鼻にツンとくる刺激臭が家中を満たす。
下の階では今、母親が白髪染めで白髪を染めている。
ウチの家系は元々髪が真っ白になるようで母親も当然真っ白。
だから、たびたびこうして家中を刺激臭で満たしながら
白髪を染めているワケなのだが。
その度に、
母親が白髪染めで家中を刺激臭で満たすたびに、思い出すことがある。
ソレは、仲間うちで未だ語りつがれる『ごはんですよ事件』。
アレはまだ、オレが高校生の頃。
当時のオレは、15歳なのにナゼかバイクに乗ってたり、
リアルに『積木くずし』を再現しちゃってた姉とは違って
「もの凄いヤンキー」というワケではなかったが、
どちらかといえばソッチ寄りで、
学校でタバコを吸ったり、
ケンカしたり、
教師の車にイタズラしたり、
教師に教科書を投げつけて大問題になったりするような生徒だった、
って、こうして思い出すとじゅうぶんにヒドイ生徒なワケですが。
でも、それでもベツに「悲惨」な程にグレていたというワケではなく、
たいした反抗期も無く、家に帰れば親とは仲が良いというような、
いわば、「明るい不良少年」「健全な不良少年(?)」としての
中途半端な地位を確立していたワケで、
早い話がオレは、「盗んだバイクで走り出した」り、
「夜の校舎窓ガラス壊してまわった」りする程に
学校や社会に対しての不満やメッセージを胸に秘めてるワケでもなく、
ただなんとなーく不良に憧れて、
ただなんとなーく不良ファッションに身を包み、
ただなんとなーく悪いと言われることをしてたら
いつの間にかそういう人種になってしまったという、
そういう中途半端な人間であった。
で、その中途半端なオレは高校時代、
ただなんとなーく思ったのだ。
「髪、染めてみようかな」
いや、それまでにも染めたことはあったのだけれど、
もうちょっと強めにやってみようかな、と思ったのだ。
で、当時近所に一軒しかなかったコンビニに行って、
(近所っつっても徒歩では行けない距離。しかも21時閉店)
そんで、ブリーチ剤を買おうとしたのだが。
そのコンビニの棚には
髪の毛用のブリーチ剤と、男性用のスネ毛の脱色剤があった。
で、オレは、「どっち買おうかなー」って思って、
ただなんとなーく、スネ毛の脱色剤を買い、家に帰り、
だたなんとなーく、髪に塗りたくってみたのだ。
そんで、待つ事10分・・・15分・・・
「いや、今回はもうちょっと強めにする予定だから」
待つ事20分・・・
「うわー、どうしよう、そろそろかな?」
確認しようとしても、
なんだか汚いあわあわみたいので髪が
どれだけの色に変化したのかがよくわからない。
そのあわあわを拭いて確認なんかしたら
そこだけ髪の色がヘンになりそうだし・・・
「念のため、もうちょいいってみっか」
で、待つ事約30分。
髪に塗りたくったあわあわをを洗い流してみると。
「な、なんですか、この色は・・・」
金?
いや、金というよりほぼ白・・・かな?
うおおおおっ!!
なんか、ヤベェ!!
なんかヤベェことになってるぞ、オレの頭っ!!
恐るべきは男性用スネ毛脱色剤っ!!
これじゃぁまるで、アレじゃん!!
コレじゃぁまるでオレ、
学校とか社会に不満アリアリの人みたいじゃん!!
不満アリアリで髪を染めて何かを訴えてる人みたいじゃん!!
盗んだバイクで走り出す人みたいじゃん!!
夜の校舎窓ガラス壊してまわる人みたいじゃーん!!
でも・・・
でもオレ・・・
学校や社会にそんなに不満なんて無いんですよっ!!
