実家や自宅に電話をかけるとき、
男子ならばついつい

「もしもし、オレだけど」

そんなふうに、
自分の名前を名乗らず自分を「オレ」で済ましてしまうことが
多いものですね。

その点でいえば、そういう男子の習性(?)を巧みに利用した
『オレオレ詐欺』というモノを一番最初に考えたヤツは
かなり、頭がイイと思います。
まぁ、その頭の良さをもっとマトモなことに使えって話ですが。

で、その『オレオレ詐欺』。

発生し出してからもうだいぶ経つワケですが、
未だに時々被害に遭う方はいるけれど
ピーク時に比べればその数はかなり減った様子。

それもこれも、警察のみならずTVや新聞などの報道、
銀行などの関係機関、さらには市町村の関係各所などが
繰り返される一連の事件を問題視して
対策にあたった成果なのだと思います。

お年寄りを中心に未だに被害が出る以上、
まだ「じゅうぶん」とは言えないけれど、
その数がだいぶ減ったというのは、
「オレオレに気をつけよう」というその周知がある程度徹底され、
その実情が広く知れ渡った成果なワケで、
これは大変スバラシイことだと思います。

大変スバラシイことだと思うのですが。
 
 
 
 
 
 
 
 
しかし。
 
 
 
 
 
 
 
 
しかし、だから、こんなことも起こるのです。
 
 
 
 
 
 
 
 
昨日のことです。
昨日の夜遅くのことですわ。
時間はすでに夜の11時をまわり、
あと数十分で日付が変る、という時刻のことですわ。

オレの携帯に友人から着信があったのですね。 
「出て来い」と。
「飲み屋にいるから今から出て来い」と。
 
 
 
「バカヤロてめー、こちとらもう、おネムの時間だぜ!!」
 
 
 
そんなこと言いつつもオレ、キライじゃないですから。
オレ、酒飲まないクセに飲み会がダイスキですから。
 
 
 
「しょーがねぇな。オレがいねぇと華がねぇからな」
 
 
 
そんなこと言って、飲みに出かけたワケですわ。
 
 
 
 
 
 
 
 
で、出かけたワケですが。
 
 
 
 
 
 
 
 
飲み屋について早々、オレ、あることが気になりだしたのですね。
 
 
 
「あれ?オレ、ヒーターを消してきたかな・・・」
 
 
 
暖房。 
ファンヒーター。
オレ、部屋のファンヒーターを
きちんと消してきたか心配になってきたのです。
 
 
 
「まぁまぁまぁまぁ、そこはちゃんと消してきただろう」
 
 
 
ヒーターのスイッチなどは、
生活の一連の動作の中で無意識のうちに消してるということもあるし。

「ちゃんと消してるはず!!」

オレ、そんなことを考えて強引に不安を打ち消そうとするも、
しかし、その不安は一向に頭から離れない。
ちうかむしろ、時が経つにつれその不安は大きくなるばかりで、
しかも、よりによってそんな時に

「カンカンカンカン」

そんなケタタマシイ音をたてて
店の前を消防車が走っていったりして、
 
 
 
「あ、消防車だ」

「火事?どこで?」
 
 
 
みんなそんなことを言い出すもんだからオレ、
 
 
  
「も、もしや・・・」
 
 
  
そんなことが頭に浮かぶワケです。
 
 
  
『福島市で火事』

『ファンヒーターが何かに引火して全焼』
 
 
 
そんな明日の新聞記事が頭に浮かぶワケです。
 
 
 
そんなもんだからもうオレ、
心配で心配でどうしようもなくなって、
だったら、家に電話してファンヒーターがちゃんと消えてるかどうか、
家の人に確認してみようと思いまして。

で、家に電話してみたワケですが。
 
 
  
これが、なかなか出ない。
 
 
 
電話を鳴らし続けてるんだけど、なかなか出ない。
 
 
  
「え?マジで?」

「さっきの消防車、ウチ!?」
 
 
 
もうオレ、頭の中はマイナスマイナスな方に行っちゃってて
もはや最悪なことしか考えられない。
「煙を吸い込んで親が倒れてるんじゃないか」とか
「無事に逃げられただろうか」とか
「作りかけのガンプラ溶けちゃっただろうか」とか、
そんなことしか頭に浮かばない。

半泣きですわ。
男34にして半泣きですわ。

で、そんな半泣きなオレ、
店を出て、車に向かって走りながら
一度切った電話をもう一度賭け直したら。
 
 
 
「はい、サイトウです」
 
 
 
オヤジの声。
 
 
 
正直、力が抜けましたわ。
 
 
 
「煙、吸い込んでなかった!!」
 
 
 
ホッと安堵のあまり、
無言のままヘナヘナとしゃがみこんでしまいましたわ。
 
 
 
しかし、そこはまだ、安堵しちゃいけない。
早く確認してもらわないと。
急いでオレの部屋のファンヒーターを確認してもらわないと!!
 
