どうにもやるせない気持ちで
「いじめ」に関する一連の報道を見ていると、
向かい合ってご飯を食べていた母親が
「どうしていじめはなくならないんだろうね」
そう言ったあと、続けて、
何かを思い出したように、こう言った。
母親:「Kちゃんも昔、いじめられたんだよ」
Kちゃん。
オレの姉。
またの名を、キシリア姉さん(極悪)。
んな、アホな。
キシリア姉さんがいじめられただなんて、んなアホな。
あの女は鬼だ。
人間じゃねぇ、鬼だ。
いや、あの女を「鬼」と呼んだら、
鬼さんに失礼かもしれないとさえオレは思っている。
なんせあの女は、弟であるオレの頭をフォークで刺した女だ。
弟であるオレを、階段の一番上から突き落とした女だ。
そんな鬼が、昔、いじめられただなんて。
んな、アホな。
しかし、それはどうやら本当のことらしく、母親は、話を続けた。
母親の話によると、こうだった。
姉が中学に入って間もなくすると、
姉は、同級生の女子からからかわれるようになった。
姉はその当時、ナゼかほっぺたが赤く、
同級生の女子たちは、その赤いほっぺたをからかった。
世の中には赤いほっぺたを指して「りんごほっぺ」などと、
ソレをカワイイものとして例えたりするものだけれど、
思春期にあって、自分の容姿に気になって仕方ない
中学生の女の子にとってソレはただの苦痛でしかなく、
またソレは、同級生の女子にしてみたら絶好の攻撃目標になり、
姉は、からかわれ続けた。
そして、ただの「からかい」であったはずのソレは、
次第にエスカレートしてくる。
自分ではどうする事もできない自分の容姿に悩む姉に、
両親は、
「そんな人たちの事は無視しなさい」と言ったそうだ。
しかし、無視すればするほど、
同級生の女子たちの行動はエスカレートしてくる。
靴が無くなり。
体操着が無くなり。
教科書がまるごと無くなり。
学校に相談しても何ら変ることはなく。
そして姉は、学校へあまり行かなくなる。
そんな姉に両親は戸惑い、
「強くなれ」と、
「頑張って学校に行きなさい」と、
ただ、そう言い続けたのだそうだ。
するとある日突然、
両親の言葉を間違ったカタチで受け取ったのか、姉は、
「りんごほっぺのKちゃん」から
「キシリア姉さん(極悪)」に生まれ変わる。
母親:「強くなれって言ってたら、
ちょっと強くなりすぎちゃったんだよねー。あははは」
姉は、グレた。
それはもう、グレにグレた。
当時小学生だったオレには
姉がいじめられたという記憶は無いのだけれど、
姉のグレっぷりははっきりと覚えている。
昔、『積み木くずし』というドラマが流行ったが、
ウチの家庭は、まさしくあんな感じになった。
どこでどう繋がったのかわからないのだけれど、
姉の部屋にはなんかスゲー不良みたいな男女が集まり、
常にそこからは、タバコとシンナーの匂いがしていた。
学校に行ったら行ったで暴れまくったらしく、
母親は、何度も呼び出されたのだという。
その頃には、すでにそんな姉を攻撃する者などはいるはずもなく、
姉は、真面目だった時には学校に行かなかったクセに、
グレてからは、悠々と、好き勝手に、
スクールライフをエンジョイする。
ソレは、「いじめ」に対する対処法としては
おそらく間違っているのだと思うけれど、
姉は、そうして、「いじめられる側」から抜け出したのだそうだ。
そして姉は、
元からそういったモノに適正があったのか知らないけれど、
その後、どこに出しても恥ずかしくない、立派な不良になる。
ここからの記憶はオレにもあって、
姉は、自分の学校はもちろんのこと、
近隣の学校にまでその名前を轟かせたのを知っている。
姉と同い年の男子がウチの姉に
「Kさん、こんにちは」と挨拶してるのを
オレは度々見かけたことがあって、
オレは、「すげぇ」と感心した覚えがある。
その時オレは、まさか
オレがそのとばっちりを受けるハメになるとは思いもしなかった。
オレが中学に入ると、そのとばっちりを受けた。
姉が中学を卒業したと春にオレがその中学に入学したのだが、
すでに学校では、
「Kさんの弟が入学してくるらしい」
そういう噂が流れていたようだった。
そして、オレはすぐ、先輩たちに攻撃された。
姉にヤラレた人間たちが、オレを攻撃目標に選んだのである。
学ランを取り上げられたり。
チンコ出させられたり。
ボールをぶつけられたり。
ベツに、チンコを出させられても
