鼻にツンとくる刺激臭が家中を満たす。
下の階では今、母親が白髪染めで白髪を染めている。
ウチの家系は元々髪が真っ白になるようで母親も当然真っ白。
だから、たびたびこうして家中を刺激臭で満たしながら
白髪を染めているワケなのだが。
その度に、
母親が白髪染めで家中を刺激臭で満たすたびに、思い出すことがある。
ソレは、仲間うちで未だ語りつがれる『ごはんですよ事件』。
アレはまだ、オレが高校生の頃。
当時のオレは、15歳なのにナゼかバイクに乗ってたり、
リアルに『積木くずし』を再現しちゃってた姉とは違って
「もの凄いヤンキー」というワケではなかったが、
どちらかといえばソッチ寄りで、
学校でタバコを吸ったり、
ケンカしたり、
教師の車にイタズラしたり、
教師に教科書を投げつけて大問題になったりするような生徒だった、
って、こうして思い出すとじゅうぶんにヒドイ生徒なワケですが。
でも、それでもベツに「悲惨」な程にグレていたというワケではなく、
たいした反抗期も無く、家に帰れば親とは仲が良いというような、
いわば、「明るい不良少年」「健全な不良少年(?)」としての
中途半端な地位を確立していたワケで、
早い話がオレは、「盗んだバイクで走り出した」り、
「夜の校舎窓ガラス壊してまわった」りする程に
学校や社会に対しての不満やメッセージを胸に秘めてるワケでもなく、
ただなんとなーく不良に憧れて、
ただなんとなーく不良ファッションに身を包み、
ただなんとなーく悪いと言われることをしてたら
いつの間にかそういう人種になってしまったという、
そういう中途半端な人間であった。
で、その中途半端なオレは高校時代、
ただなんとなーく思ったのだ。
「髪、染めてみようかな」
いや、それまでにも染めたことはあったのだけれど、
もうちょっと強めにやってみようかな、と思ったのだ。
で、当時近所に一軒しかなかったコンビニに行って、
(近所っつっても徒歩では行けない距離。しかも21時閉店)
そんで、ブリーチ剤を買おうとしたのだが。
そのコンビニの棚には
髪の毛用のブリーチ剤と、男性用のスネ毛の脱色剤があった。
で、オレは、「どっち買おうかなー」って思って、
ただなんとなーく、スネ毛の脱色剤を買い、家に帰り、
だたなんとなーく、髪に塗りたくってみたのだ。
そんで、待つ事10分・・・15分・・・
「いや、今回はもうちょっと強めにする予定だから」
待つ事20分・・・
「うわー、どうしよう、そろそろかな?」
確認しようとしても、
なんだか汚いあわあわみたいので髪が
どれだけの色に変化したのかがよくわからない。
そのあわあわを拭いて確認なんかしたら
そこだけ髪の色がヘンになりそうだし・・・
「念のため、もうちょいいってみっか」
で、待つ事約30分。
髪に塗りたくったあわあわをを洗い流してみると。
「な、なんですか、この色は・・・」
金?
いや、金というよりほぼ白・・・かな?
うおおおおっ!!
なんか、ヤベェ!!
なんかヤベェことになってるぞ、オレの頭っ!!
恐るべきは男性用スネ毛脱色剤っ!!
これじゃぁまるで、アレじゃん!!
コレじゃぁまるでオレ、
学校とか社会に不満アリアリの人みたいじゃん!!
不満アリアリで髪を染めて何かを訴えてる人みたいじゃん!!
盗んだバイクで走り出す人みたいじゃん!!
夜の校舎窓ガラス壊してまわる人みたいじゃーん!!
でも・・・
でもオレ・・・
学校や社会にそんなに不満なんて無いんですよっ!!
・・・・・・
焦った。
オレはもの凄く焦った。
で、母親に「こんなんなっちゃった」って
白髪みたいになった頭を見せたら母親、
「この、バカめがっ!!」
そんで母親はオレに、
予備にストックしてあった母親の白髪染めをくれた。
で、オレは、その母親の白髪染めを髪の毛に塗りたくってみたのだが。
「な、なんですか、この色は・・・」
黒。
もう、どうしようもない程に、黒。
言い訳できない程に、真っ黒。
自然界に生きる人間に
自然と生えてくる髪の毛としてはあり得ないであろうほどの、黒。
「恐るべし、ビゲン!!」
で、結局オレはその、
あまりにも不自然な程に黒々とした髪の毛のまま、
学校に行ったワケなのだが。
そこに待っていたのは、オレの仲間たちの好奇の目であった。
「なんだ?その色」
「不自然なくらいに黒いな」
「なんか、ものすごーく、黒だね」
「タイヤみたいな色だな」
「自分が着てる学ランよりも髪の方が黒いもんな」
「富士ヨット学生服みたいな」
「黒より黒いスーパーブラック!!
(当時、こんな学生服のCMをやっていた)」
「絵の具で塗ったみたいだ」
「絵の具というよりはペンキで塗ったみたいだ」
「なんか、あまりにも不自然でカツラかぶってるみたいだ」
「つーか、ひじき乗っけてるみたいだ」
人の髪の色を散々にいう仲間たち。
あー、言ってくれ!!
不自然さ!!
オレの髪の毛は不自然なくらいに黒さ!!
もう、どうにでも言ってくれ!!
