センチメンタルオレ。
2006年3月21日 日常 コメント (22)『お互い、30歳になっても
まだ結婚してなかったら、その時はオレ達結婚するべ。オッケー?』
『うん、わかった』
彼女を見た瞬間、
オレの頭の中の深いところに埋もれていた記憶が蘇る。
ソレは、10年も前に、オレと彼女が交わした約束。
当時、彼女とオレが最後に会った日に、交わした約束。
あれからもう10年経った。
あの頃のオレ達は、お互いのそんな関係が
いつまでも続くと思っていたのだけれど、現実はそうではなく、
2人の距離はだんだんと離れていき、
そして、いつの間にか10年もの時間が流れていた。
その間に一度、彼女から年賀状が来て、それには、
『私の男友達はゲルタだけなので、いつまでも仲良くしてください』
と書いてあったのだけれど、
結局、オレ達は顔を会わせる事無く、時間は過ぎた。
10年ぶりの再会。
昨日、ウチの店に、彼女がやってきた。
彼女の名前は、マー。
「もしかして、ゲルタくんじゃない?」
声をかけてきたのはマーの方だった。
久しぶりに会った彼女は、相変わらず背が小さくてお洒落でカワイイ。
「もしかしなくてもゲルタだよ」
オレは、そんな悪態をつきながらマーに返事をする。
「ゲルタくん、全然変ってないよねー」
マーは、そんな事を言う。
その言葉を聞きながらオレは、「マーは変った」と思った。
見た目は変ってなかったのだけれど、
昔とは大きな違いがあった。
1つは、
オレの事を呼び捨てでなく、「ゲルタくん」と呼んだこと。
そしてもう1つは、マーが小さな女の子を連れていたこと。
ソレは、決定的なことでもある。
オレとマーは、中学校の同級生であった。
マーの席は、いつもオレの後ろ。
後ろからマーは、授業中に
どーでもいいような内容の手紙をまわしてきたり、
オレに、悪戯をしてきたりする。
オレは当時、ミサという女の子と付き合っていたのだけれど、
オレとマーは、友達として、仲が良かった。
オレとマーは、それぞれ別の高校に進学してからも仲が良かった。
むしろ、中学校の時よりも高校に入ってからの方が仲が良くて、
ミサと別れたオレは、毎朝マーと一緒に学校に行っていたし、
よく、夜中に長電話したりしていた。
友達として。
一度、学校をサボったオレが、マーが通う女子高まで行き、
その敷地に張り巡らされてるブロック塀によじ登って、
「お〜い、マー〜!!」と、
授業を受けてるマーを、教室の外から呼んだ事がある。
するとマーは、授業中にもかかわらず
オレに向かって両手をブンブンと振って
「ゲルター!!」と叫んで応えて、先生に怒られていた。
オレは、そんなバカなマーが友達として大好きであった。
しかし、友達という括りからはみ出したのは、オレの方からであった。
オレは、いつの間にか、マーが好きになっていた。
ある朝、いつものように一緒に学校に行く途中、
オレは、マーに告白する。
しかしマーの答えは「NO」。
「ゲルタとは、いつまでも友達でいたいんだよ」
マーはそう言った。
それでもオレは、マーが好きで好きで、
どーしようもなく好きであった。
そして、マーに告白すること、高校3年間のうちに3回。
しかし、結果は全て、「NO」。
それでもナゼか、オレとマーの友達としての関係は不思議と続いた。
お互いに彼氏や彼女ができてもオレとマーの関係は続いて、
時にソレは、互いの彼氏や彼女の嫉妬の対象になる事もあった。
それでもオレとマーの関係は続き、
ソレは、20歳を越えてからも続いた。
2人は「いつまでも友達」、
オレは、マーの言うとおりに、ソレが続くのだと思っていた。
22歳の時である。
オレとマーが、一緒にスノーボードに行った帰りの事である。
オレが運転する車の助手席に座っていたマーが、突然言った。
「高校の時さ、ゲルタがアタシに告白してくれたよね?」
オレは、突然そんなことを言われて恥ずかしかったのだけれど、
なんとか平静を装って
「うん、3回も告白した」と応える。
「アレ?3回だっけ?」
そう、3回。
「なんか今さらだけど、ゴメンね。
アタシ、あの時は彼氏がいたからさ・・・」
うん、知ってた。
知ってて告白したんだもん。
他の男にとられるのがイヤで。
「そうなんだ・・・
でもさ、アタシさ、
中学校の時、ゲルタの事好きだったんだよ?知ってた?」
知らなかった。
中学校の時といえば、オレはミサと付き合っていた頃だ。
マーとは、単に友達として仲が良かっただけだと思っていた。
「でしょ?