・・・・・・
焦った。
オレはもの凄く焦った。
で、母親に「こんなんなっちゃった」って
白髪みたいになった頭を見せたら母親、
「この、バカめがっ!!」
そんで母親はオレに、
予備にストックしてあった母親の白髪染めをくれた。
で、オレは、その母親の白髪染めを髪の毛に塗りたくってみたのだが。
「な、なんですか、この色は・・・」
黒。
もう、どうしようもない程に、黒。
言い訳できない程に、真っ黒。
自然界に生きる人間に
自然と生えてくる髪の毛としてはあり得ないであろうほどの、黒。
「恐るべし、ビゲン!!」
で、結局オレはその、
あまりにも不自然な程に黒々とした髪の毛のまま、
学校に行ったワケなのだが。
そこに待っていたのは、オレの仲間たちの好奇の目であった。
「なんだ?その色」
「不自然なくらいに黒いな」
「なんか、ものすごーく、黒だね」
「タイヤみたいな色だな」
「自分が着てる学ランよりも髪の方が黒いもんな」
「富士ヨット学生服みたいな」
「黒より黒いスーパーブラック!!
(当時、こんな学生服のCMをやっていた)」
「絵の具で塗ったみたいだ」
「絵の具というよりはペンキで塗ったみたいだ」
「なんか、あまりにも不自然でカツラかぶってるみたいだ」
「つーか、ひじき乗っけてるみたいだ」
人の髪の色を散々にいう仲間たち。
あー、言ってくれ!!
不自然さ!!
オレの髪の毛は不自然なくらいに黒さ!!
もう、どうにでも言ってくれ!!
と、そのうちの1人が、こう言ったのだ。
「ごはんですよみたい」
「ごはんですよみたい」
ご、ご、ごはんですよって・・・
ごはんですよはあんまりじゃないか・・・(←効いてる)
それから数日の間、オレは、仲間から「桃屋」と呼ばれた。
これが、未だに仲間うちで語りつがれる『ごはんですよ事件』である。
コメント
朝から大笑いさせていただきました!
しかも…「桃屋」と呼ばれたなんて…最高っすね!!
ゲルタさんにもそんな時代があったんですねー。
ぷぷぷ。
おかしい。おかしすぎです。
素敵なお友だちですね〜。
娘に不気味がられしまったではないかーー!!!(大爆笑
もうね・・・桃屋・・・で トドメさされちゃいました^^;
張り切って染めた時に限って何じゃこりゃーって色になっちゃって、
染め直したらワカメみたいな黒になるっていう。
しかし「ごはんですよ」はすごい表現ですね。
もう、声だして大笑いしちゃいましたよー!!
今日は日曜で家にいたからよかったです。(ほっ。
ゲルタさん、すばらしい伝説ばかりお持ちです。さすが。
ありがとうございます!!
そうなんですよー。そんな時代があったのです。
なんかオレ、リアルでは友人達に
「桃屋」に結構似たあだ名で呼ばれてるんですよ。
だから、「桃屋」って呼ばれてもあんまり違和感が
なかったんですよ(笑
●永遠音様。
そうなんです。「桃屋」だったんです、オレ。
てか、「桃屋」ってあだ名は冷静に考えると
なんかオカシイですよね。
甘んじて呼ばれてましたが、なんか、オカシイ(笑
オレの友人たちはイイヤツばっかですよー。
バカなのが残念なんですけど(笑
●ママ様。
あはははは!!
ありがとうございます!!
その後大丈夫ですか?
お嬢様に怪しまれていないですか?(笑
しかし、「桃屋」でよかったです。
「桃屋のメガネ」とか、そんなあだ名だったらもう、
更生できずに、今頃荒れた人生送ってたかもしれません(笑
●おまさ様。
おおお、おまさ様も経験済みですか!!
そそ、なんかもう、ワカメみたいな色になんですよね!!
すっごい不自然な色に(笑
アレだったらもう、白いままのほうがよかったと思いますもん。
「ごはんですよ」と言われると、
確かにごはんですよっぽい色してんですよね・・・
●タリー様。
ありがとうございます!!
いやー、伝説ってかもう、バカ話ですよー。
青春時代に「桃屋」って呼ばれるだなんてもう、
悲惨な青春でした。
不良ファッションなのにあだ名は「桃屋」。
とってもビミョーな感じですよね(笑