今までの人生で、今回が2度目である。
同じ「2度目」でも、ソレが恋ならば
少しは上手に愛のメッセージ伝えたいところだけど、酒。
酒を飲んで記憶が無くなったのが2度目だってぇんなら、
もう、何も伝えることは無い。
なんせ、記憶が無いのだから。
初めて酒を飲んで記憶が無くなったのは、
情けないお話だけれど中学を卒業してすぐ、
高校に入学する直前の休みのことである。
(↑よい子はマネしないでね)
その日はウチに幼稚園からの友人イズミ君が
ナゼか焼酎とコーラを持って遊びにきた。
で、2人でコークハイなんつってソレを飲んでいたワケだが、
そしたら今度、食べ物が欲しくなった。
っちうことで、やはり同じく幼稚園からの友人のノリに
「なんか食いもん買ってきてー」っつって呼びだしたところ、
ノリはナゼだかボンカレーと白米を買ってきやがった。
「カレーが食べたくて・・・」
そんなことを言うノリに
オレらはぎゃぁぎゃぁと文句を言ったワケだが、
まぁ、カリーも悪くないよね、っつーことで
ノリにボンカレーを調理させ(温めさせ)、
オレらは3人で酒を飲みながらカリーを食った。
そしたら今度、酔ったオレらは男3人では面白くなくなってきた。
「女子呼ぶべ女子!!」
なんせオレら、思春期真っ只中。
いろんなことに胸を膨らませ、
“オレが当時好きだったコ”を含む、女子3人をウチに呼び、
オレらは3on3状態で酒を飲んでいたのだが。
しばらくすると、頭が重くなってきた。
どーにもこーにも頭が重い。
オレの首は、たいして重くもないであろう
オレの頭を支えることができないのだ。
「え?オレの頭ってこんなに思いの?」
胡坐をかいて座っていたのだけれど、頭ばかりが下に垂れさがる。
どんどんどんどん頭が畳に落ちそうになって、
あわてて頭を持ち上げるのだけれど、
すぐにまた頭が畳に落ちそうになる。
その時オレは、ちょっと酔っぱらったという感じだけで
特に泥酔してるという意識も
気持ち悪いという意識もなかったのだけれど、
頭ばかりがどんどん下がっていって、背中が丸くなっていって、
ついには自分のヘソ付近を自分の目で眺めているような
そんな状態になってしまった。
「あー、なんか不思議な感じだ・・・」
なんというか、自分のまわりに薄い膜が張ったようだった。
薄い膜がオレの体を包んでいる。
その膜の外側でイズミ君やノリ、
そして女子たちが楽しそうにお話しをしていて、
その話声は聞こえるのだけれど
オレのまわりの膜が邪魔して何をしゃべってるのだか
うまく聞き取れない。
だから、みんなに近づいて
その楽しい会話に参加したいと思うのだけれど、
オレのまわりの膜がオレの身体を押さえつけていて
全然チカラが入らず、みんなに近づくことができない。
特に、友人ノリが、オレの好きなコと
なんだか楽しそうに喋ってる声にどうにも腹がたって、
ソレを邪魔したくて、オレは動こうとするのだけれど
どうにもこうにも身体が動かない。
「オレばっか仲間外れだ・・・
ここ、オレんちなのに・・・」
オレはなんだか悲しくなってきて、
自分が情けなくなってきて、
そして気がついたら、いつの間にか口からなんか出てきた。
「あれ?あれ?」
全然吐き気などはないのだけれど、滝から水が落ちていくように
オレの口からなんかが落ちていく。
そして、ソレを止めることができない。
滝から落ちる水を止めることができないように、
オレから出るなんかも止められないのだ。
爽やかな日曜の朝に申し訳ない話だけれど。
で、オレが最後に見たのはオレの口から出ていくなんかだった。
そこからオレは、ほとんど記憶が無く、
気がついたらいつの間にかベッドの上に寝かされていたワケだが。
そういえば、なんか目の前がぼやぁと見えなくなってきた時、
遠くで女子の悲鳴が聞こえた気がする。
もちろんそこにはオレの好きだったコの声も聞こえた。
オレのまわりの膜の外で。
ソレ以来、記憶が無くなったのは昨日で2回目である。
確かに最近、オレはちょっと鬱々としていたから
あんましいいお酒ではなかったのかもしれないけれど、
ソレでも、飲み自体は楽しくやっていた気がする。
友人タケやカズと居酒屋でガーッと飲んだ。
このへんの記憶は完璧にある。
そんでその後、いつものオネイサンの飲み屋に行ったワケだが、
ここの記憶も完璧にある。
で、いい感じで酔って、
カラオケやろうぜーっつって、
店のカラオケで歌を歌った。
ここらの記憶もばっちりだ。
で、パフュームを歌うっつって(オレが)、
『チョコレイトディスコ』歌わせろっつって(オレが)、
そんで、音楽が流れたから踊り始めたら歌えなくなって、
「歌かダンスか、どっちかをとらなけらば・・・」と思って
結局ダンスを選択して、
音楽がかかってるのに誰も歌わない中、
オレが一人、ムキになってパフュームのダンスを踊ってって、
そこらへんの記憶もある。
ただ、そこからの記憶が一切ない。
そこからの記憶がまるでない。
朝、フツーに、
っつーかワリと気持ちよく目覚めてオレ、
「そういえば、昨日飲んでたんだな・・・」
そう思い返したのだけれど、
どうやって帰ってきたのか、
何時に帰ってきたのか、
お金はいくら払ったのかなど、
そこらへんの記憶がまるっきり欠落している。
ただ、事実として。
昨日、飲みに行く前にはウチには無かった
PSPのゲームソフトがウチにある。
レシートを見ると、
昨日の夜にコンビニで買ったことになっている。
そしてもうひとつの事実として。
エロDVDがレンタルされている。
いつの間にレンタルしたのかわからないのだけれど、
エロDVDがオレの部屋にある。
レシートを見るとやはり、
昨日の夜にレンタルしたことになっているのだが、
ただ、その数が尋常じゃない。
15本。
レシートを見るとナゼかオレ、
エロいのを15本もレンタルしている。
「レシート、長っ!!」
・・・・・・
まったく、恐るべきは、酒。
いや、酒が恐ろしいのではなくて、
ソレに飲まれてしまった自分に記憶が無いこと、
その記憶が無くなっている間に自分が取っている行動が
まるでわからないこと、これが恐ろしい。
まぁ、だからといって、
特に後悔などはしていないのだけれど。
とりあえず、日曜の午前中から
エロDVDをプレイヤーにセットしたりしてみる。
コメント
○妻ものが主だったし…。
うらやましいな。
すごい・・・
ちゃんと全部みてくださいねw