『その女を笑わせろ!!』
 
 
 
その時ソレが、オレに与えられた使命だった。
女の子を1人、笑わせるだけ。
ただ、それだけのこと。
 
 
 
「ふふふ、余裕じゃないか」
 
 
 
女の子を前に、オレは、密かにほくそえむ。
 
 
 
「女の子を1人笑わせるなど、オレにとっては容易いことだ。 
 赤子の手を捻るより簡単だぜ。
 捻ったこと無いからわかんないけど」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
この話のきっかけは、ヨーだ。
ヨーとは、ちょっと前まで一緒に働いていた女。
そのヨーから連絡が来たのだ。
 
 
 
「アタシとアタシの友達とゲルタさんで、飲み会やりませんか?」
 
 
 
なんでも、ヨーの友達の女の子が元気が無いのだという。
もう結構前になるのだけれど、好きだった人にフラレてから
あんまり元気が無いのだという。 
だから、
「一緒に飲み会でもやって元気付けてあげれませんか?」とのこと。
「ゲルタさんなら元気づけてあげられるかなーと思って」とのこと。

ふ。バカな。
ナゼにオレがフラレた女を元気付けてあげなければならないのだ。
だいたいその女は、未だに元カレをひきずっているのだろう?
オレになんの得があるというのか。
オレはそんなに安くねぇ。
 
 
 
「でもね、その子、バカで面白い人がタイプなんだよ?
 ゲルタさんならピッタリかなーって」
 
 
 
マジか?
という事は、展開次第では・・・
 
 
 
「そうそう、チャンスある」
 
 
 
いや、だけどな。
バカで面白い人がタイプと言いながら
最後は結局イケメンに持ってかれたりするんだ。
結局その子も、容姿とかを気にするんだろう?
 
 
 
「気にしない気にしない。
 その子、スーちゃんていうんだけど、
 ナゼかイケメンよりブサイクなほうが好みなんだよねー
 アタシはイケメン以外には反応しないけどね」
 
 
 
オメーの事はどーでもいいよ。
つーか、マジでか!!
その子はイケメンは好みじゃないのか!!
 
 
 
「うん、そう。
 ね、いいでしょ?
 だから一緒に飲もうよー」
 
 
 
まぁ、そこまで誘ってくれるならば無碍に断るのも失礼だろう。
よし、わかった。
このオレが、ほんの少しだけチカラを使って、
そのスーちゃんだかランちゃんだかって子を
笑わせてやろうじゃないか。
 
 
 
ヨー:「キャー、ゲルタさん、お願いねー!!」
 
 
 
おう、まかせておけ!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
・・・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
あっ!!
もしかして、「ブサイクな人」って事で
オレに白羽の矢を立てたんじゃあるまいな!?
 
 
 
「違う違う!!バカな人で!!」
 
 
 
そっちでもあんまし嬉しくないわっ!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
そして始まる飲み会。

オレの目の前にいるスーちゃんんという女の子は、
なかなかステキな女の子であった。
そんなスーちゃんに、オレを紹介するヨー。
 
 
 
ヨー:「この人はゲルタさん。
    つい最近まで一緒に働いてたんだけど、
    最近、短気を起こして仕事を辞めました」
 
 
 
オメー、そういう
オレにとってのマイナスポイントを言うんじゃねぇよ!!
 
 
 
ヨー:「だから現在無職です」
 
 

オメー、またそういう事を言う!! 
いや、ハローワークには行ってんの!!
あと、知り合いの古着屋をちょっと手伝ったりしてんの!!
 
 
 
ヨー:「ゲルタさんってねー、なんかすっごい笑えるんだよー」
 
スー:「そうなんだー」 
 
 
 
いやいやいや、全然たいした事ないですよ。
 
 

ヨー:「ゲルタさん、スーちゃんの事笑わせてやってよ。
    この子、最近元気ないから」
 
 

お、おう!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
しかし、いきなりそんなこと言われて困るオレ。

やはり、笑いというのは流れがあってこそのモノなのだ。
何もない所に笑いを生み出すなんてのは、ほぼ不可能と言ってよい。
一発ギャグでもやればいいのか?
いや、オレはそんな一発ギャグなんて持ってない。

人を笑わすなんて簡単だと思っていたけど、
オレは、実際その場面になってみたら困ってしまった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ど、どうしよう。
 
 
  
ヨー:「ゲルタさん、
    面白い体験談がいっぱいあったじゃないですかー。
    面白体験談すればいいんだよ!!
    あ、あれあれ!!あの、紅茶の話!!
    あの話、アタシすっごい笑ったもん。
    あの話きかせてあげなよー」
  
スー:「紅茶の話ですか?」
 
 
 
 
 
