昔から若く見られがちである。
  
実際の年齢は34歳だから、
いい加減もー、とっつぁんと言っても過言ではないのだけれど、
幸か不幸か若く見られてしまう。

オレが家にいる時、何かの集金なんかがくると、
オレが何歳に見えるんだか知らんが、決まって
「お父さんかお母さんいる?」なんて、
まるで子供を相手にしているように話し掛けられるもんだから
たまったもんではない。

考えてみりゃぁ、オレはその、
「お父さんかお母さんいる?」の「お父さん」の年齢に
すでに到達していると言ってもいい年齢なワケで、
そういう風に言われた後は、だいたい軽く落ち込むもんだ。
 
 
 
 
  
今日も、そうだった。
 
今日、ウチに来たのはダスキンの集金の若奥さんだった。
 
 
 
 
 
ピンポ〜ン

チャイムを鳴らして「ダスキンでーす」。
オレが玄関に出ると、初めて見る若奥さんがいて、
オレに向かって、
34歳のこのオレに向かってしょっぱなからブッ放すのだ。
 
 
 
 
 
「お父さんかお母さんいる?」
 
 
 
 
 
軽く落ち込む。
 
 
 
 
 
でも、まぁ、ソレにいちいち反応しててもキリが無いし、
なんだか面倒なので、いつもはもう、
相手に見られたように自分を合わせて
「お父さんもお母さんもいません」とか言ってその場から
とっとと抜け出すのだけれど、今日は違った。
今日、ウチに来たダスキンの若奥さんは、
いつものそういう類の人とは一味も二味も違った。
 
 
 
 
 
「暑いね〜」

「でも、昨日よりはいいかな〜」

「日にやけちゃうから困るんですよ〜」
 
 
 
 
 
お喋りなのだ。
話好きなのだ。
ただ、集金する側と集金される側、というだけの関係なのに、
やたらとオレに話かけてくるのだ。  

しかも、しまいにゃ、
 
 
 
 
 
「水分を多めに摂ったほうがいいよ」
 
 
 
 
 
見知らぬオレの健康面にまでアドバイスをくれる始末。
 
 
 
 
 
めんどくせぇ。
アドバイスをくれるのは有り難いが、すこぶるめんどくせぇ。
 
 
 
 
 
しかし、若奥さんのお喋りは止まらない。
すでにお金は払い終わったというのに、
すっかり玄関に足を止め、オレに話し掛けてくる。
 
しかも若奥さん、すっかりオレを学生さんだと思い込んでるようで、 
「まだ休みなんだよね?」なんて訊いてくる。

 
 
 
 
「いつまで休みなの?」
 
 
 
 
 
オレも、まぁ、そこらで話を打ち切ってしまえばいいのだろうけど
なかなかタイミングを見出すことができなくて
「あ、今月いっぱいです」だなんて、
ついついテキトーなことを言って合わせてしまうものだから、
余計に若奥さんは止まらない。
マシンガン若奥さん。
 
 
 
 
 
「勉強たいへんでしょー」

「暑いと勉強なんてできないよねー」
 
「海に行った?」
 
 
 
 
 
ベラベラベラベラベラベラベラベラ。
 
 
 
 
 
「あ、いや・・」
「勉強っていうか・・・」
「オレはもう・・・」

若奥さんの誤解を解くタイミングを完全に逸してしまったオレ。
 
 
 
 
 
っちっくしょう、オレの話を聞けっ!!

行ってねーよコノヤロウ。
海なんか行ってねぇよコノヤロウ。

アホか!!
連れてけ!!
オレを海に連れてけ!!
ハイレグ水着を着ろ!!
そして食い込んでしまえっ!!
 
 
 
 
 
オレが苛立ってくると、
ふと、そこで、若奥さんはオレに質問してきた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「どこ高なの?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
え?「どこ高」って?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
オレ、とうとう高校生に見られてしまったのか・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
っつーか、間違いすぎだろ!!
オレが高校生って、ソレは間違いすぎだろっ!!
キミの目はアレか!?
ケツ穴かっ!!

っちうか、これ、見て見て!!
若奥さん、これ見て見て!!
はい、ここ!!
ここ、アゴのところ!!

はい、これ、しーらーがー!!

アゴひげにしーらーがー!!

