アナタは、タイムカプセルを埋めた経験があるだろうか。
そう、アレだ。
よく、小学校や中学校の記念行事などで、
「20年後のボクに〜」とか
「50年後のアタシに〜」なんて、
現在の自分から未来の自分に向かってメッセージを書き、
校庭の隅っこあたりにそっと埋める、アレである。
クラスのみんなが未来の自分にメッセージを書いたはいいが、
必ず、そのクラスの中の1人はすでに死んでしまったりしていて、
「まさか、アイツも自分が死ぬとは思っていなかっただろうなぁ」
そんな風に、少しセンチメンタルになってしまう、アレである。
アナタは、タイムカプセルを埋めた事があるだろうか。
オレは、ある。
いや、正確に言えば、オレの場合は少し違った。
前述したようなタイムカプセルとは少し違った。
何が違うのかと言えば、まず、
オレが埋めたタイムカプセルは、
学校行事などではなく、オレが個人的に埋めたモノである。
学校側に強制されたワケではなく、
幼き頃のゲルタ少年が、自主的に埋めたモノ。
だから、ソレを埋めた場所も学校の校庭などではなく、我家の庭。
我家の庭に昔あった、白樺の木の根元である。
そして、
ゲルタ少年のタイムカプセルが前述したモノと大きく違うのは、
そのタイムカプセルを受け取るのが、未来の自分ではないことである。
では、幼き頃のゲルタ少年は
誰に向かってタイムカプセルにメッセージを残したか。
正直、誰でもよかった。
未来の人間ならば、誰でもよかった。
ただし、未来の人間と言っても、
20年後、50年後の未来の人間ではない。
もっとこう、1000年、2000年先の未来の人間に、だ。
幼き頃のゲルタ少年は、
そんな未来に向けてタイムカプセルを埋めたのである。
では、ナゼにゲルタ少年はそんな事をしたのか。
答えは簡単。
未来の世界に自分の名前を残したかったから、である。
幼き頃のゲルタ少年は、ふと思ったのだ。
「今、自分が埋めたモノが未来で発見されたのなら、
ソレはきっと、未来では大発見であるに違いない。
そうすれば、どうだ。
オレの名前はきっと、本に載るはずだ」
ロマンである。
幼き頃のゲルタ少年は、ロマンチックな少年だったのだ。
そこでゲルタ少年は、早速タイムカプセルを作る。
確か、とある夏休みの1日だったと思う。
まず、幼きゲルタ少年は、未来の人間に向かって手紙を書いた。
その日の日付と自分の名前、そして、簡単なメッセージである。
しかしゲルタ少年は、それだけではちょっと寂しいと思い、
自分の声をテープに録音し、ソレも入れる事にした。
ラジカセにマイクを差し込んで暗い部屋で1人、
テープに自分の声を吹き込んだのだ。
「これを見つけた人、おめでとうございます。
アナタは大発見をしました。
今日は○月○日。僕はゲルタです。
福島県福島市○○に住んでいます。
電話番号は・・・」
大真面目である。
なんかちょっとバカな子供のようだけど、
本人、大真面目である。
しかし、テープにメッセージを入れるといっても
たいして喋ることもなく、
テープがいっぱい余ってる事がイヤだったゲルタ少年は、
余った部分に自分の歌を入れた。
「♪時には ナゼか 大空にに〜
旅して みたく な〜る〜ものさ〜」
『気球に乗ってどこまでも』である。
幼きゲルタ少年、部屋で1人、『気球に乗ってどこまでも』を歌い、
ソレをテープに吹き込んだのである。
大真面目だ。
しつこいようだが、本人は大真面目である。
そしてソレを、タイムカプセルに入れる。
カプセルは、北海道土産の『白い恋人』の空き缶だ。
そして、他にも様々なモノを入れる。
ビックリマンシール。
キン消し。
折り紙で作った手裏剣。
スーパーボール。
途中、水に濡れるとまずいと思い、
ビニール袋に入れてから『白い恋人』の空き缶に入れ直した。
タイムカプセル、完成である。
ゲルタ少年は、早速ソレを埋めた。
庭にある白樺の木。
ゲルタ少年は、その白樺の根元に園芸用の片手スコップで、
穴を掘ってカプセルを埋めたのである。
未来の人間が、ソレを発見してくれる事を願って。
しかし、である。
そこで、まさかの出来事が起きたのだ。
ゲルタ少年がカプセルを埋めた翌日は、朝から大雨であった。
激しく降りしきる雨。
その雨にヤラレて、ゲルタ少年が埋めたタイムカプセルが、
土の表面に露出してしまったのである。
ゲルタ少年は、痛恨のミスを犯していたのだ。