と、そのうちの1人が、こう言ったのだ。
「ごはんですよみたい」
「ごはんですよみたい」
ご、ご、ごはんですよって・・・
ごはんですよはあんまりじゃないか・・・(←効いてる)
それから数日の間、オレは、仲間から「桃屋」と呼ばれた。
これが、未だに仲間うちで語りつがれる『ごはんですよ事件』である。
嘘をつかれるのって、ツライ。
相手は嘘がバレてないと思ってるけど
ジツはその嘘はこっちにまるっきりバレてる。
そんな時、嘘をつかれてる側はツライ。
その相手を信用してればしてたほど、その対応に困る。
知らんぷりして騙されたフリをしてやるか。
自分に嘘をついたことを咎めるべきか。
それとも、金輪際関係を断ち切る覚悟で一発ブッ飛ばしてやるべきか。
今、オレは、現在進行形で嘘をつかれている。
次の週末、会社の男3人でボードに行く約束をしていたのだけれど、
そのうちの1人が急に、
「用事ができたからボードに行けなくなった」
そう言ってきて、男3人のボード計画は潰れた。
もともと信用してたヤツだからオレはその言葉を信じたワケだが、
しかし、ジツはその日、その男は他の男数人と、
そして、他の女の子数人と一緒に、
ボードに行くということがわかった。
つまり、オレとのボードを嘘をついて断って、
女の子たちとボードに行くということである。
嘘をついたのは間違いない。
なにしろ、その話は、
オレがソノ日にボードに行く約束をしていたことを知らない、
その相手の女の子たちに聞いたのだから。
なんか、ものすごく落ち込んだ。
なんか、ものすごくガッカリした。
男女で滑りにいく話に
参加させてもらえなかったから落ち込んだワケではなく、
嘘をつかれたことに落ち込んだ。
ベツに、その男たちも女たちも
年齢はオレよか10コくらい下だし、
オレだって、きちんとワケを話して断ってもらえれば
男3人でボードに行く計画は快く取り止めにしたものの、
ソイツは、オレに嘘をついた。
落ち込んで落ち込んで、どうしようもなかった。
どん底というくらいに落ち込んだ。
そして、落ち込んだ後にやってきたのは、怒り。
信用してただけに、どうしようもない怒りがやってきた。
何が頭に来るって、
さっきも言ったとおり、この嘘は現在進行形。
その男は、未だに嘘がオレにバレてないと思っていて、
しゃぁしゃぁとオレに近づいてくる。
(オメーの嘘なんざ、すでにバレてんぞ?)
オレがそう思ってても、オレが何も言わないもんだから、
ヤツはオレを完璧に騙したと思ってしゃぁしゃぁと近づいてくる。
その事にハラがたつ。
そんな時、どういう対応をすればいいのだろうか。
さっきも言ったとおり、
知らんぷりして騙されたフリをしてやるべきか。
嘘をついたことを咎めるべきか。
それとも、金輪際関係を断ち切る覚悟で一発ブッ飛ばしてやるべきか。
寛大な心の持ち主ならば知らんぷりでもしてやるのだろうが、
生憎、オレの心はめちゃくちゃ狭い。
大人ならば嘘をついたことを咎めるところなのだろうが
生憎、オレは歳をとってるだけのただの子供だ。
すると、答えは1つになるのだが。
とりあえず、次の週末まで待ってやることにする。
ムカツクけど、騙されてるフリをしてやることにする。
次の週末までに事実を自ら話してくれば、良し。
次の週末を過ぎてもヤツがオレを騙し続けた時は・・・
1つ言えるのは、
すでに爆発する準備はできている、そういうことだ。
先輩 ト 後輩 ト 好ミノ顔。 ソシテ20円。
2008年3月12日 日常 コメント (3)会社の食堂の自販機で後輩にジュースをオゴろうとして、
後輩に100円渡して好きなジュースを選ばせたら、
後輩は紙パックの80円のジュースを選んだ。
「え?ソレでいいの?」
「いいんす。オレ、これが好きなんす。
あ、はいコレ、お釣りの20円す」
「あ、いいよ。そのお釣りはとっときな」
「いや、いいですよ。ちゃんと返しますよ」
「いいからいいから」
「いやいや、いいっすよ」
「いいから、そのお金で妹に美味いもんでも買って食わせてやりな」
「20円で食べれる美味いモンてなんですかね?」
「チロルとか?」
「出た、チロル出た。
じゃ、チロル代いただきます」
「おう、妹に食わせてやれ、チロル」
食堂の椅子に座る。
すると、目の前を1人の女性が歩いていった。
「あんな人、前からいました?どこの部署だろ」
「わかんね」
「キレイな人でしたよね」
「そう?」
「え?キレイだと思いませんでした?」
「いや、そんなには」
「なんか、キビシイ目してますねー」
「いや、そんなことねぇよ?」
「つーか、彼女とかいないんすか?」
「あー、いないねー」
「なんで?」
「そんなん知らねーよ。
つーか、オレ、最近解ったんだよ。見て、このスーツ」
「そのスーツが何なんすか?」
「このスーツ、『もてスリム』なんだよ」
「あー、CMやってますね」
「そう。オレ、『もてスリム』買ったんだよ」
「へー」
「で、オレ、最近解ったんだけどさ」
「はい」
「『もてスリム』着てても、
最初からモテないヤツは『もてスリム』着てもモテねーんだよ」
「そうなんすか?」
「うん」
「最近気付いたんすか?」
「うん」
「気付くの遅くないっすか?」
「いや、もしかしてそうなのかな?っては思ってたんだけど、
実際に自分が着てみて、はっきり確証を得たね」
話は、好みのタイプの話になる。
「てか、どういうタイプが好みなんすか?」
「いや、特にないねー」
「好みのタイプとかにうるさくないのに彼女できないんすか?」
「うん」
「わかった、アレなんじゃないすか?
