ここんとこPCの調子が悪く、
ネットに繋げないで困っていたのだけれど、
そんなオレのS.O.Sに応えて友人がPCを直しに
駆けつけてきてくれました。2人も。
また、遠方からは、
オレの身を心配してくださって
素敵女子がメールをくださいました。
ありがとう。
僕はアナタ方を愛しています。
胸いっぱいの愛をアナタに。
アハン。
はい、愛する人に胸いっぱいの愛を捧げたところで。
ネットに繋げなかった間の出来事。
先週の土曜日、
ウチの地元で、とあるイベントが行われた。
そのイベントとは、
街中の広場でスケボーやダンスなどのセッションを行うというもの。
広場には多くの若者が集まったのだが、
その多くの若者のお目当ては、スケボーでもダンスでもなく、
メインイベントである、
スノーボードのプロのライダー達によるセッションであった。
寒くなってきたとはいえまだ雪が降るには早いこの時期。
街中の広場に人工的に雪を積もらせ、
ジャンプ台やレールを設置し、
そこで、プロのライダー達がテクニックを披露してくれるのだ。
しかも、そのライダー達は、
西田崇、布施忠、笠原啓二朗といった、
国内トップクラスのプロライダー。
このイベントに、地元の多くの若者が動いた。
オレも、すでに若者とは言えぬ立場ではあったが、
その多くの若者に混じって、イベントに参加した。
オレは、プロの姿を間近で見ようと
仕切られた柵の最前列に陣取ってプロの技を堪能した。
なぜ、あんなにも高く飛ぶ事ができるのか。
なぜ、あんなにも足元の板を軽々と操れるのか。
数年前、ワンメイクジャンプにて大ジャンプし、
着地時に、その衝撃で背骨を骨折した経験のあるオレは、
プロの技にただただ見入るばかりであった。
と、その時であった。
オレは、誰かに名前を呼ばれたような感覚に陥った。
どこからか、オレの名前を呼ぶ声が小さく聞こえた気がしたのだ。
注意して耳を澄ませても、聞こえてくるのは
プロの技に熱狂する若者たちの歓声。
オレは、ただの空耳であろうかと、
またプロの技に見入ろうかとした。
と。
「ゲルタさ〜ん」
今度は確かに聞こえた。
若者の歓声に混じって聞き取りづらかったが、
今度は確かにオレの名前を呼ぶ女性の声が聞こえた。
誰だ?
こんな場所でオレの名前を呼ぶのは誰だ?
「ゲルタさ〜ん」
声の主は、またオレを呼ぶ。
後ろを振り返っても知り合いなど誰も居ず、
横を見たり、しまいにゃ上を見たり(空しかないのだが)しながら
結局誰も見つからず視線を前方に戻すと。
いた。
声の主が、両手を上に挙げてブンブンと振りながら
ぴょこぴょこジャンプしているのがわかった。
オレがいる位置から、プロが滑るコースを挟んで反対側、
声の主がオレに懸命に合図を送っていた。
その声の主とは、イト。
イトも、このイベントに来ていたのである。
イトとは、オレが昔、郵便局に勤めていた時代に
一緒に働いていた女だ。
見た目はカワイイ。
だが、残念ながらバカっぽい女である。(過去の日記参照)
スカートにカピカピのお米が付いていたり。
居酒屋で、魚の頭に火を付けてみたり。
こないだ久しぶりに会った時は、最近よく起きる地震について、
「宇宙人の仕業って可能性もありますよね〜」と言っていた。
相変わらずバカっぽかった。
そのイトが、コースの反対側にいた。
そして、何かをオレに伝えようとしていた。
「〇♪∞Θ∈◆◎□§〜!!」
聞き取れない。
離れているうえ、まわりの歓声にかき消されて、
イトの声を聞き取ることができない。
オレは、手を耳にあてがって、「なんですか?」というような
ポーズをとって、イトに「聞こえない」ということを示した。
するとイト、
今度は口を大きく開けて、
一言一言に力を入れて発音している感じで何かを喋っている。
だが、残念ながら聞こえない。
ちうか、アレ。
オレ、読唇術とかできねぇから。
するとイト、
今度はジェスチャーをまじえて何かを言っている。
しかし、そのジェスチャーが何を現しているか
全然見当がつかず、オレは、ただただ「なんですか?」の
ポーズを繰り返すばかりであった。
と、その時オレは気づいた。
「電話すりゃいいんじゃねぇの?」
オレは、携帯を取り出すと、
イトに向かって携帯を指さすポーズを作ってみせる。
さすがにバカなイトでも、それが意味する事に気付いたらしく、
バッグから携帯を取り出した。
オレは、メモリの中からイトの番号を探すと、
イトの携帯に電話をかけた。
「な〜、はじめから電話くれりゃよかったんだよ」
マワリの雑音に混じりながらも、
今度はイトの声はハッキリ聞こえた。
「そうですよねー。
あ、今からそっちに行きますね」
イトは、電話を切ると、人込みの中に入っていった。
数分後。
「ゲルタさ〜ん」
今度はハッキリとイトの声が近くで聞き取れた。
オレは、イトの近くまで行く。
「ゲルタさんも今日来てたんですね」
「うん、来てたよ」
そんな会話をしながらオレは、
ふと、さっき、イトが口を大きく開けて
オレに伝えようとしてた事はなんなのか、それが気になった。
「そういえばさ、さっきなんか言ってたじゃん。
口をおっきく開けてさ」
「そうですよ〜。
ゲルタさん、気付いてくれないんですもん」
「いやいやいや、オレ、読唇術とかできねぇから。
口の動きだけで言葉を読み取るとか無理だから。
んでアレ、なんて言ってたの?」
「いや、“こんにちは”って」
「え!?」
「こ、ん、に、ち、は、って」
オレは、
そんなイトを可愛らしいヤツと思いながらも、改めて思った。
この女、バカだ。
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