 
 
なもんでオレ、少々慌て気味にいつも
電話で言ってるように自分のことを言ったのですね。
 
 
 
「もしもし、オレオレ!!オレだけど!!」
 
 
 
そしたらオヤジ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「オレオレって、オマエはどこのオレだっ!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ガチャッ
 
ツーツーツーツー・・・・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
いや、「どこのオレだ?」って訊かれても・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
オレ、オヤジがオレの電話を
『オレオレ詐欺』だと思ってるとすぐに気がつきましたね。

確かに、オレが悪かった。
つい、いつものように「オレオレ!!」なんて言っちゃって、
きちんと名乗らなかったオレがいけなかった。

だからオレ、電話をすぐにかけなおして、
今度は「もしもし、ゲルタだけど」って電話してみたんです。
そしたらオヤジ、
今度は「おお、どうした?」なんつって。

しかしオヤジは、
ついさっきの「オレ」と名乗った電話の「オレ」が
オレだったとはまだ気付いてないようで、
ちうか、さっきのオレを完全に『オレオレ詐欺』の「オレ」だと
信じて疑わないようで、オレに対して、こんなこと言ってました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「さっきだけどよ、
 今、ほんのちょっと前の話だけどよ、
 オレオレーとか言って、オレオレ詐欺がかかってきたんだよ。
 バカだよな。
 自分の息子の声ぐらい、親ならすぐにわかるってもんだろう?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
・・・・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
父さん・・・

わかってなかったじゃないか・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

コメント

るん
るん
2008年2月16日22:46

オチも面白かったのですが
「バカヤロてめー、こちとらもう、おネムの時間だぜ!!」
という大人と子供の絶妙ブレンドに噴出してしまいました

マルクル
マルクル
2008年2月17日2:03

人間の先入観ってめっちゃ強いですからねぇw
声なんかは分からなくなっちゃうもんですよ。

友達のおばあちゃん家にも「オレオレ詐欺」あったそうです。
でも、そこの息子さんその日休みで2階にいたそうで
おばあさちゃん:「なんであんた2階にいるのにわざわざ電話すんよ?」
詐欺:「・・・」ツーツー

だったそうですよw

シマリス
2008年2月18日12:16

ぎゃははは ツボにはまりました くっくっく お父さん面白い!流石ゲルタさんのお父上ですね♪

おまさ
おまさ
2008年2月18日20:38

早速の相互リンクありがとうございます!

あはは、大笑いしちゃいました。オレオレ詐欺。
仕事中に思わず声出して笑っちゃって、近くにいた姑さんが変な顔してました。
実はうちの姑さん、オレオレ詐欺に合っちゃったりなんかしたら絶対引っかかるタイプ。

ゲルタ
ゲルタ改
2008年2月18日21:07

●るん様。

ありがとうございます!!
もう、最近寝るの早いですから!!
すぐにおネムになってしまいます(笑
 
 
 
●マルクル様。

わはは!!
「2階にいるのに電話すんよ?」って、
最後まで気付いてないおばあちゃんがなんだかカワイイですね!!

先入観ってほんと、強いですよねー。
怖いですよねー。
 
 
 
●シマリス様。

ありがとうございます!!
なんかもう、ウチのオヤジはせっかちというかなんというか。
人の話もろくに聞かないんですよー。
困ったもんです(笑
 
 
 
●おまさ様。

こちらこそありがとうございました!!
日記にわざわざご挨拶まで書いていただいて!!
本当にありがとうございます!!

やや、お姑様、ひっかかるタイプですか!!
危ない!!
お姑様が電話してたらドキドキしちゃいますね!!

nophoto
はちみつ
2008年2月21日2:52

こんばんわ。爆笑させてもらいました!!

お父さん、ちゃんと警戒してて詐欺に引っかからなさそうで安心できますね^^

 私も家の鍵を閉めたあともう一度振り向いて閉まってることを確認してから出かけます。あと、廊下の電気も、ちゃんと消したか確認することが多いです。

 なので、外出先で心配することはまずないですね。

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