オレにとってたいしてダメージはなかったのだが、
ボール、これがキツかった。
ウチの姉にやられた姉の1こ年下の女子の先輩たちが、
体育館にオレを呼び出し、10人くらいでオレを囲み、
ひたすらオレに、汚い言葉とバスケットボールをぶつけるのだ。
これが一番キツかった。
「姉にヤラレたのに、
オレには関係ないのに、どうしてオレを攻撃するのか」
いじめの連鎖。
オレは、毎日のように続くソレに、
10人の女子の真中で、不覚にも泣いてしまった。
そしてオレは、いじめられない為に、変った。
コメント
『いじめ』=私の想い出
私は中学の3年間を、悪意な悪戯の中で過ごしました。
特別に違っていた事は、先輩に可愛がられていた事です。
辛かったのは3年生の頃。
相談する人も、話し相手もいませんでした。
でもね、私、やはり、他とは違っておりましたのね。
黙して語らず。
硬派になりました。
年下に慕われました。
当時お付き合いしていたのは、後輩でした。
強く生きる事。
冷めた人間になりましたね。
キシリアお姉様は弟は可愛がるのに。兄は殺しますよw
私も小5の頃虐められていたのでその気持ち分かります。
私の時もひどいものでした。
朝、教室についてまず目に入るのは自分の机の上にある物。
そこには何故かあのトイレのスッポンスッポンが(笑)
スッポンスッポンには紙が貼り付けてありそこには
「○○の墓」と書いてあり、机の周りはゴミだらけ。
こんな事は日常茶飯事でした。
1度先生にこの事を言ったのですが先生の一言に唖然しました
「私、前までスゴク厳しくして叱ってたからこの学年では、叱りたくないのよ」この時ほど人を恨んだ事はないですね。
きっと、今も昔もこんなダメ教師がデカイ顔してるんでしょうね。
肉体への、精神への攻撃。
私が食らったのは、集団無視でした。
しかし。
もっと酷い仕打ちを受けた人が多いのですね。
何年も前の心の傷を秘めている人達も。
これで『いじめはゼロ』だなんて報告できる訳などないのですがね。
ゲルちゃんが、書きたい事だけ書いてくれたらええんやからね。
頼むでね。
イジメられた経験をされた人って意外と多いんだなって感じます。
それで、いじめがゼロだなんて
よく言えるなぁって思うよね┐(´〜`;)┌
キリシア姉さんもいじめられたんだね。
強く生きて、逆に慕われるまでになったっていう例もよく聞きますね。
ゲルタさんも辛かっただろうなぁ・・・
男のいじめっこより、女のいじめっこの方がやり方が陰険でキツイからね・・・。
私もいじめられた経験あります。
小6から中学生に上がる年頃が一番いじめに遭いやすくて、一番キツイ年頃なんですよね。。。
いじめなんかの時、やはり、相談相手がいないのは辛いですよね。
相談したことによって解決にならない場合があっても、
それでも、誰かに話をするだけでも気分的に違いますもんね。
しかし硬派になられた春紫苑様。スゴイっす。
オレは泣いちゃったもんなぁ(笑
●マルクル様。
お墓は酷い。酷すぎですね。
しかもその先生の言葉ときたらもう・・・
なんてか、教師をやってる資格は無い!!
ボッコボコに殴ってやりたいです。
●chie様。
集団無視とか、肉体的なものでなくて、
そういう精神的なモノのほうが、かえって辛い気がします。
肉体的なことや悪戯など、
そういう目に見えるようないじめじゃないと
学校側には「いじめ」とは受け取ってもらえないのかな、
なんて思ってしまいます。
だからみんな、辛い思いをするんですよね。
●籐四郎様。
ありがとうございます!!
や、なんか、ホントはもっと
明るい話を書こうかと思ってたのですが、思い出しながら
書いてるうちに暗いほう暗いほうに行ってしまいました(笑
いじめはイヤですよね。
●Urara Akikaze様。
ほんと、イジメがゼロだなんてよく言えますよね。
きっと、生徒1人1人を見てれば、訴えがなくても
わかると思うんですけどねー。
やっぱ、小6とか中学生になった頃とかなんですねー。
あの頃は、ちょっとしたことでも傷ついちゃうし、
加減も知らないからやりすぎちゃったり。
いじめ、無くなるといいんですけどねー。
ちなみに私は中学の時眉毛が太くてバカ殿様と呼ばれてから
志村けんが大嫌いになりました。笑
はい、姉と同じ道をたどりました(笑
バカ殿ですか!!ヒ、ヒデェ!!
オレは目が細いという理由で、「パタリロ」と言われました。
結構お気に入りでした。