喰いついてきたスーちゃん。
 
 
 
 
 
え、ああ、そう、紅茶の話。
いや、たいして面白いお話じゃないんですけどね。

オレね、紅茶が好きなんですよ。
でね、昔、紅茶が好きで、紅茶にすっごい詳しい女の人と
お話する機会があって、
オレ、調子にのっていろいろお話してたんですよ。
そしたらその女の人に、

「紅茶の中では何が好きですか?」

って、そういう事訊かれたの。
 
 
 
ヨー:「そうそう、それでこの人、
    そう訊かれてなんて答えたと思う?」
 
スー:「さぁ・・・なんて答えたんですか?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「リプトンです」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ヨー:「あはははは!!
    バカだよねー!!
    “リプトンです”だって!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
スー:「・・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
あ、スーちゃんは理解してないんですけど!!
 
いや、この話はですね、
女の人が「何が好き?」って訊いたのは
ダージリンとかセイロンとかアールグレイとか、
そういう種類のことだったんだけど、
オレ、知ったかぶりして「リプトンです」って
力いっぱい答えてしまったという・・・
ってダメだよ!!
説明してるようじゃ面白くねぇよ!!
 
 
 
ヨー:「じゃ、ゲルタさん、アレだよ!!
    ディズニーランドの話!!
    プーさんの話!!」
 
 
 
おお、プーさんの話な!!
よし、プーさんの話するか!!
イヤ、オレね、プーさんが嫌いだったんですよ。
 
 
 
スー:「どうしてですか?」
 
 
 
いや、だってアイツ、プーさんって呼ばれてるじゃないですか。
ミッキーだのミニーは
「ミッキーさん」「ミニーさん」っては呼ばないのに、
プーさんだけ「プーさん」って「さん」がついてんの。
オレ、どうしてかなーって考えて。
それでね、オレが思うに、
「プーさんはきっと、結構歳とってんじゃねーのー」って。
そう思ったワケですよ。
だからみんな、尊敬の念を込めて、「さん」つけてんの。

でも、プーさん、いい歳こいてんのに、
「ハ〜チ〜ミ〜ツ〜」とか言ってるワケじゃないですか。
「甘ったれんじゃないよ」って。
「いい歳して、甘ったれてんじゃないよ、アンタ!!」って。
オレ、そう思ったのね、
だから、ディズニーランドに行った時、
キグルミのプーさんにいたずらしようとしたの。
後ろからそーっと忍び寄って、カンチョーしようとしたの。
そしたらプーさん、いきなり振り向いたんですよ。
 
 
 
スー:「うん、そして?」
 
 
 
そしてね、プーさんと目が合ったのよ。
 
 

スー:「うん」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
プーさんの目がキレイでさぁ・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ヨー:「バカだよねー。
    そんなの、プラスチックだっつーのね!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
スー:「・・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
あ、これもダメだ!!

ヤベェぜ、ヨー、ヤベェぜ!!
スーちゃん意外と強敵だぜ!!
あとは何ある?何ある?
 
 
 
ヨー:「じゃ、アレ!!
    血を吐いて死にそうになりながら
    エロビデオを返しに行った話!!」
 
 
 
バカ!!
初対面の女の子にエロビの話なんかできるか!!
 
 
 
ヨー:「じゃ、お尻をハチに刺された話!!」
 
 
 
おお、そうな!!
あの話な!!

や、11月頃にパンツを外に干してたんですよ。
で、夕方取り込んで、次の日の朝、
そのパンツに履き替えたんですよ。
その日の夜、仕事が終ってから飲み会があったから。

そしたら、急に肛門に激痛が走ったの。
「すげぇ痛ぇ〜」とか思って、パンツ脱いだらね、
寒くて飛べなくなってるクマンバチが、ボトッて落ちてきたの。
そんでオレ、肛門をクマンバチに刺されて、
もう、痛くて痛くてヤバかったんですよ。
でも、我慢して仕事に行ったのね。
でも、遅刻しちゃったのよ。
で、遅刻するとヘンな紙に理由書いて提出しなきゃいけないから
オレ、仕方なしに書いたんですよ。正直に。

遅刻理由、「肛門をハチに刺された為」って。
 
 
 
スー:「・・・・・・」
 
 
 
あ、ダメだ!!
この話じゃねぇ!!ちきしょう!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
それからも、スーちゃんを笑わそうとして
ヨーと一緒にバカ体験談を続けるオレ。

5000円拾って母親に届けたら、
1000円貰って5000円は取り上げられた話。
父親がウチの飼い犬を「泳いでみろ!!」と言って川に投げ込んだ話。
キシリア姉さんに頭をフォークで刺された話。
子供の頃、小泉今日子を意識してオカッパにした女の子に
「キミはウォーズマンに似てるね」と言って泣かせてしまった話。
その他諸々。
 
 
 
 
  
しかし、スーちゃん。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
スー:「・・・・・・ふ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
愛想笑いだよ!!
完璧心から笑ってねーよ!!