もしかして、好みはないとか言いながら、
高望みしすぎてるんじゃないですか?」
「何オメー、オレが低い位置にいるって言いたいワケ?」
「いやいや、そんなこと言ってないすよ」
「言ってるよ。
オレに対して“高望みしすぎてる”って言うのは、
“低い位置にいるヤツが無理してる”って言ってるのと同じだから」
「いや、そんなつもりは無いですから」
「そう?ならいいんだけど」
「そうですよ」
「じゃ、いいよ。殴らないでおいてやる」
「殴るつもりだったんですか?」
「軽く」
「軽くでもイヤですよ。
つーか、芸能人とかだと
どんなタイプの顔が好きなんですか?」
「あんましいねぇのよ。
オレは雰囲気とかで好きになるから。
小泉今日子とかカッケーと思わね?」
「あ、カッケーすね」
「でしょ、ああいう感じが好きなのよ」
「でも、女の人見てカワイイとかキレイとかは思うんでしょ?」
「そりゃぁ、まぁ」
「じゃ、芸能人でいえば誰すか?」
「うーん、あんましわかんないんだけどねー。
まぁ、誰の目が好きとかあの人の口がいいとか、パーツで言えば」
「じゃ、パーツパーツで言えば誰すか?」
「んー、じゃ、耳は・・・」
「え?耳から入るんすか?」
「うん、耳は、しょこたん」
「あんましわかんないとか言いながら“しょこたん”って呼ぶんすね」
「うん、しょこたんの耳ってカワイイと思わね?」
「いや、耳に対してかわいいという感情を持ったことがないです」
「カワイイんだよ、しょこたんの耳は。
輪郭もしょこたんだな。あとねー、目はねー」
「目は?」
「水川あさみ?だっけ?」
「あー、はいはい」
「なんかこう、キリッとした感じの。ああいうの好き」
「へー」
「で、鼻はねー。
まぁ、鼻は穴が2つ開いてりゃなんでもいいや」
「大雑把ですね」
「で、口は、星ありすだな、やっぱ」
「誰すか?」
「星ありす。AV女優」
「どんな口なんすか?」
「なんかこう、唇がプクーッて厚ぼったいの。
アレ、アンジェリーナ・ジョリーみたいな感じ」
「じゃ、最初から
口はアンジェリーナ・ジョリーで良かったんじゃないすか?」
「じゃ、アンジェリーナ・ジョリーでいいよ」
「なんか、あんましわかんないと言いながら、
パーツパーツに対してはキビシイっすよね」
「そう?」
「あ、アレですよね。
この、好きなパーツパーツを組み合わせた顔が、
好みの顔ってことになるんじゃないですかね?」
「あ、そうかもね」
「輪郭と耳がしょこたんで、
目が水川あさみで、鼻の穴が2つあって、
口がアンジェリーナ・ジョリー。
このパーツを組み合わせた顔」
「うん」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
想像中。
「カワイイですかね?この顔」
「いや、ダメだね。
さっき好みは無いって言ったけど、この顔はダメだ」
オレの好みの話から、後輩の話に移る。
「で?オメーは彼女とかいんの?」
「え?」
「彼女だよ」
「ええ、まぁ」
「マジで!?」
「あ、はい。知らなかったすか?」
「知らねーよ。聞いてねーよ。うわ、隠してやがったよ」
「いや、ベツに隠すつもりはないんですけど」
「あ、そー。で、長いの?」
「あ、いや、まだ3ヶ月ってとこです」
「あ、そー。
じゃ、今が一番イイ時期だね」
「あー、そうなのかなぁ」
「そうだよ」
「うーん・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「じゃ、さっきの20円返してくんない?」
「マジすか?」
「あたりめーだろコノヤロー。
こちとら、
彼女いるヤツにくれてやる金なんか一円足りとも無ぇんだよ」
会社のトイレの前で、女子とすれ違ったのです。
オレが男子便所から出てきたら丁度、
女子便所に入ろうとしてる女子とすれ違ったのです。
そしてその女子。
様子がなんだかものすごーくオカシイ。
なんかですね、フラッフラなんですね。
その女子、とにかくフラッフラなの。
もう、全然まっすぐに歩けない状態で、
あっちにフラフラ、こっちにフラフラ、
そんなんでやっと前に歩いてる状態。
オレ、そんな女子の姿を見て、
思わず「ダイジョブ?」なんて訊いたんだけど、
そのフラフラ女子は何も答えないまま、女子トイレに。
そんな状態の人見ちゃったら、やっぱ気になるじゃないですか。
だからって、オレが女子トイレに入るワケにもいかないし。
だからオレ、ちょっとだけ待ってみようと思ったのですね。
そのフラフラ女子が、ちゃんと出てくるかどうか確認しようと、
女子トイレの前で待つ事にしたのですよ。
もしかすると、気分が悪くてゲロを吐きに来ただけで、
モドシたらスッキリして出てくるかもしれないし。
フラフラなのは、ヘタすりゃ酔拳の練習中なのかもしんないし。
んなワケないと思うけど。
だからオレ、待つことにしたのです。
で、女子トイレの前で待っていたのですが。
3分経っても出てこない。
まぁ、まだウンコの途中かもしんないし。
5分経っても出てこない。
もしかすると、ウンコが流れなくててこずってるのかもしれないし。
更に、10分経っても出てこない。
え?そんなに流れねぇの?
そんなに流れねぇほどのモノなの?
いやいやいや、違う!!違うぞ、オレ!!
ウンコじゃねぇから!!
ウンコが流れないんじゃねぇから!!
これはきっと女子の身に何かが!!
さっきのフラフラ女子の身に、何かが起こっている!!
どうしたものかと慌てるオレ。
女子便の前であからさまにうろたえるオレ。
女子便に入るか入るまいか。
女子便に入っていいものかダメなものか。
いこかもどろか、もどろかいこか。
慌てふためくオレ。
と、丁度その時。
トイレにやってきた同じ職場のナミ登場。
「ゲルタさん、トイレの前で何してんの?
あからさまに怪しいんだけど」
おい!!
おい、オマエ!!
オマエは何か大きな勘違いをしている!!
オレは、ナミに説明しました。
ナゼにオレが女子便の前にいるのかを。
フラッフラの女子がトイレに入っていったこと。
話し掛けても返事が無かったこと。
そして、10分経っても出てこないこと。
「ナミ、ちょっと見てきてくんねぇ?
もしかすると、ブッ倒れてるかもしんねぇし」
で、ナミは女子便の中に入っていったのですが、
するとすぐ、中からナミ。
「ゲルタさん!!
ちょと早く!!早く来てっ!!」
え?いいんですか?
オレ、男なんですけど女子便入っちゃっていいんですか?
「いいから早くっ!!」
あ、じゃ、失礼しまーす・・・
いやぁ、オレ、初めて女子便に入るけどさ、
女子便の空気は心なしか甘いよね。
記念に肺に入れておこうかな・・・・・・って、ぬおおおおおっ!!
倒れてるじゃないですか・・・
え?何?死んでんの!?
フラフラ女子、死んでんの!?
