昼休み、
オレのななめ前で昼ごはんを食べていたトッちゃんは、カワイイ女子である。
いつもポワ~としていて、
どこか世間ズレしている感じのある女子である。
どういうワケか知らんが、よく、
コピー機だのホワイトボードにぶつかっている。
ちょっと面白い女子である。
反対に、オレの隣で昼ごはんを食べていたナミは、なんか豪快な女子である。
なんか、とってもザックリしてる女子である。
一緒にボードに行く約束をした日、
肝心の板を駅のホームに忘れたまま電車に乗ってしまうような女子である。
オレの部屋で泥酔して、ゲロを吐くような女である。
なんかちょっと、残念な感じもする女子である。
トッちゃんは、今時珍しく、ラピュタを一度も観たことが無いのだそうだ。
『天空の城ラピュタ』
ジブリの名作。
一年に一度は金曜ロードショー。
昼休み、トッちゃんの口から「ラピュタを観たことが無い」と聞いたナミは、
オレの隣で「ええ~!?マジで!?」と必要以上にデカイ声で驚いた。
その驚きを観たトッちゃんは、
「え?みんな観てるんですか?」と、驚かれたことに驚いた。
『ラピュタ』を一度も観たことがないトッちゃんに、
ナミが、ごはんを食べながら『ラピュタ』の説明をはじめる。
「空にお城があるお話なんだよ」
とてもザックリな説明だ。
「あらすじを言うとね」
ナミは、ハンバーグを食べながら、さらにザックリな説明を続けた。
「男の子と女の子がいるんだけど、
なんか、途中で海賊の飛行船に乗るのね?
で、雲の中にラピュタがあってね」
“あらすじを言う”と言っていたが、
その説明はあまりにも“あらすじ過ぎ”やしないだろうか、ナミよ。
「ラピュタには、ロボットがいたり財宝とかあったりするのね?
あと、なんか、ビュ~ンてなんか、
ビームみたいなのも地上に向かって撃てるのね?
悪いヤツがソレを撃つの、ビュ~ンて」
その話ではすでにクライマックスに突入しているのだが、
その“悪いヤツ”はどのへんから出てきてたんだ、ナミよ。
「あれ?ラピュタって空にあるんですか?」
だから『天空の城』だって言ってるじゃないか、トッちゃんよ。
「空のどのへんの高さにあるんですかね?」
そこに引っかかるのか、トッちゃんよ。
「ん~、宇宙の下あたりかな」
だいたいみんなそうだぜ、
だいたいみんな宇宙の下だぜ、ナミよ。
「で、悪いヤツがビュンビュンやるからね、男の子と女の子がね」
お、久しぶりに主役が出てきた。
「ナントカッ!!って、
ラピュタがボロボロになる呪文を言うの。
こう、男の子と女の子が手をつないで
ナントカッ!!って滅ぶ呪文を言うと、ラピュタが崩れていくの。
それで、めでたしめでたし、みたいな」
そんな説明でわかるかっ!!
「へぇ~」
えっ!?わかったの!?
「ナントカッ!!って、なんて言うんですか?」
トッちゃんがハンバーグを食べながら、ナミに質問した。
「あ~、なんだっけ。
一言。なんだっけ?
ゲルさん、あの呪文、なんて言うんだっけ?」
ナミは、隣でうどんをズズズと食うオレに話を振ってきた。
「あー、滅びの呪文?」
「うん」
だからオレは箸を置き、その質問に力いっぱい、答えた。
「ラモスッ!!」
「いやいやいや!!
違う違う違う!!
あ、でもまぁ、言葉の響き的にはだいたいそんな感じだね」
「へぇ~」
コメント
もしかして、マジ答??(苦笑)
ダイジョブダイジョブ、マジ答ではないです!!(笑
いちおう、彼女たちに対してボケてみました。
反応、ワリと薄かったですけど(笑
●ひなた様。
まぁ、だいたいあんな感じの呪文でしたよね~。
「ラモス」でも意外とイケたんじゃないかなって思うんですよ~。