「最近、地元で空巣の被害が続発してるらしいから気をつけろ」
どこからともなくそんな情報が伝わってきて、
ソレを聞いた母親は、
「でも、空巣のカッコした人なんて見ないよねぇ」
そんな、間のヌケタことを言っていた。
母親は、「空巣」と聞いてどんなカッコを想像しているのだろう。
母親の頭に浮かんでいる空巣はもしかして、黒づくめのカッコに
唐草模様の風呂敷なんか持っちゃったりしてるんじゃないだろうか。
帽子はやっぱりハンチングで。
いかにも昭和な感じな。
だいたい、今時の空巣のみなさんは・・・
や、空巣に「みなさん」って言うのもおかしい気がするけど、
今時の空巣のみなさんは、ワリとフツーのカッコをしてるんじゃないだろうか。
むしろ、「デキる男」的にスーツなんかをパリッと
着こなしちゃったりしてんじゃないだろうか。
そんなカッコでカギをガチャリとやったり、
コンパスみたいなアレをつかって
窓ガラスを「クルッてやって、トーン!!」みたいな。
今時の空巣ってそんな感じじゃないのだろうか。
「クルッてやって、トーン!!」はないかもしれないけれど。
ちうか、母親は「空巣のカッコした人を見ない」と言ったけれど、
空巣がいちいち目撃情報残してたら、商売が成り立たんだろ!!
空巣は商売じゃないけどね!!
しかし、である。
オレは過去に、もしかすると空巣だったかもしれない人を目撃したことがある。
あくまでも「だったかもしれない」人。
「黒」とは言えない。
でも、「白」とも言いきれない。
そんな人。
当時オレは郵便局で配達の仕事をしていて、
その仕事で、あるお宅に小包を配達に行ったのだ。
で、そのお宅は細い路地の奥にあるお宅だったから、
配達車を大通りに停めて、小包を持って歩いてそのお宅に行ったワケだけれど、
そのお宅はあいにく誰もいなくて、
オレは、玄関先で不在連絡票を書いてポストに入れて帰ろうとした。
で、車に帰ろうとしたら、
なんか、そのお宅の横のちょっと高めの塀を、男が降りようとしてるのが見えた。
男はオレがいることに気づかないみたいで、その塀を降りようとしてる。
オレは、まさしく「その時どうかしてた」と思うのだけれど、
その高い塀を降りてきた人を、てっきり「そのお宅の人」だと思って、
思いっきり挨拶したのだ。
「こんにちは~、郵便局で~す!!」って。
そしたらその男は、ハッと振り返って、「あ、こんにちは!!」、と。
で、その男をそのお宅の人だと思い込んでいるオレは、
その人に「小包をお届けにきました」みたいなことを言ったのだけれど、
そしたら男は、ちょっと焦ってたのかもしれないけれど、
オレに向かってこう言ったのだ。
「いや、オレはこの家の人じゃないんで」
・・・・・・
じゃ、アナタはココでナニをシテいるの?
今思えば、まったくそういうことなのだけれど、
当時の「どうかしているオレ」は
「あ、そうなんですかー」とそのまま引き下がる。
帰り際にちょっと振り返ってみると、
男はナゼか、また、塀を上り始めていたという。
その男の行動に疑問を感じたのは、その次の日だったか次の次の日だったか。
職場に、警察が来たのだ。
警察が、
「最近ここらへんで空巣が出たという話がありますので、
郵便局のみなさんにもご協力を・・・」みたいな感じで
職場に警察の人が来たのだ。
その時になってオレ、「そういえば・・・」、と。
そのナゾの男が「そうである」とは決して言えないけれど、
「もしかすると」、ということで、人相だのなんだの、
警察にいろいろと話を訊かれたという。
その後、そのナゾの男がどうなったかは知らないけれど、
あの男はいったい何だったのだろうか。
警察にいろいろ話を訊かれた中で、
これは警察にも伝えたことなのだが、
1つだけ今でもはっきりと覚えていることがある。
ソレは、そのナゾの男が、ハンチングをかぶっていたことである。
コメント
毎日楽しみにしています.
それにしてもハンチングの男,ナゾですね〜
はじめまして!!
いや、こんな日記にすんません!!
ありがとうございます!!
これからもどうぞ、よろしくお願いいたします!!
ハンチングの男、ナゾですよー。
オレの中では8割がた、なにかしらの「犯人」なんですけどねー。