旅の途中、立ち寄った牧場。

腹が減ったと入った牧場内のレストラン、
ジンギスカンの鉄板が仕込まれたテーブルに案内されてそこに座ると、
窓から、放牧された羊の群れが見えた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(まさか・・・ね)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ふと、いや〜な考えが頭をよぎる。
 
例えばだ。
例えば、羊の群れの中に仲良しの3頭、A、B、Cがいたとする。
その3頭のA、B、Cはとても仲良しでいつも一緒。
草原を走り回るのも草を食むのもいつでも一緒。

ところがある日、そのうちの1頭がこんなことを言うのだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「最近、Aちゃん見ないねぇ・・・
 急にいなくなっちゃったよねぇ・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(ま、まさかね・・・)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
だけれど、いっぺんそんなことを想像してしまうともう、
その想像はとどまることを知らず、
それはやがて恐怖に似た感情となり、
そこには、メニューなんかそっちのけで、
3分と間をおかずに何回も何回も、
群れている羊の数を繰り返し繰り返し数える自分が存在した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「12、13、14、15・・・
 あれ?さっきより1頭少なくなってないか?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(ま、まさかそんなことはないよね・・・)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
とりあえず自分を落ち着かせる。
 
コップの水をごくりと飲んで自分を落ち着かせ、
改めてメニューに視線を下ろすと、
そのメニューにはこんな文字が躍っていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
『新鮮なお肉』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
し、新鮮なお肉っ!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(ま、まさか違うよね!!
 いくら新鮮っていったって、まさかそんなことはないよね!!)
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
もはやマイナス思考のズンドコ。
ネガティブの極地。
そのレストランでさえ、惨劇の館にさえ思えてくる。
  
と、そこに、ウェイトレスのオネイサンがやってくる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ご注文は?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「オレンジジュースだけでいいですっ!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

コメント

kaj
kaj
2007年5月7日22:49

それ、私は気がついた時には考え込んでしまってます(^_^;)
水族館と生け簀の違い...これがねぇ自分の中で明確になら無いんですよ。
...どこからが私にとって「旨そう」になるのかの線引きができないで居ます(彼の「お国」では、机以外の四足は凡て喰らうってのは納得できてしまうんですけどもね)
結局の所、最後の手を下すか否かの違いって事なのかなぁ?
未だに答えは見つからないものの取り合えずお皿に盛られた死にたては、姿盛で無い限りは線の内側なのかなぁ?

ま、結局は喰らっちまうんですけどもね(笑)

ゲルタ
ゲルタ改
2007年5月8日22:19

●kaj様。

わかります!!
そそ、どこからが「旨そう」になるのかの線引き、
オレもそこに悩む時があります。
姿盛りはキツイですよね・・・
あと、毛をむしられた鳥がまるごと、とか、
ああいうのは、オレの中では線の外側になります。

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