今、オレらの仲間ウチでアツイのは、FAXである。
FAX。
あの、なんか紙に書いて
セットして
番号押して
「送信!!」ってやる、FAX。
今、オレらの間ではFAXが空前の大ブーム。
きっかけはこうだ。
つい先日の夜、
いつもの仲間とテツのウチで
NHKのオリンピック放送を見ていた時のこと、
ふと、テツが言ったのだ。
「オレも応援FAXしてみようかな」
応援FAX。
NHKのオリンピック放送では必ず、
競技と競技の間に視聴者からの応援FAXが紹介される。
大抵の場合、後ろの掲示板に貼られたりしていて
ちょっと上手な絵や、小さな子が描いたと思われる応援FAXを
アナウンサーが紹介しているのだが、
テツもアレにFAXしてみようかな、と言うのだ。
「オレ、絵には自信あるし」
で、テツは何やらカキカキカキカキと描いていたのだが、
やがて、
「できた!!」
そこでオレらは、
何やら自信ありげなテツの絵を見てみたのだが。
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
何コレ、はにわ?
「はにわじゃねーよ!!
どー見てもはにわじゃねぇじゃん!!」
しかし、テツの絵ったら、
なんか、ヘンな物体に黒い丸、
おそらく目と口だと思われるのだが、そんなレベルなのである。
もはや「なんか生物っぽい物体」、
良く言ったところで「なんか人っぽい物体」、
すなわち、「はにわ」、
そんなレベルなのである。
うっかりすると邪馬台国である。
そんな物体が、2体並んでいるのである。
しかし、テツにその物体が何かを問えば、
テツはこう言うのである。
「伊調姉妹」
なんだってー!!
伊調姉妹だと言うのだ。
テツは、その物体を
女子レスリングで銀メダルと金メダルを獲った、
伊調姉妹だと言うのだ。
「似てるべ」
「似てねーよ!!全然似てねーよ!!」
「謝れ!!今すぐ伊調姉妹に謝れ!!
はい、北京に向かってゴメンナサイ!!」
「うっそー、伊調姉妹に似てるじゃねー」
「だから、似てねぇって!!
オマエは絵があまりにもヘタクソすぎる!!」
「やっと、人であることが確認できるくらいくらいだろ!!」
「はにわにしか見えん!!」
「はにわじゃねーよ。
ほら、髪の毛あるし。ちゃんと躍動感あるし」
「髪の毛あるはにわだ!!」
「動きすぎのはにわだ!!」
「はにわを描いたって言や、そっくりだって言ってやるよ!!」
「はに丸描いたって言や、そっくりだって言ってやるよ!!」
「一応、こっちが姉でこっちが妹だけどな」
「同じだ!!」
「どっちが姉でも妹でも同じだ!!」
しかし、だ。
テツのそんな、
伊調姉妹だというにはあまりにも失礼すぎる応援FAXが
NHKのオリンピック放送の時、
テレビに映ったのだ。
「ほら!!
オレのFAXだろ!!
見たか?オレのFAX後ろに貼ってあっただろ!!」
あ、ホントだ!!
い、いいなぁ・・・
・・・・・・
それから、である。
オレらの中のFAX魂に火がついたのは。
「あんな絵が後ろに貼られるならオレの絵だって!!」
各人、そう思いながら、
テツの奥さんが実家に帰ってしまったのをいいことに、
テツの家に集まり、
そして応援FAXをNHKに送信し続けているのだ。
残り僅かとなったオリンピック放送に向けて、
FAXを送信し続けているのだ。
目指すはアナウンサーに紹介されること!!
そしてオレらは今日も、
FAX魂を燃やしつづけるのである。
コメント
そんなの聞いたら私も送りたくなりますよ〜。
面白いですよ〜。
なんか、すっごい疲れますけど。
みんな、絵がヘタクソなんですけどねー。
でも、面白いです。
おまさ様もぜひ、送ってみてください!!