だから、おあいこだよね?」
ベツに、おあいことかそんな事はどうでもいいのだけれど、
オレは、「まぁね」と応える。
すると、マーは、
「なんか、すれ違いって感じでカッコイイよね?」と、
悪戯っぽく笑った。
すれ違い。
マーがオレを好きだと思ってくれた時はオレに彼女がいて、
オレがマーを好きになった時はマーに彼氏がいた。
まさしく、すれ違いである。
オレとマーは、友達として付き合いながら、すれ違ってきたのだ。
「じゃあさ、」
だからオレは、そんなマーに、言った。
「じゃあさ、お互い、30歳になっても
まだ結婚してなかったら、その時はオレ達結婚するべ。オッケー?」
するとマーは、また悪戯っぽい笑顔を見せながら
「うん、わかった」と短く言った。
そして、オレとマーは、初めてキスをした。
しかしその後、
ソレを境にしたかのように、
オレとマーは、一度も顔を会わせることが無くなった。
突然である。
突然、2人の関係はぱったりと止まった。
電話も無くなれば遊ぶ事もなくなり、10年間。
30歳を前に、友人伝いに、
どうやらマーが結婚したらしいという話は聞いていたのだけれど、
オレの中でソレは、「へぇ〜」といった感じの事であった。
そして、10年が経った。
そして昨日。
ウチの店に、偶然、マーがやってきた。
10年ぶりの再会である。
マーは子供を連れていて、
そしてオレを「ゲルタくん」と呼ぶ。
「ゲルタくん、全然変ってないよねー」
オレは、そんなマーに言った。
「“くん”とか付けてんじゃねぇよ」
するとマーは、「あはは」と笑い、
「そうだね、ゲルタだねゲルタ!!」と言った。
そして、オレとマーはお互いの近況などを話し合う。
マーが結婚したこと。
オレが結婚してないこと。
仕事のこと。
子どものこと。
オレとマーは、久しぶりに、昔のように話をした。
しばらくすると、マーが連れていた子供がグズり始め、
オレとマーの会話に水をさす。
マーは、しゃがんで子供の目線に自らの視線を合わせると、
グズっている子供に、何かを言い聞かせた。
その姿はもう、しっかりとした母親といった感じである。
「じゃ、子供がうるさいから、もう行くね?」
そう言うと、マーは、子供の手をひく。
オレは、そんなマーの姿に、「変ったな」といった印象を持った。
見た目は変らないけど、どこか落ち着いた感じだ。
オレは、「もう行く」というマーに、「おう」と応える。
すると最後に、マーが言った。
「ゲルタさ、昔、車の中で言った事覚えてる?」
オレは、「うん」と応える。
するとマーは、
「結婚しちゃった。ゴメンね」
と昔のように悪戯っぽく笑った。
その悪戯っぽい笑顔は、昔のままであった。
コメント
仲良くしていればいつのまにか好きになってしまいそれが原因で友情が崩れることも度々;;
ゲルタさんたちの関係はフワフワで気持ちよくなります(´∀`)
マーがとっても素敵。
いつも面白いコト中心のブログなんで、そのギャップにかなりやられましたね。
そこらに売ってる下手な恋愛小説より切なかったです。
そんな彼女と素敵な思い出があるゲルタさんも素敵です。
私もこんな約束、
した事あるかも・・・。
彼は今どうしているんでしょうか。
幻滅されたら嫌だから、会いたくないな(笑
ゲルタさんもマーさんもイイ!ъ( ゜ー^)
そんな二人だから、いい関係が築けたんでしょうね〜いいなぁ♪
男女の友情ってやっぱ成立できないことないんだな。
ホント恋愛小説のようだね・・・。
この前はウチにカキコありがとう♪(#^ー°)v
感動しました!!
ステキすぎ。
鈍い刃物で切られたみたいな感じ。
ゲルタさんのお話は切ないいいお話なのに、私のは笑い話にしかならない〜。
今回のお話とても感動しました。
いつもメスブタとか
面白いことばかり書いていらっしゃいますが
きっと文才のある方なのでしょうね。
とてもいい文章を書く方だな、と思いました。
私もオナラとかばかり書いてないで(汗。)
見習いたいと思います。
自分はしょっぱいことばかり書いてますがちょくちょくチェックしてくださいね。
私も考えさせられました。
アタシは彼の気持ちに気づいていながらも、絶対に告白させないようにずっとずっとがんばってました。
ある年のクリスマスイブにごはんを食べた後、夜景のキレイなところにドライブに連れて行ってもらい、そこで言われました。
「15歳の頃からのオマエを俺は全部知ってる。30歳までこの関係が続いたら俺らは人生の半分を知ってることになるよな? もし30になってもオマエが結婚してなかったら俺が嫁にもらってやるから、安心しろ」ってね。
…そんなことを言ってた彼は28歳の時に、アタシより先に結婚しちゃいましたw
内心、手も繋いだことがない関係を続けられたことにホッとし。
内心、あの約束を思い出すと寂しくもなり…。
センチメンタルですよね〜。今では年賀状だけが彼との関係を繋いでいます。
しばらくひそかに読んでいるだけでしたが、どうしてもコメントしたくなりました。
すごいですよ、アナタ。
私が相互リンクしている方がゲルタさんの日記をお気に入り登録されていて、なんとなく拝見してからすっかりハマっております。
相互リンクはいっぱいいっぱい状態だと書かれていたので希望は出しませんが更新を楽しみにしている隠れファンがいることをお伝えしておきたくて(笑)。ゲルタさんは本当〜に文才がありますね!あんなにテンポのいい文章は私には書けません。脱帽です。
ちなみに私は男女の友情はあまり成立しないと思うタイプで、男友達はものすごく人選をして「例え無人島で二人きりになっても何も起きないような人(=人間的には好きだが生理的に受け付けないカンジ)としか友達付き合いはしなかったんですよね〜。万が一友情が壊れちゃうようなことがないように(笑)
だから二人で飲んでて「この二人カップル?」って見られたら絶対やだなぁ・・・って思いながらグチ聞いてもらったりしてました。
今仕事中で、社長が5メートル先くらいで○○部の××さんを怒鳴りつけてる最中なので、これから私も真面目に働きまーす。
なんか、いっぱいコメントいただいちゃって
ありがとうございます!!