「わかんない!!
名前呼んでも返事しない!!」
じゃ、もっと名前呼べ!!
あと、とりあえず脈だ!!
「脈ってどこ!!」
手首っ!!
「無い!!わかんない!!」
ナミ、大パニック。
ナミ、落ち着け!!
んじゃ、頚動脈だ!!
「頚動脈ってどこ!!」
首だよ首っ!!
「わかんないよ!!」
よし、そこをどけ、オレがやるっ!!
オマエはこの子の上司に連絡して救急車を呼んでもらえっ!!
「わかった!!行ってくるっ!!」
ダッシュで女子便を出て行くナミ。
倒れてる女子は相変わらず名前を呼んでも返事は無く。
ただ、首を触ると脈が波打ち、
鼻の下に手をあてがうと息が感じられる。
ともかく、呼吸はしてる様子。
オレ、ホッと一安心。
で、一安心した時、
オレ、ふと思ったのですね。
「アレ?ここって女子便だよな」って。
「今オレ、女子便にいるんだよな」って。
おいおいおい、この状況、冷静に考えるとマズくないか?
だってさ、女子便に男がいてさ、
そんで、女子が倒れててさ。
なんかオレ、犯人ぽくね?
なんかさ、
なんちうかさ、例えば盗撮?
例えば、オレが女子便に忍び込んで
カメラを設置しようとしたところをこの女子に見つかって、
なもんだから、うっかり殺してしまいました、とか。
そんな犯人ぽくね?
だってさ、女子便に男がいること自体がありえないことでさ。
しかもオレ、今日ヒゲ面だし。
土曜、日曜とヒゲ剃らなくて、
今日の朝はうっかりヒゲ剃るの忘れたからヒゲボーボーだし。
なんかモノスゴク悪人面だし。
そんな悪人面の男が女子便で、
倒れてる女子の横に屈みこんでたら・・・
「あー。
この状況、何も知らない人に見られたら誤解されるかもねー。
ナミをここに残して、オレが連絡に行けばよかったわー」
そんなん思ってたら。
ナミが連絡しに行ってる間。
違う女子が入ってきて。
案の定。
「キャァァァァッ!!」
はい、犯人じゃないよー。
オレは犯人じゃないよー。
・・・・・・
結局、その倒れた女子はすぐに救急車で運ばれ。
これは後からのことですが、女子は、意識も回復したと聞きました。
どうして倒れたかは聞いてないけど。
まぁ、無事だったからオッケーということで。
さて、その直後のこと。
女子が担架に乗せられて、
救急車に乗せられる為に運ばれて行った直後のこと。
女子が運ばれた後の女子便には、オレとナミの2人が残りました。
「いやー、ビックリしたよねー」
「なぁ、ほんとビックリしたよなー」
「ダイジョブかなぁ」
「ダイジョブでしょ、きっと」
「いやー。
それにしてもアタシ、トイレに来たんだけど、
ビックリしたからオシッコが止まったよー」
「あー、ビックリするとなー。
オシッコのこととか忘れちゃうよなー」
「とりあえず安心したら、
なんかまたオシッコしたくなってきたー」
「あ、そー」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「あ、オレ?
オレのこと?
いや、オレのことは気にすることないから、
オシッコしちゃっていいよ?
どうぞどうぞ、オレのことは気にせずにオシッコしちゃって」
「早く出てけよ、変態」
先輩 ト 後輩 ト メイドサン。ソシテ、ステラオバサン。
2008年3月9日 日常 コメント (5)会社での昼休み、
後輩のヒロトが話し掛けてきた。
「ゲルタさん、メイドカフェって行ったことありますか?」
「あー、あるよ。秋葉原の。
こないだお土産に『秋葉原銘菓ぽんぽこメイド』買ってきたろうが」
「あー、あれ、『銘菓ひよこ』じゃなかったんですか?」
「全然違うから。『秋葉原銘菓ぽんぽこメイド』だから」
「ふーん、味もカタチもほぼ『ひよこ』と同じでしたけどね」
「まぁね。包装紙にメイドさんの絵が描いてあっただけで
中身はたぬきのカタチのまんじゅうだったしね」
「ホントに秋葉原銘菓なんですか?」
「知らね。違うんじゃないの?
前からあったたぬきまんじゅうを、
後からメイドさんの絵で包装したってところじゃない?
で、何?メイドカフェがどうしたって?」
「いやー、俺、行ったことないから、面白いのかなーって思って」
「さー、どうだろね。人それぞれなんじゃない?」
「ゲルタさんはどうでした?
“萌え”っすか?やっぱ“萌え”っすか?」
「いやー、オレはベツにねー。
メイドさん見て喜んでる年齢でもないからねー」
「でも、行ったんすよね?秋葉原に」
「何事も経験だからね」
「大人っすねー」
「まぁね」
「じゃぁ、ゲルタさんはあんまり興味ないかもしんねーなぁ」
「何が?」
「いやー、ジツはですね」
「うん」
「近くにメイドカフェがオープンしたらしいっすよ」
ま、マジでっ!?
「あ、今、ゲルタさん、顔が変わりましたよね?」
「変ってねぇよ!!全然変ってねぇよ!!」
「うっそーん」
「ホントだっつーの!!
オレは常に冷静だから!!
感情が顔に出ない人間だから!!
“あれ?キミ、こけし?”くらいに表情変んねーから!!」
「こけし面っすか」
「あー、こけし面だね。オレはこけし面だね。
しかもそんじょそこらのこけしじゃねぇぞ?鳴子のこけしな」
「あー、メジャーっすね、鳴子こけしは」
「こけし界のスーパースターだな。
こけし界のジャニーズ事務所みてぇなもんだ」
「なんすか、“こけし界”って」
「あるんだよ、こけしにはこけしの世界が。
で?何?そのオープンしたメイドカフェってどこにあんの?」
「いや、オレも聞いただけなんですけど、街中らしいっすよ」
「へー、そうなんだ」
「何?もしかしてゲルタさん、行きたいんすか?」
「いや、ベツに行きたくはねーけどさ。
でも、オメーは行きたいんでしょ?」
「うん、俺は行きたいっす」
「じゃ、付き合ってやろうか?1人じゃ行きづらいだろうし」
「いや、いいっすよ」
「いいから付き合ってやるよ」
「いや、いいっすよ。興味無い人付き合わせるのも悪いし」
「いいから遠慮すんなって」
「いや、ほんとに」
「うっせ!!
