会社の食堂の自販機で後輩にジュースをオゴろうとして、
後輩に100円渡して好きなジュースを選ばせたら、
後輩は紙パックの80円のジュースを選んだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
「え?ソレでいいの?」

「いいんす。オレ、これが好きなんす。
 あ、はいコレ、お釣りの20円す」
 
「あ、いいよ。そのお釣りはとっときな」

「いや、いいですよ。ちゃんと返しますよ」

「いいからいいから」

「いやいや、いいっすよ」
 
 
 
 
 
「いいから、そのお金で妹に美味いもんでも買って食わせてやりな」
 
 
 
 
 
「20円で食べれる美味いモンてなんですかね?」
 
 
 
 
 
「チロルとか?」

「出た、チロル出た。
 じゃ、チロル代いただきます」

「おう、妹に食わせてやれ、チロル」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
食堂の椅子に座る。
すると、目の前を1人の女性が歩いていった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「あんな人、前からいました?どこの部署だろ」

「わかんね」

「キレイな人でしたよね」

「そう?」

「え?キレイだと思いませんでした?」

「いや、そんなには」

「なんか、キビシイ目してますねー」

「いや、そんなことねぇよ?」

「つーか、彼女とかいないんすか?」

「あー、いないねー」

「なんで?」

「そんなん知らねーよ。
 つーか、オレ、最近解ったんだよ。見て、このスーツ」

「そのスーツが何なんすか?」

「このスーツ、『もてスリム』なんだよ」

「あー、CMやってますね」

「そう。オレ、『もてスリム』買ったんだよ」

「へー」

「で、オレ、最近解ったんだけどさ」

「はい」
 
 
 
 
 
「『もてスリム』着てても、
 最初からモテないヤツは『もてスリム』着てもモテねーんだよ」
 
 
 
 
 
「そうなんすか?」

「うん」

「最近気付いたんすか?」

「うん」

「気付くの遅くないっすか?」

「いや、もしかしてそうなのかな?っては思ってたんだけど、
 実際に自分が着てみて、はっきり確証を得たね」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
話は、好みのタイプの話になる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「てか、どういうタイプが好みなんすか?」

「いや、特にないねー」

「好みのタイプとかにうるさくないのに彼女できないんすか?」

「うん」

「わかった、アレなんじゃないすか?
 もしかして、好みはないとか言いながら、
 高望みしすぎてるんじゃないですか?」
 
「何オメー、オレが低い位置にいるって言いたいワケ?」

「いやいや、そんなこと言ってないすよ」

「言ってるよ。
 オレに対して“高望みしすぎてる”って言うのは、
 “低い位置にいるヤツが無理してる”って言ってるのと同じだから」

「いや、そんなつもりは無いですから」

「そう?ならいいんだけど」
 
「そうですよ」

「じゃ、いいよ。殴らないでおいてやる」

「殴るつもりだったんですか?」

「軽く」

「軽くでもイヤですよ。
 つーか、芸能人とかだと
 どんなタイプの顔が好きなんですか?」

「あんましいねぇのよ。
 オレは雰囲気とかで好きになるから。
 小泉今日子とかカッケーと思わね?」
 
「あ、カッケーすね」

「でしょ、ああいう感じが好きなのよ」

「でも、女の人見てカワイイとかキレイとかは思うんでしょ?」

「そりゃぁ、まぁ」

「じゃ、芸能人でいえば誰すか?」

「うーん、あんましわかんないんだけどねー。
 まぁ、誰の目が好きとかあの人の口がいいとか、パーツで言えば」

「じゃ、パーツパーツで言えば誰すか?」

「んー、じゃ、耳は・・・」

「え?耳から入るんすか?」

「うん、耳は、しょこたん」
 
 
 
 
 
「あんましわかんないとか言いながら“しょこたん”って呼ぶんすね」
 
 
 
 
 
「うん、しょこたんの耳ってカワイイと思わね?」

「いや、耳に対してかわいいという感情を持ったことがないです」

「カワイイんだよ、しょこたんの耳は。
 輪郭もしょこたんだな。あとねー、目はねー」

「目は?」

「水川あさみ?だっけ?」

「あー、はいはい」

「なんかこう、キリッとした感じの。ああいうの好き」

「へー」

「で、鼻はねー。
 まぁ、鼻は穴が2つ開いてりゃなんでもいいや」

「大雑把ですね」

「で、口は、星ありすだな、やっぱ」

「誰すか?」

「星ありす。AV女優」

「どんな口なんすか?」

「なんかこう、唇がプクーッて厚ぼったいの。
 アレ、アンジェリーナ・ジョリーみたいな感じ」
 
 
 
 
 
「じゃ、最初から
 口はアンジェリーナ・ジョリーで良かったんじゃないすか?」
 
 
 
 
 
「じゃ、アンジェリーナ・ジョリーでいいよ」

「なんか、あんましわかんないと言いながら、
 パーツパーツに対してはキビシイっすよね」

「そう?」

「あ、アレですよね。
 この、好きなパーツパーツを組み合わせた顔が、
 好みの顔ってことになるんじゃないですかね?」

「あ、そうかもね」

「輪郭と耳がしょこたんで、
 目が水川あさみで、鼻の穴が2つあって、
 口がアンジェリーナ・ジョリー。
 このパーツを組み合わせた顔」

「うん」
 
「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
  
想像中。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「カワイイですかね?この顔」

「いや、ダメだね。
 さっき好みは無いって言ったけど、この顔はダメだ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
オレの好みの話から、後輩の話に移る。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「で?オメーは彼女とかいんの?」

「え?」

「彼女だよ」

「ええ、まぁ」
 
「マジで!?」

「あ、はい。知らなかったすか?」

「知らねーよ。聞いてねーよ。うわ、隠してやがったよ」

「いや、ベツに隠すつもりはないんですけど」

「あ、そー。で、長いの?」

「あ、いや、まだ3ヶ月ってとこです」

「あ、そー。
 じゃ、今が一番イイ時期だね」

「あー、そうなのかなぁ」

「そうだよ」

「うーん・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」
 
 
 
 
 
「じゃ、さっきの20円返してくんない?」
 
 
 
 
 
「マジすか?」
 
 
 
 
 
「あたりめーだろコノヤロー。
 こちとら、
 彼女いるヤツにくれてやる金なんか一円足りとも無ぇんだよ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

コメント

マルクル
マルクル
2008年3月13日3:09

ゲル兄さん厳しいッス(笑)

私なら20円あったらのし梅さんと粉のサイダー買いますw

神藤恭平
神藤恭平
2008年3月14日23:03

>「じゃ、さっきの20円返してくんない?」

「じゃ」って何やねん!!(笑)

ゲルタ
ゲルタ改
2008年3月15日23:27

●マルクル様。

ああああ、のし梅!!
のし梅スキー!!
あれ、ウマイっすよねー。
 
 
 
●神藤恭平様。

いや、腹がたつんですよ。
なんか、
「彼女と幸せ絶頂な時期を迎えてるヤツには
 20円ぽっちの小さな幸せはいらないだろうから、
 じゃ、20円は返してくれ」の「じゃ」です(笑

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