハハハハハッ!!」
 
 
 
 
 
え?
何書いたの!?
なんでそんなに笑ってんの!?
 
 
 
 
 
「見る?
 落書き見る?」
 
 
 
 
 
オレは、
友人に合わせ鏡をしてもらって、ソレを見てみました。
 
 
 
 
 
と、そこには。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
          o   o
            ・       (←こんな顔)
            o
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ギィィィャァァァァァァァッ!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 

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