付き合うっつったら付き合ってやんだよ!!
めんどくせぇこと言ってると殴っちゃうぞコノヤロー」
「わかりましたよ!!じゃ、一緒に行きましょうよ!!」
「わかった、じゃぁ、
しょーがねぇから付き合ってやるよ。めんどくせぇけどー」
「ゲルタさんの方がめんどくせぇんすけど」
「じゃ、今日は定時で退社な」
「あ、今日行くんすか?」
「当たり前じゃん!!今日行かなくていつ行くんだよ!!」
「なんか、めんどくせぇとか言いながらノリノリじゃないっすか?」
「違うよ、今日しか空いてないからだよ。
他の日は全部スケジュールがびっちりだから。
オレの日常は分刻みでスケジュールが入ってるから」
「国会議員並みっすね」
「首相レベルな」
で、仕事帰りに目的地のメイドカフェに向かう。
「メイドさんて、ホントに“ご主人様”って言うんですか?」
「言うね。初めて言った店なのに
“お帰りなさいませ、ご主人様”って言うもん」
「へー、なんかすげぇ」
「あれ?もしかしてオレ、
以前にもここに来たことある?なんてそんな錯覚に」
「陥るんすか?」
「陥らねーけど」
「なんすか、ソレ」
「でも、もしかするとオレは多重人格者で、
オレとは違う人格であるオレが以前にも・・・なんてね。
ビリー・ミリガン的な」
「誰すか?ソレ」
「なんかスゲー人だよ」
「へー」
「しかし、店が見つからないねー」
「多分、このへんにあるって話だったんですけど・・・」
「いや、オレもパソコンで調べたんだけどさー」
「え?いつ調べたんすか?」
「仕事中?」
「仕事中に何やってんすか」
「ダイジョブダイジョブ。バレなかったから」
「そういう問題じゃないっすよ」
「ドンマイドンマイ」
「ドンマイっては自分では言わない言葉ですよ」
「で、調べたんだけどさー。
全然出てこねーんだよ。フィルタかかっちゃうし」
「あー、そうでしょうね。
多分、このへんって聞いたんだけどなぁ」
「でもこのへん、飲み屋ばっかじゃね?」
「ですよねー」
そして、さらに店を探すこと約5分。
やっと、目的の店を発見した。
「あ!!この店じゃねっすか?」
「ああ、ホントだ!!メイドって書いてある!!」
「わー、やっと見つけたー。ホントにあったんだー」
「あれ?ちょっと待って?」
「なんすか?」
「キミ、店の看板をよく見てみろ」
『30分 6000円』
「うっわ!!高ぇっすね!!
メイドカフェってこんなん高いんすか?」
「いや・・・」
「じゃ、なんで?」
「キミ、この店の話は誰に聞いた?
ソイツはメイドカフェって言ったのか?」
「言いましたよ」
「じゃぁ、ソイツを一発殴っとけ。
いいか、この店はメイドカフェじゃなく・・・」
「メイドカフェじゃなく・・・」
「メイドパブだ!!」
「メイドパブ!!
何すか?メイドパブって何すか!?」
「知らん!!
ランジェリーパブみたいなもんだろ!!」
「ランジェリーパブって何すかー!?」
「アレだ!!
なんか知んねーけど下着のオネイサンとお酒を飲む店だ!!」
「下着って何すか?ブラジャーっすか?」
「ブラジャーだ!!」
「パンツっすか!?」
「パンツだ!!」
「おかしいじゃん!!
下着で酒飲んでんのおかしいじゃん!!」
「でも、世の中にはそういう世界もある!!」
「行ったことあんすか?」
「無ぇよ!!
オレ、そういう大人な店は苦手なんだよ!!」
「じゃ、ここも大人な店なんすかね?」
「多分、お酒飲みながら
メイドさんとお話するだけの店だと思うけど・・・」
「どうします?入りますか?」
「でもさ、30分っつったらあっという間だぜ?」
「そうっすよね」
「そんなあっという間にできる話なんつったらさ、
自己紹介と、あと、干支の話だけだろ」
「ゲルタさん、干支の話なんかするんすか?」
「や、この歳になると、
店のオネイサンとかはたいてい、一回り下の年齢とかだから。
12歳下とかがザラだから。
“22歳です”なんつったらもう、
“じゃぁ、丑年だねぇ”なんつって」
「あ、オレも丑年っすよ」
「残念ながら、オメーに興味は無ぇ」
「じゃー、どうします?入るのやめますか?」
「そうだなー。
なんか、モチベーション下がったよな」
「そうっすね」
「ソレにさ、考えてみれば中のメイドさんも地元のヤツでしょ。
福島弁丸出しでメイドさんやられてもなー。なんかなー」
「確かに」
「6000円払うのもなんかムカツクっしょ。
だったら秋葉原行くっつーの。
もうちょっと金出して本場まで行くっつーの」
「そうっすね。
じゃ、今日はナシってことで」
「そうだね」
結局、メイドパブに行くのはやめになる。
「じゃ、この後どうします?どこか行きます?」
「じゃ、あそこ行こうか、あそこ」
「どこっすか?」
「ステラおばさんのクッキー」
「マジすか?ステラおばさんすか?ナゼにステラおばさん?」
「や、あそこってさ、
お店の人の格好が若干メイドさんっぽいでしょ」
「そうすか?」
「若干ね、若干。メイドさんじゃないけど。
秋葉原に行く時までは、ステラおばさんに行こうぜ?」
「クッキー、美味しいですしね。
つーか、秋葉原、行くんすか?」
「オメ、行きてーでしょ?」
「まぁ」
「しょーがねーから付き合ってやるよ。めんどくせぇけどー」
今の子って、なんだかオシャレですよね。
なんか知んないけど、高校生も中学生もオシャレ。
ヘタすりゃチビッコなんかもブーツとか履いちゃってるし。
きっと、お父さんとかお母さんが
頑張ってオシャレさせてるんだと思うけど、
なんだか羨ましいなぁ、なんて思ったり。
だってさ、オレがチビッコの頃なんか、
いっつも仮面ライダーがプリントされてる服着てたもん。
んで、小学生の時は年中、学校ジャージ。
一応、中学生くらいになると流行とかを気にし出すんだけど、
今考えると、流行とはいえその流行が
「なんだかなー」といった感じだった。
特に男子。
まず、映画『トップガン』の影響だかなんだか、
男子はみんなMA−1着てましたね。
MA−1フライトジャケット。
黒で、裏地がオレンジの。
オレと同年代の男子はきっと解るハズ。
(参考資料「MA−1フライトジャケット」)
http://www.workwork-world.com/sagyo/19-ma-1.jpg
んで、靴はK−SWISS。
同時期にPro−Kedsも流行ったけど、オレはK−SWISS派でした。
