VALENTINO。

2007年9月30日 日常
 
 
 
 
 
 
気がつくと、ウチのトイレマットが新しくなっていた。

母にそのことを言うと、母は、
「なんかのお返しに貰ったヤツなんだよ」と言う。
ソレを聞いてオレは、
きっと、誰かの快気祝いとかそんなのだろうか、と思う。
こうして実際に使えるモノが贈られるというのは、
なんとも嬉しい限りだ。
オレは母に、「有りがたいことだよね」と言った。
すると母は「全くだよ」と言い、
そして、「しかもあのマット―」と、続けた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「バレンチノだから」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
え?
ヴァレンティノ?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ヴァレンティノといえば、「高級」と言われるブランドの一つだ。

オレはそういったブランド的なモノにさほど詳しくはないのだけれど、
ヴァレンティノくらいは知っている。
確か、ヴァレンティノ・ガラヴァーニって名前の、
一見するところマフィアのボスみたいな
オッサンが創り上げたブランドだったように思う。
確か、イタリア。
結構お値段のお高いような女性の服がメインだったと思うのだが。
 
そのヴァレンティノが。
 
 
 
 
 
作んの?
 
 
 
 
 
トイレマットを?
 
 
 
 
 
いや、作ってるかもしれない。
ヴァレンティノ、トイレマット作ってるかもしれない。
オレは詳しくないから、
ヴァレンティノがトイレマットを作るのかはワカラナイ。
  
だからオレは、早速、もう一度トイレに走って、
ソレがヴァレンティノかどうかを確めることにした。
もし、ヴァレンティノであるのならば
ヴァレンティノの『V』がデザインされたロゴがどこかにあるはず。
オレは確めることにした。

で、トイレに行って見てみたのだが。
 
 
 
 
 
あ、『V』のマークがなんかヘン・・・
 
 
 
 
 
『V』が違う。
あの、いわゆる一般的なヴァレンティノの『V』とは違うのだ。
一般的なヴァレンティノの『V』は、
楕円の中にVの字が入ってるというか、
楕円を描く線がそのままVと繋がってるというか、
確か、そんな感じだったと思うのだが、
ウチのトイレマットのヴァレンティノは、その『V』が違う。
ウチのヴァレンティノは、
Vの字がテトリスのブロックみたいなカタチ。
なんだか角張った、ゴツゴツしてる『V』なのだ。
いわゆるヴァレンティノの『V』とは、まるで違う。

そして、それ以上に違ったのは、その名前。

いわゆるヴァレンティノは「VALENTINO」、
「Valentino Garavani」だとか「RED」なんかのラインが
存在するのではあるが、ウチのヴァレンティノには。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「MARIO VALENTINO」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
マリオ・ヴァレンティノ?

誰?
キノコ食ったら大きくなる人?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
まぁ、「ヴァレンティノ」って名前は
きっとイタリアでは一般的な名前で、
おそらく日本でいえば「スズキさん」や
「サトウさん」みたいなモノだと思われ、
その人がブランドを立ち上げれば自然、
「ヴァレンティノ」という名前が
そのブランド名につくのは当然なことではあるのだけれど。

でも、違う。
ウチのトイレットバレンティノは、あのヴァレンティノではない!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
オレは、母にそのことを告げた。
得意満面に「あのマットはバレンチノだから」と言っていた母だが、
その母に、「アレは、あのヴァレンティノではないよ」と告げた。
得意満面だった母だから、さぞかしガッカリするのだろうか、と思う。

しかし、意外にも母は強い。
 
 
 
 
 
「でも、バレンチノでしょ?」
 
 
 
 
 
いやいや、確かにヴァレンティノという名前ではあるけれど、
いわゆるあの、「ヴァレンティノ」ではないんだよ。
オレはそう告げる。

しかし、母はやっぱり強い。
 
 
 
 
 
「でーもー、バレンチノでしょ?」
 
 
 
 
 
ま、ま、確かにヴァレンティノさんだけど。
 
 
 
 
 
「じゃ、バレンチノだ」
 
 
 
 
 
母の中では、
一部にでも「VALENTINO」と書いてあれば、
「全て、ヴァレンティノ」である、ということらしい。
まぁ、まるっきり「間違い」ということにはならないのだろうけど。

だからオレは、母に、衝撃の事実を告げた。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「でもアレ、『日本製』って書いてあったよ?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
すると母。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「じゃ、いい値段するじゃなーい!!
 日本製のバレンチノならきっと高いわ!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(おいおい、言ってることオカシイから)
 
 
オレはそう思ったのだが、
もうそれ以上、何かを言うことをやめる事にした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

この日記について

日記内を検索