真似ッコ。 〜 ニューヘアー 2 〜
2007年4月15日 日常髪形を変える時、
特に、ガラリとイメージを変えたい時、
アナタは、何を参考にその髪形を決めるだろうか。
雑誌?
TV?
それとも何も参考にせず、あくまでも自分のイメージで?
その中には当然、
「有名人」という選択肢がある方も多いのだと思う。
TVなんかでよく見かける有名人の髪形にしてみたい。
いわゆる、「○○みたいにしてください」ってヤツだ。
一昔前、
『ロングバケーション』というドラマが放送されていた頃には
主演のキムタクさんのパーマヘアーが流行って
ソレを真似る男性が急増、
街には、キムタクさんもどきが急増したし、
さらにもっと昔、オレが学生時代、
小泉今日子さんが髪をこれ以上もない程に
ベリーショートにした時は、クラスの大半の女子が
ベリベリショートなキノコ頭になって大層気持ち悪かったもんだ。
これからもわかるように、その対象となるのはワリと、
その時代をときめく芸能人やスポーツ選手が多いワケなのだけれど、
髪形を変える時、案外、その有名人の名前を
美容師に伝えにくいものであることは、たくさんの方が、
ソレをお分かりいただけることなのだと思う。
「キムタクみたいにしてください!!」
「キョンキョンみたいにしてください!!」
その有名人の名前がビッグであるほど、
その名前を美容師に伝えにくい。
髪形のモデルがビッグであるほど、気恥ずかしくなる。
ベツに悪いコトをしてるワケじゃないんだから堂々と
その名前を告げればいいのだけれど、なぜだろう。
罪の意識さえ感じてしまうことがある。
「わかってますわかってます!!
オレが髪形を真似たところで、
キムタクにならないのは重々承知しております!!」
そんなふうに、自虐的に思ってしまうことがある。
だから、なるべくその有名人の名前は出さずに
「前髪はもっと短くして〜」とか
「毛先が跳ねるようにパーマをかけて〜」とか、
部分部分に細かい指示を出し、
最終的にはその芸能人に近づくようにするワケだけれど、
それも案外、難しいもんだ。
非常に、
こりゃまた非常にお恥ずかしい話なのだが、
オレは以前、髪が長かった時、
ヨン様ヘアーに“近い髪形”だったことがある。
ヨン様だ。
微笑みの貴公子だ。
『冬のソナタ』だか『冬の素股』だかなんだか知らないが、
あの韓流ドラマが爆発的にヒットして、お歳を召したお嬢様方が
韓国にYENをボロボロと落とし始める頃に前後して、
オレは、あの髪形に近い髪形だったことがある。
ただ、ひとつだけ言うならばソレはベツに、
オレが、ヨン様に憧れて髪形を真似したワケではなく、
ただ、「オレがしようとしていた髪形にすでにヨン様がしていた」、
という事実。
ソレだけはお断りさせていただきたい。
オレはベツに、「愛想笑いの貴公子」なんかに憧れちゃいない。
だから余計に、美容師にあの髪形を伝える時に困る。
「ヨン様みたいにパーマかけてください」
そう伝えられれば簡単なのだけれど、
その当時、人気沸騰寸前のヨン様。
ソレは気恥ずかしくてなかなか言い出せない。
オレはいつも、友人が勤めてる美容室で髪を切るのだけれど、
「ヨン様」という名前は友人にすら言い出せない。
だから、「こう、横を流して〜」とか「毛先を跳ねさせて〜」とか、
そうして細かい指示を与えて、
「最終的にはヨン様でしたー」みたいな結果を目指すのだけれど、
部分的に指示を出すのって、やはり、素人には難しい。
自分の意図がなかなか美容師に伝わらない。
だからといって、
「ヨン様みたいにしてください」とは言いたくもなく。
困る。
非常に困る。
だからオレは、考えた。
もしかするとソレは、「ヨン様」だから気恥ずかしいのであって、
逆に、そのモデルとなるヨン様を
こき下ろすように言ってみればいいのではないだろうか。
上から目線で、あくまでも「真似をする」というイメージを
払拭すればよいのではないか。
「ヨン様」ではなくて、「ヨンジュン」呼び捨て。
「ヨン様」ではなくて、もはや、「ぺ」。
オレは、決してヨン様を真似るワケではなく、あくまでも、
「自分がしたい髪型に一番近い髪形をしている有名人」モデルとして、
そこに、ヨン様がいた。
だから、「ヨン様」ではなくて、呼び捨てなのだ。
だから、「ヨン様」ではなくて、「ぺ」なのだ。
ソレは妥協かもしれない。
自分の中での折り合いをつけることなのかもしれない。
しかし、ソレをつけることによって、
気恥ずかしさも半減するのではないか。
「そうだ、そうしよう」
オレは、自分の中に妥協点を見出した。
そして、友人である美容師に、告げる。
「“ぺ”みたいな感じにして、“ぺ”で」
すると友人は、真顔でこう答えた。
「え?加ト茶?」
そっちの“ぺ”じゃねぇよ。
・・・・・・
その後オレが、恥ずかしさを堪えて
「ヨン様みたいに」と言ったのは言うまでもなく。
友人は、オレの気恥ずかしさなどを知る由もなく
「だったら最初からヨン様って言えよー。
危うく加ト茶にするところだったぜー!!」
そう言って笑う。
オレは、輪っかから放出される赤外線を頭に浴びながら、
「もし、ホントに加ト茶みたいにされてたら、
今頃オレは、どんな髪形だったのだろう」
そんなことを考えた。
・・・・・・
髪形も何もあったもんじゃねぇ。
真中に1生えてるだけ本じゃないか(←ヅラ着用時)
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