真っ白の。
これは、今でも全然カッケーと思うけど。
(参考資料「K−SWISS」)
http://www.pocopattino.com/girls/Athletic/KSwissClassicWhite.html
んで、ズボンはアレ。
ケミカルウォッシュのジーンズ。
(参考資料「ケミカルウォッシュジーンズ」)
http://home.cilas.net/pippi/bdfd/img/020902b.jpg
なんだか青いデニム地がうようよと白く色落ちしてるから、
オレらの間では「うようよジーパン」、
略して「うよパン」なんて呼ばれてて、みんな、
「そのうよパン、カッケーね!!」だとか
「イイうようよ具合だね!!」だとか、
そんなん言ってたワケですけど、
今思えばその会話自体がすこぶるかっこわるいワケですが。
ですが、あの時代。
これらがが若者たちのマストアイテムだったワケで。
多くの若者がこの衣装に身を包み街中を闊歩していたワケで。
今考えるとゾッとしますが。
で、どうしてオレがこんな話をしてるかと言えば、
ジツはオレ、これらのアイテムを捨てずに未だ持っているからです。
流石に着てはいないけど。
でも、流行って何年か、
何十年かおきにサイクルがあるって言うじゃないですか。
もしかすると、また、
これらのアイテムが流行る時代が来るのかなー、なんて。
うよパンがカッコヨク見える時代が来るのかなー、なんて。
まぁ、そんな時代が来たら来たでなんだか困っちゃう気もしますが。
つまらない話を聞いた。
ウチの会社のオレと同じ部署の女Sと、
やはり同じ会社の違う部署の男、Yの話。
この2人はどうやら、深い関係になったらしい。
その話は本当のことだろうと思った。
なぜならSがYに好意を抱いているのをオレは知っていたし、
なにしろ、その話をオレにしてきたのは、Y本人だから。
「同じ部署にSって女いるでしょ」
仕事中、喫煙所で偶然会った時にYはにやにや近づいてきた。
オレは、このYという男が前からキライだった。
なんか知らないけど受け付けなかった。
でも、Yはオレにそう思われてることを知らないらしく、
いっつもにやにや近づいてくる。
今回もそうだった。
今回もYはにやにや近づいてきて、自慢気にオレに言ったのだ。
「あの女、食っちゃったよ」
Yは、べらべらと喋りつづけた。
その話を聞きながらオレは、やっぱりこの男がキライだと思う。
Yは自慢気に1人で喋りつづけた。
短くなったタバコを灰皿でもみ消しては
すぐに新しいタバコに火をつけ、べらべらべらべら喋りつづけた。
その話を聞きながらオレは、バカだなぁと思った。
バカなのは、オレと同じ部署で働く女、Sだ。
Sは、どうしてこんな男に引っ掛かってしまったのだろう。
自分との関係を、「食う」とか「食わない」だなんて、
そんな下品な言葉で表現で自慢する男。
どうしてこんな男に引っ掛かってしまったのだろう。
だいたい、このYという男は結婚を数ヵ月後に控えているのだ。
もし、ソレを承知でそういう関係になったのならば
Sもとんでもない大馬鹿野郎だ。
そして、もう一方のこのYという男は馬鹿ではなく、
カス野郎だと思った。馬鹿にも劣る。
同じ会社内にいるSとの関係をべらべら喋りやがって、
すくなくとも、この話を聞いたのはオレだけではないだろう。
Yは「内緒にして」と言いながら、きっと、
何人かの仲間に話してるだろう。
もしかすると、そんな話で盛り上がったのかもしれない。
もし、Sがソレを知ったらどういう思いをするのか。
もちろん、Sにも咎められるべき軽率な行為があったのだけれども、
それでも、自分があーだこーだと話のタネにされて、
ソレがマワリにヤツの知れるところとなった時、
Sは、どんな思いをするのだろう。
きっと、SにはYに対する愛情に近いものがあったはず。
けれどそのYにはSに対しての感情などなく、
Yは、ただその感情を利用したのだ。
話をボーッと聞きながらそんなことを考えていたら、
だんだんムカムカしてきた。
「それでさー、その時さー」
Yの話はまだ続いていた。
オレがたいして興味を示さなかったせいか、
Yは、オレに向かって言ってきた。
「ねぇ、聞いてる?」
ああ、聞いてるよ。
今までの話はちゃんと聞いてた。
Sをどういうふうに誘ったかも、
どこのホテルに言ったかも、全部ちゃんと聞いてたよ。
だから。
Yの股間を思いっきり蹴り上げてやった。
はっきり言ってオレは、誰と誰がどうなろうと興味はない。
オマエと誰がどうなろうと知ったことではない。
でも、今回はムカついた。
ムカムカしてたまらなかった。
だから。
「これから先、Sの名前を一度でも口に出したら
オメーのキンタマ使い物にならなくするから覚えておけよ?」
これ以上喋るな、このおしゃべり野郎。
昨日のことである。
看護学生に会いたいが為にわざわざ4時間近くかけて
山形県のスキー場に行き(昨日の日記参照)、
友人ヨーや看護学生であるその妹、
そして妹の同級生たちにスノーボードを教え、
そして、いざ帰ろうという時のことである。
ゲル:「はーい、みなさん準備はできましたかー?」
一同:「はーい」
ゲル:「忘れ物はないですかー?」
一同:「はーい」
ゲル:「トイレは大丈夫ですかー?」
一同:「はーい」
準備万端。
あとは、いざ地元に向けて帰るのみ。
ゲル:「よし、じゃぁみんな、車に乗り込めっ!!」
昨日は、ヨーとその妹や友達たちが前日から一泊で来ていた為に、
オレがあとから合流する、というカタチであった。
行きは、女子4人、みんな運転できるらしく、
全員でヨーの車1台を交換交換に運転しながら来たのだという。
まぁ、4人ならば車1台で事足りるワケなのだけれど、
オレが途中で合流した為に、帰りは車が2台になる。
人数はオレを含めて5人(女子4人、男オレ1人)になるワケで、
当然オレは、車2台に3:2に分乗して帰るのだと思っていた。
車2台のうちの1台はオレの車だから当然オレが運転するワケで、
オレの車に、女子のうち誰か1人が乗るのだと思っていた。
というか、期待していた。
しかし。
ゲル:「よし、じゃぁみんな、車に乗り込めっ!!」
一同:「はーい」
そして車に乗り込む5人の男女。
【 オレの車 (オレ1人) 】
【 ヨーの車 (女子4人) 】
はいはい、ちょっと待てーいっ!!