ちっきしょう、頭に来たぜ!!
人がこんなに努力してんだから
面白くなくても笑ってるフリくらいしやがれこの女!!
 
こうなったらもう、アレしかねぇぜ。
あの話しかねぇ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「いや〜、ジツはチンコがさぁ・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ヨー:「ちょっとアンタ、何言ってんの!?
    女の子に下ネタ話さないでよ!!」
 
 
 
うるせぇよ!!
しょーがねぇべ?
もう、あれだけ話したのに反応が無ければ、
あとはチンコとウンコの話しかねぇだろうが!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
スー:「プッ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
え!?
そこで反応!?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

コメント

べるの
D.K.Verno
2006年5月31日14:47

まーいどでっす☆
下ネタはまぁ拒絶する人もいますが
基本的にはオッケーなんじゃないですか?
よっぽど人の悪口みたいなんで笑うよりいいですわ。

遅レスですが、
タンポンはそんなに痛くないんじゃないかなーと思います。
あんな流し台の水をかける、見たいな量は普通出ませんし
出たら出たでそりゃ病気でしょ、みたいな…

仁義
仁義
2006年5月31日18:57

ゲルタさんの話でなかなか笑わないとは相当の強敵ですね^^;
僕なんかこの日記を読ませていただいて何度笑ったことか・・・w
ゲルタさんの日記を読んでいると元気が沸いてきますね^^

chie
2006年5月31日21:18

相当手強かったのですね…。
私はゲルタさんの過去ログのプーさんの話で身悶えして爆笑してたクチなのに(笑)。

すぐ反応して豪快に笑う時がないと失恋の痛手なんてなかなか消えていかないような気がするのに…。

JUNOESQUE
2006年5月31日22:07

こんばんわ♪

私もスタバで過去日記見ながら
ひとりで笑っています。(かなりあやしいはず!)

でも、たくさんあって
なかなか進まなくて。

今、私の中でゲルタさんは(さきほど読んだ。)
郵便局で、前歯が折れてしまって
リーバイス501買って

オレwithナオミキャンベルとか…
…うぷぷ。

すごい面白いです!

か〜ん
か〜ん
2006年6月1日8:48

おはよーございます。
面白い人って紹介されたりすると困っちゃいますよね〜
初見の人間の笑いのツボってわからないですしね〜
下ネタは最後の砦ですよね。特にステキな女性に対しては・・・

マルクル
マルクル
2006年6月1日10:30

面白い!面白すぎるよ、ゲルタさん!!
部屋に一人でいるのに大爆笑だよ〜w
こんなおもろい話されて笑わないなんてすごいですね。
あ〜も〜おなか痛いww

きっとスーさんは低俗の笑いかボケ、ツッコミのしっかりしたのがツボなんでしょうね。

スーさんと恋愛に発展したら教えてくださいね^^

ゲルタ
ゲルタ改
2006年6月1日10:59

●D.K.Verno様。

そうですね、悪口で喜ぶよりは、
下ネタのほうが全然イイですよね。
理想はさらっとライトな下ネタかなぁ。

あ、タンポン、そうなんですかー。
痛くないんですね。
や、考えてみりゃ、痛けりゃ商品にならんですよね(笑
 
 
 
●仁義様。

いやぁ、ありがとうございます!!
そう仰っていただけると、書いてた甲斐がありますよー。
嬉しいですー!!
 
 
 
●chie様。

ありがとうございます!!
そうですよねー。
ホント、豪快に笑ったりしなけりゃ、
いつまでも前に進めないですよねー。
 
 
 
●JUNOESQUE様。

いやぁ、ありがとうございます!!
もう、昔から書いてるからオレの日記、
いっぱいありますよねー。
や、昔のヤツとかホントいくだらないですよ。
今もくだらないけど!!(笑
 
 
 
●か〜ん様。

そそ、「面白い人」って紹介されるのはキツイですよね!!
「ハードル上げんな!!」ってんですよねー。
万人に共通の笑いなんて、殆ど無いでしょうしねー。
下ネタは最後の砦。そうですよね。
そして、あくまでも、さらっと行きたいですよね、下ネタは。
 
 
 
●マルクル様。

や、ありがとうございます!!
もう、笑っていただけたら、オレの過去のくだらない体験も
大いに役にたったというものです!!
ありがとうございます!!
でも、人を笑わせるのって、なかなか難しいですよねー。

あ、スーちゃんとは何も発展しそうもありません・・・(笑

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