タイムカプセルを作ったはいいが、
面倒だったからかなんなのか、穴を深く掘らなかったのだ。
1000年、2000年先の未来まで掘られないようにするのなら
深く穴を掘らなければいけないだろうに、
ゲルタ少年の頭には、そんなことが思い浮かばなかった。
簡単に穴を掘って、カプセルを埋める。
そして、ソレにささっと土を被せて簡単に済ませてしまったのである。
その結果、土が雨で削られてカプセルは地表に露出する。
いや、例えそうだとしても、
いち早くゲルタ少年が気づくならば良かったのだ。
自分が先に気づけばよかった。
しかし、地表から覗いているタイムカプセルに、
ゲルタ少年よりも先に気づいた人間がいたのだ。
キシリア姉さんである。
キシリア姉さん、ヤツは鬼である。
弟のオレが言うのだから間違いない。
フォークで頭を刺されたこともあるのだ。
階段で後ろから突き落とされたこともあるのだ。
そんな人間を、鬼と言う以外になんと言えようか。
幼きゲルタ少年が埋めたタイムカプセルは、
運悪く鬼に発見、そして、
ゲルタ少年が知らないうちに発掘されてしまったのである。
1000年どころか、
1日で鬼によって発掘されてしまったのである。
その後の鬼がした行為は、まさしく鬼の所業であった。
ヤツは、ゲルタ少年が埋めたカプセルを掘り返すと中を開け、
そして、ゲルタ少年のメッセージテープを再生しやがったのだ。
それも、わざわざゲルタ少年の目の前で。
「ちょっと面白いテープがあるから聞いて」と鬼に言われた少年が、
素直にソレを聞いてみると、
「これを見つけた人、おめでとうございます。
アナタは大発見をしました。
今日は○月○日。僕はゲルタです。
福島県福島市○○に住んでいます。
電話番号は・・・」
自分の声である。
「♪時には ナゼか 大空にに〜
旅して みたく な〜る〜ものさ〜」
『気球に乗ってどこまでも』である。
あまりの衝撃に、
そして、あまりの恥ずかしさに俯くゲルタ少年。
まさか、自分が埋めたカプセルが掘り起こされてるとは知らなかった
ゲルタ少年は、焦った。
かなり動揺した。
そして、ソレを見て爆笑する鬼。
しまいにゃ鬼は、
ソレをわざと近所にも聞こえるくらいの大音量で再生し始める。
親にまで聞かせる。
鬼、やりたい放題である。
幼きゲルタ少年は、
鬼のそんな卑劣極まりない行為に耐え切れず、
「やめてよ〜」と泣き出してしまったのであった。
ふと思い出した、苦い思い出である。
コメント
私はタイムカプセルの経験ないんですよね。なんかやっとけばよかったです!
っていうか今からやろうかなー。(でもどこに??)
ゲルタさんってホント文章が面白いですよね。日常に必ずオチを作れるとは。すごい。ていうか、ホント面白い人ですね☆私は関東人だから簡単には生ゲルタ見れませんね。残念・・(悲)
ゲルタ少年、ロマンチックですね〜!!1日でみつかちゃうなんて、しかも近所にまで聞こえちゃうなんてかわいそ〜。
でも、今日の日記読んで、大爆笑してしまいましたっ!!そんな私も、もしかして鬼ですかね〜??
ビックリマンシール、キン消し、折り紙で作った手裏剣、みんな懐かしいですね〜(≧∇≦)b みんな、流行りましたもんねっ!!
私は、学校行事でタイムカプセルやったコトあります♪やっぱり、簡単なメッセージと幼い字で書いてありました。私が、24歳頃届いたと思いマス。届いた時は、少し感動してしまいました(*^▽^*)
ゲルタさんは、1日でだなんて残念でしたね〜!(;´Д`)
かわいそうですよねー、オレ(笑
タイムカプセル、やっておいたほうがいいですよー。
オレ、最近、またやろうかと思ってるんですよ。
ウチの目の前の山に穴掘って、未来人宛にメッセージを。
近々やるつもりです(笑
●佐月様。
いやぁ、ありがとうございます!!
そそ、1日なんですよー。しかも発見したのは鬼!!
もうオレ、泣いてしまいました(笑
や、生ゲルタだなんて!!
もうオレ、全然つまんない人ですよー。
●ゆき様。
こにゃにゃちわー。
おお、ゆき様はタイムカプセル、
学校でやられたんですかー。
で、ちゃんと届いたんですねー。
なんかちょっと、感動してしまいますよね!!
いいなぁ。
オレは学校ではやったことが無いんです。
ビックリマンもキン消しも手裏剣も流行りましたよね。
オレ、33歳の今でも、キン消しとスーパーボールは
持ってますよ(笑