おかしくね?
これ、なんかおかしくね?
ヨー:「何が?」
“何が”?
え?今、“何が”って言った?
“何が?”ってオメー、おかしいじゃん!!
だって、オレら5人な?
オレら、合わせて5人いるのな?
それが、どうして4:1に分かれるワケ!?
フツー、3:2でしょ。
3:2に分かれて車に乗るでしょ、車2台なんだからよー。
ヨー:「そう?」
“そう?”ってオメー、そうだよ!!
フツーはそうだよ!!
それに、アレじゃん!!
そっちの車は女子が4人いて
「温泉よかったねー」とか
「ボード楽しかったねー」とか
きっとそんな話で賑やかになっていいけどさー、
オレ、男1人で淋しいじゃん!!
淋しい熱帯魚じゃん!!
ソレとも何か?
1人で喋ってろってか?
オレは1人で喋ってろってか?
「楽しかったねー」
「うん、楽しかったねー」
って、オレは1人2役やってろってか?
残念ながら、オレはいっこく堂ではない!!
ソレに、アレだぜ?
オレ、ボードの帰り道に1人で車に乗ってたら、
淋しくてきっと泣いちゃうぜ?
涙で前が見えなくなって、事故っちゃうんだ。
そして、死んじゃうんだ。
『福島県の34歳男性、事故死』
『楽しいはずのボード旅行が一転』
山形の新聞にそんなん載っちゃうんだ。
かーっ、つまんねぇ人生だったぜ!!
ヨー:「じゃぁ、安全運転で」
オレは今、そんな話をしてるんじゃない!!
するとヨーは、「まぁ、確かに」と言い、そして、続けた。
ヨー:「確かにね。
言われてみりゃぁ、車2台に4:1ってのはヘンだよね。
誰か女子チームから1人がゲルタさんの車に行って、
3:2に分かれたほういいよね」
だろ?
そう思うだろ?
ヨー:「それに、車を広く使ったほうがいいよね。
せっかく2台あるんだもんね」
だろ?
そう思うだろ?
さすがヨーだ、物分りがいい!!
だったら、女子をマイ・カーに!!
女子を1人、マイ・カーに乗せてくれ!!
ヨー:「うん」
よっしゃぁ!!
さぁ来い!!
女子1人、マイ・カーに来い!!
そして土曜日遊園地1年経ったらハネムーン!!
と、思ったら。
ヨー:「じゃ、失礼しまーす、っと」
ヨーかよ・・・
オメーがこっちに来たのかよ・・・
ロマンスの神様、降臨せず。
ゲレンデが溶けるほどの恋もできず。
おはようございます。ゲルタでございます。
本日は日曜日。
ワタクシはお休みなワケですが、
そんなお休みの日にもワタクシ、早起きです。
頑張って早起きしたのであります。
なぜならソレは、スノーボード。
や、昨日の夜中ですね、
以前一緒に働いていた女、ヨーから電話があったのですね。
ホント、夜中に。
夜中の2時ころとかに。
で、オレ、なんだこらバカヤローとか思いながら電話に出たのですが。
そんでまぁ、
その電話の内容は、早い話が「スノーボードを教えてほしい」と。
なんでもヨー、今シーズンからボードを始めたそうなのですが、
これが一向に上達しないらしい。
そんで、オレに助けを求めてきた、と、こういうワケでして。
で、そのヨーは、ボード旅行とかっつって、
同行者とどこかの温泉に泊まってるらしく、
その温泉から急遽、オレの存在を思い出して
電話をかけてきたらしいのですが。
「ゲルタさん、ボード得意って言ってたでしょー」
まぁね。
まぁ、16年もやってりゃほどほどには滑れるワケだけれど。
「ウチら、みんな初心者だからさー。
なんかイキオイだけで温泉まで来ちゃったんだけど、
よくよく考えたら滑れる人いないんだよねー」
まぁ、こっちとしても教えることは全然構わないんだけど。
「それにさー」
何?
「ゲルタさん、暇かなーと思って」
はいはい、暇で悪ぅござんしたね!!
休日に何もなくて悪ぅござんしたね!!
で、どこのスキー場に行けば?
「ん?蔵王(←山形県にある樹氷で有名なスキー場)」
あー、ウチからだと片道4時間くらいかかるね。
つーか、アホか!!
4時間かけて蔵王まで行けってか!!
「あー、ごめーん。
でも、ゲルタさんなら来てくれるかなーと思って」
行くワケないだろうが!!
だって4時間っつったらちょっとしたアルバイトだぜ?
なんでこの貴重な休みの日に4時間もかけて労働せにゃならんのだ?