●dai様。
男女の友情、存在するものだと思いたいです。
確かに、途中でどちらかが一線を越えてしまったがために
友情さえもなくなってしまうっての、ありますよね。
ソレはそれで気持ちに従った結果だから仕方ないけど、
それでも、そこからまた続くような男女の友情なら
ソレはサイコーだと思います。
●しまこー様。
うはは、ありがとうございます!!
オレも切なかったですよー。
相手は結婚、なのにオレは・・・みたいな(笑
●こんぺいとう様。
ありがとうございます!!
マーは、すげぇ素敵な女性でした。
バカですけど。
もう、オシャレでかわいい女の子でした。
バカですけど。
でも、そんなバカな女の子だから
オレ、好きになっちゃったりしたんですよねー。
●xYUKIx様。
ありがとうございます!!
やぁ、そんなに仰っていただけるとは、恐縮です!!
やー、いつもは下品なことばっか言ってるので、
たまにはこんなのも、って感じで。
結構落ち込みながら書いてたんですけどねー(笑
●コロボックル様。
おお、コロボックル様も、そんな約束をされましたか!!
結構、みんなやってると思うんですよねー。
でも、ソレが果たされた人は少ないのかなぁ、なんて思います。
人間、長い間会わないと、
そこにいろんな変化が生まれますもんね。
心情的にも肉体的にも。
1番は外見だったり、なんてこともありますもんね。
初恋の人がすっげぇオヤジになってた、とか(笑
●angelkiller様。
あははははは!!
うぉぉぉ、angelkiller様ぁぁぁぁっ!!
●ヴァルハート様。
やー、もう、センチメンタルですわー。
気分的にはもう、オレの中ではすっかり秋になってます。
●暁様。
や、ありがとうございます!!
恐縮です!!
●麗様。
や、ありがとうございます!!
男女の友情、難しいかもしれないけど、
成立させたい、と思うんですけどねー。
いや、オレはソレを破ってしまったんですけど(笑
●パステル様。
や、ありがとうございます!!
恐縮です!!
●enjoy様。
もう、オレも切ないっす。
切ないどころかどよ〜んとしてます(笑
マーはオシャレで可愛くて
性格もいい、とてもイイ女なんですよー。
こんな田舎に置いとくのがもったいない子です。
●D.K.Verno様。
毎度ありがとうございます!!
や、ありがとうございます。
「鈍い刃物」ってなんかいいですね!!
そんな表現ができるのって、スゴイです!!
●ベビーオイル様。
わはははは!!
ありがとうございます!!
やべぇ、そんな風に仰られたらもうオレ、
ズッキンドッキンです!!
●魔美様。
おお、魔美様もそんな約束を!!
やっぱ、しますよね、こういう約束。
てか、今度その話を、詳しくきかせてください!!
根掘り葉掘り!!(笑
●JUNOESQUE様。
や、ありがとうございます!!
そんな、文才だなんてとんでもないです!!
オレも普段は、70%くらいで下品なこと書いてますから!!
いやぁ、オナラ、サイコーですよ。
大好きです、オナラとかそういう話!!
●クマ♂様。
や、こちらこそありがとうございます!!
そんな、しょっぱいだなんて!!
オレも相当しょっぱいですよ!!
しかもショボイです、オレ!!
●chie様。
男女の友情、難しいですよねー。
でも、成立できるもんだと思いたいです。
オレはダメにしちゃったんですけど(笑
●めぐさん様。
おお、めぐさん様もそんな約束を!!
しかし、その彼さん、30を前に結婚しちゃったのですか!!
自分で言っておきながら!!
でも、こういうの思い出すと切ないですよね。
いい思い出になるか悲しい思い出になるかは
自分次第なんですけど、ね。
●みゆぅ様。
いやいやいやいや!!
すごいだなんて、そんなことないっす!!
もう、普段はほぼ下品な話ばっかですから!!
や、コメントくださってありがとうございます!!
はじめまして!!
コメントくださってありがとうございます!!
や、そんな、隠れファンだなんて!!
勿体無いお言葉!!
ああ〜、男友達はものすごい人選をする気持ち、わかります。
友達だと思ってた人がイキナリそういう風になったら、
ちょっと困っちゃいますもんね。
てか、今仕事中ですか!!
しかも社長、ご機嫌ナナメ!!
わははは、ダメじゃないですか!!
お仕事お仕事!!(笑