アゴひげに白髪生えてきてっから!!
アゴひげ、まだらになってきてっから!!
アゴひげがまだらの高校生なんかいねーから!!
オレ、もうとっつぁんだーかーらーっ!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
・・・・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ふと思えば、あの若奥さん、
オレより確実に年下だったように思う。
 
なんか、落ち込む。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

コメント

ショコラ
ショコラ
2007年8月22日14:07

ゲルタさんそんなに若々しいんですねーーー!!!!羨ましい☆でもさすがに10代に間違えられたらへこみますかね(^^;)ドンマイです。

マルクル
マルクル
2007年8月22日15:10

よかったじゃないですか
ニートと間違われて気を使われるよりは…(ブラックジョーク)

ゲル兄さんの気持ち分かります!
私なんてもう20も過ぎてるのに
居酒屋で「何か年齢が分かるものありますか?」
とか聞かれちゃいますよ。

nophoto
ゲルタファン
2007年8月22日17:24

実は私も中学のときは小学生に、高校のときは中学に、と一段階下に見られていたのですが、最近は上に見られてしまうようです。こないだ、兄と歩いていたらどっちが上ですかと言われてショックでした。たぶんそんな兄とゲルタさんは同じ歳くらいです。ゲルタさんも私と同じくらいか、もしくは年下に見えちゃうんですかねえ。

ベルッチ
ベルッチ
2007年8月22日17:33

あははは!
海連れてけって!
そうですねー。ゲルタさん若く見えますよねー。
私も高校生の時までは大人っぽいと言われていたのですが、
それ以降若く見られがちです。
もっと迫力がほしいのですが、ね。(十分あるとも言われますが・・)
若く見られるのは嬉しいのですが、ビックリされるのはヤなんですよねー。(笑

ツグル
ツグルDX
2007年8月22日19:22

若く見られるのはとてもよいことだと思いますがww
僕は現実が幼すぎますが・・・^^;

槙村 了
槙村 了
2007年8月23日11:09

軽く落ち込む気持ち、分かります。
・・・私も年相応に見られなさスギなので。
しかも「結婚している」というと必ずビックリされる。
シテルンダヨ!!!おりゃあこれでも33なんじゃぁ!!!!と客に叫びたくなります。

ゲルタ
ゲルタ改
2007年8月23日11:09

●ショコラ様。

もう、ヘコミましたよー(笑
若く見られるのは嬉しいって気持ちもあるのですが、
なんか、年相応の貫禄ってか、そういうの、
「オレ、ないんだ・・・」って思ってしまいまして(笑
 
 
 
●マルクル様。

おお、マルクル様も!!
なんか切ないですよねー。
若く見られんのが嬉しいってのもあるけど、
「そんなに威厳がない?」みたいな。
ちょっと悲しいです。
 
 
 
●ゲルタファン様。

上に見られてしまうのですかー。
それも切ないですよねー。
なんでこう、世の中には
年相応に見てくれる人が少ないのでしょうね。
お兄様とどっちが上ですか?ってショックですよねー。
オレは行動も幼いので、並んでると
案外年下に思われるかもしれませんが、
発言内容は結構オッサンです。
もはや初老です。
 
 
 
●ベルッチ様。

ああ、ベルッチ様もお若く見えますよね!!
そそ、迫力!!
あと、貫禄が欲しいんですよー。
オレ、オモチャ屋の店長時代に客とモメた時、
あまりの貫禄の無さに
「オマエじゃダメだ、店長に代われ!!」って言われましたわー。
いやいや、オレが店長ですから、って(笑
 
 
 
●ツグルDX様。

若く見られるのが嬉しいこともあるんですが、
ある程度の年齢になってくると、
今度は相応の貫禄とかが欲しくなってくるんですわー。
だから、ちょっと悲しくなるんですよー。

ゲルタ
ゲルタ改
2007年8月23日11:12

●槙村 了様。

おお、槙村了様もですか!!
セツナイですよねー。
なんかもう、相手は良かれと思って言ってるのかもですが、
言われる側としてはセツナクなってしまうという。
「そんなに貫禄ない?」って感じですよね。

槙村 了
槙村 了
2007年8月23日12:57

・・まあ、未だにスッピンで仕事をしている自分が悪いのかもしれませんが・・・・。パチ屋のカウンターは花形なので
これじゃダメなんですがね(笑)今度の給料出たら化粧品をあさりに行きます。

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