「何を目指してんの?どこに行こうとしてんの?」
 
 
 
ニヤニヤとしながら、イヤミたっぷりといった感じで言われた。
 
 
 
 
 
 
 
 
ヤツらがオレのことを気に入らないのは前から知っていた。

理由は簡単。
ヤツらの中のひとりが好意を抱いている女子とオレの仲がいいから。

まったくもって迷惑な話で、
彼女と深い関係でもなんでもないオレとしてはそんなもん、
勝手に告白でもなんでもして、勝手にフラレちまえ、ってなもんなのだが、
聞くところによると、すでにフラレていたらしい。
 
 
 
「だって、キライなんだもん」とは彼女の弁。
 
 
 
彼女が言うには、教えてもいないのに、
どこで調べたのか彼女の自宅に手紙が送られてきたのだそうだ。
ヤツにとっては純愛だったのかもしれないが、
彼女にとってはマジで通報する5秒前、ぐらいの恐怖だったらしい。

彼女はヤツにきちんとお断りをしたらしいのだが、
しかしヤツはどうにも諦めきれないらしく、ことあるごとに迫るらしい。
 
 
 
「1回だけでいいからデートして、ってしつこいんですよ。どう思います?」
 
 
 
どう思うって・・・コワイ、かな?
 
 
 
「でしょ?しかもキモチワルイでしょ?」
 
 
 
キモチワルイかどうかはよく解らないけれど、
その迫りかたは彼女にとってのヤツの印象を悪くするにはじゅうぶんに思えた。
 
彼女とヤツの間にはどうやら過去にそんなことがあったらしいのだけど、
そして今、オレにそのとばっちりが来ている。
 
 
 
 
 
 
 
 
といっても、そのとばっちりは、
ことあるごとに、ヤツと、その仲間たちが
なんかネチネチとイヤミを言ってくるくらいのもんで、
オレにとってはベツにたいしたことじゃぁない。

まったく、そういう粘着質なところがキラワレるんだろうよ、
そう言ってやろうかとも思ったけれど、まぁ、テキトーにかわしている。

例えば、オレが定時で帰る時、残業をするヤツらは
「あ~、定時で帰れるなんて羨ましいね~」だの
「こっちはこんなに忙しいのによっぽど暇なんだろうね」だの、
そんなんをわざとオレの耳に入るように声を張って言うくらいのもんだ。

ソレを聞いてオレは、
「あ~、バカなヤツらがバカなことを言っている。
 でも、バカなんだからバカなことを言うのは仕方がないことだ」
そう思って無視している。

ちうか、そんなんを言われても、さほど腹が立たないのだ。
ヤツらにイヤミを言われても、さほど腹が立たないのだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
ソレはきっと、オレは内心、
ヤツらを完全に見下しているから、なのだと思う。

他人を見下すことは決して良いことではないのだけれど、
でも、なんちうか、そういう人間性、
「好意を抱いている女子に振り向いてもらえないとそのまわりの人間を恨む」、
そういう人間性を目の当たりにした時、あまりにもソレに呆れてしまって、
もはや、笑いさえ浮かんでしまうほどにダセェと思ったり、
憐れだと思ったりしてしまうのだ。

要するに、「見下している」。

だからオレは、ヤツらに何を言われてもベツに、
「ハイハイハイハイ、そうですね」ってな感じで流す、といった
態度をとり続けていたワケなのだが。
 
 
 
 
 
 
 
 
しかし最近、その流す態度が気に入らないのか、
それとも、こっちが何も言わないことに調子に乗ってきてるのだか知らないが、
最近のヤツらはどうも、調子に乗りすぎている感があった。

きっと、オレがヤツらを見下していて何も言わないことで、
ヤツらはオレを「何も言えないヤツ」と決めて見下しているのだと思う。

そして今日、言われたのだ。

ヤツらが言ってきたのは、オレの髪型のこと。

少し前にオレは、髪型を変えたのだ。
髪の毛が長いのはそのままなのだけど、その長い髪の内側、
側頭部と後頭部を全て、上まで刈り上げた。
簡単に言えば太目のモヒカンみたいなもんだ。
もしくはチョー、ツーブロック。
毛が残っているのは頭の上のほうだけ、といったカタチで、
普段はその残った髪の毛を下げたり結んだりしている。

まぁ、ジツにジツに小さいことなのだけれど、
ヤツらはそんなんをターゲットにネチネチ始まったのだ。
 
 
 
「その髪型ってかっこいいの?」

「そんな髪型で恥ずかしくないの?」

「そんな頭にして、
 いったい何を目指してんの?どこに行こうとしてんの?」
 
 
 
ヤツらと部署は違うから、食堂や喫煙所でしか顔を合わせることがないのだが、
その喫煙所で顔を合わせた時、
ヤツらはニヤニヤとした顔をしてオレをバカにしたように、
オレの髪型をどーのこーの言ってきた。

全部質問型である。

オレは、ベツに無視してもよかったのだけれど、
まぁ、質問型ということもあるし、これもいい機会かと、
少し考えてから見下すように言ってやった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「オマエ、かっこいいの?って訊いたな?
 オマエらにはこの髪型の良さはわかんねぇかもしんねぇ。
 でも、オレには絶対の自信がある。
 この良さがわかんねぇってんなら、所詮オマエらはその程度ってことだ。

 そんでオマエ。
 恥ずかしくないか訊いたな?
 全然恥ずかしくねぇぞ。

 そんでオマエ。
 何目指してるの?どこに行きたいの?っつったな?
 オレが行きたいのはオマエらには一生かかっても到達できない場所だ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
さらに一言、付け加えてやった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「オマエら、ダセェぞ?
 この、ポコチン軍団。ポコチンズめ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そしてオレは、ニヤニヤ笑ってその場を離れた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
オレがニヤニヤ笑っていたのは、
咄嗟に口に出た「ポコチンズ」というネーミングが、
咄嗟に出たワリには上出来だ、と思えたからである。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

コメント

べー
2009年11月5日11:26

ゲル兄、カックイー!
そんなやつらはハナクソピンッです!

べるの
2009年11月5日16:27

男女限らずどこにでもいますねー(-Δ-)=3
よっぽど暇なんじゃないですかね?自分が気に入らない人間に構うなんて。

タイマンはれないヤツは所詮ザコですわね。

…その素敵な髪型見てみたい(笑

ひなた
2009年11月6日12:13

´~` ポコチンズ!!名前がかわいいぞポコチンズ!

ゲルタ
2009年11月8日20:52

●べー様。
 ありがとございやす!!
 ほんと、ハナクソピンです!!
 ハナクソどころかホントの、おおっと!!
 危なかかった!!
 
 
 
●べるの様。
 気に入らないなら気に入らないで結構だから、
 ほっといてくれりゃいいのですよねー。
 文句あるならかかってきやがれ、という感じっすわー。
 
 オレの髪型、母親いわく「バカみたい」です(笑
 でも、いいのです。
 自分のセンスに、人の理解など求めないのです!!
 マイウェイっす!!
 
 
 
●ひなた様。
 ポコチンズって、響きがいいですよね!!
 なんかこう・・・
 やっぱ、「ポコ」の発音にかわいさを感じるのかなぁ。
 咄嗟とはいえ、ヤツらにつけるのには少し、もったいない気がしてきました・・

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