仮に、行くとしても金とるぞ?
移動にかかった時間も含めたお金をもらうぞ?
時給は100ドル!!
円じゃねぇぞ、ドルだ!!
オレの1時間は高ぇんだ!!
時給100ドル払えるなら行ってやってもいいが、
払えないなら絶対に行かんわ!!
そしたら、ヨー。
「でもゲルタさん、
ウチら、女の子だけで来てるって言ったらどうする?」
え?(←気持ちが揺れた瞬間)
「しかも、アタシ以外はみんな、
看護学生って言ったらどうする?」
か、看護学生!?(←心が激しく動いた瞬間)
くっ・・・
さすがヨーだ。
この女、オレの心を掴む術を心得てやがる・・・
「アタシの妹が看護学生でねー。
アタシと妹と、あと、妹の学校の友達2人なんだけど」
ちうかオメー、妹いんの?
「いるよ?」
看護学生なの?
「そうだよ?」
なんでもっと早く言わねーんだこのバカッ!!
「言う必要がなかったから言わなかったんだよバカッ!!」
まぁ、そんなワケでオレ、
すっかり「看護学生」という言葉に踊らされて
わざわざ山形まで行くことになったのですが。
だってさ、看護婦さんとかダイスキじゃない、僕たち男の子。
しかもさ、今回はさ、
その「看護婦さん」なうえに「学生さん」なワケだぜ?
いや、正確には「看護婦さん」ではないけれど、
でも、白衣なワケだぜ?
しかもアレだからね?
看護学生の白衣って、看護婦さんのソレとは違う感じでなんか、
なんつーか、それはソレでまたイイ感じなんだよね!!
しかも、よくよく考えてみりゃぁ、
「看護学生」ってことはアレでしょ?
通学時は学校の制服なワケじゃない?
んで、実習の時は白衣じゃない?
なんちうかもう、ダブルパンチじゃなーい!!(←興奮冷め遣らぬ)
はっ、イカン!!
ついつい看護学生について熱くその思いを語ってしまった!!
ちうか、この時点で結構遅刻気味だから
急がなきゃならないんですけどね。
ちうことでオレ、今から行ってきます!!
蔵王まで行ってきます!!
いざ、蔵王!!
・・・・・・
でもさ、冷静に考えたらさ、看護学生っつったって
スキー場で会う時は学校の制服でも白衣でもなくて、
ただのボードのウェアなんだよな。
はっ!!
イカン!!
イカンよ、オレ!!
テンション下げちゃダメ!!
冷静になんな!!
いざ、蔵王っ!!
いざ、看護学生っ!!
・早いもので、今日から3月。
日が過ぎるにしたがい外の空気はだんだんと丸みを帯びてきて、
あちこちからちらほらと梅の便りが届き始めました。
春ですね。
あらためましてこんにちは。
ゲルタでございます。
みなさんは春は好きですか?
ワタクシは春がスキです。
おだやかな気候の中にあって、人は、
この季節に多くの別れを経験します。
しかしその別れは多くの場合決して悲観的なモノではなく、
次のステップに進む為の希望に溢れた別れであり、
そしてその数々の別れたちを、この春の空気が
ふんわりと包んでくれている気がするから。
だからワタシは、春が好きです。
・さて、春の別れといえば、卒業。
いよいよ卒業シーズンとなり、
各地では卒業式なんかが行われるかと思います。
あらためまして、
卒業を迎えられるみなさん、おめでとうございます。
この支配からの卒業おめでとうございます。
戦いからの卒業おめでとうございます。
さて、卒業式といえば、アレですね。
「第2ボタン」ですね。
女子が、意中の男子や憧れの男子の学生服のボタンを貰うという、
なんだかよくわかんない慣習みたいのがありますよね。
学ランではなくブレザーが増え、
携帯電話というどこにいても繋がることができる便利なツールを
中学生でも持っている昨今、
この「第2ボタンに関する一連のやりとり」は、
未だに慣習として残っているのでしょうか。
未だに「ボタンください」なんて女子はいるのでしょうか。
はなはだ疑問ではございますが。
そんな「ボタン」。
恥ずかしながらワタクシゲルタも、中学生の時、
「ボタンをください!!」と言われたことがあります。3人から。
1人は引っ込み思案な感じの下級生の子で、
オレと同級生でもあったお姉ちゃんに付き添われて
オレんとこにやってきまして。
「ボタン、ちょーだい」と。
まあ、なんせ当の本人は引っ込み思案ということもあってか
お姉ちゃんが代わりに言ってきまして。
その子には第2ボタンはあげれないから
第3ボタンをあげたのですが。
もう1人もやっぱり下級生の子。
その子は「第2ボタンください!!」と言ってきまして、
でも、悪いけどオレ、その子のことが好きでもなかったものですから
やっぱり第2ボタンはあげられねぇってんで、
第4ボタンをあげまして。
そしたらその子は今度、
「ネームプレートください!!」
学生服の胸につけてるネームプレート、アレをください、と。
まぁ、ベツにそんなもん、要らないからあげたのですが、
そしたら今度、
「襟カラーをください!!」
学生服のツメ襟のね、あの内側についてるカラーをくれ、と。
そんなもん、襟まわりの汚れしかついてねーよ、
汚れの首輪しかついてねーよ、って思うのですが、
ソレもくれ、と。
まぁ、あげちゃったんですけど。
そしてもう1人は、同学年の子。
隣のクラスのヤツでしてね、
身長が低いオレよりも背がだいぶ高くて、
まぁ、その時すでに180センチ近くあったヤツでして。
オレと同じくバレーボール部に所属してまして、
高い身長を活かしてブロッカーとして活躍してたヤツで。
上半身なんかもう、ムキムキでしてね。
声もなんだか太い声をしてまして。
まぁ、早い話が男なんですが。
男にね、「ボタンちょーだーい」って。
いや、前からわかってたんですよ。
ソイツがそういうタイプだということもわかってた。
部活の時なんか、オレんとこ「ゲルくぅ〜ん」なんて言って
デカイ体してオレんとこいちいち纏わりつきやがって。
「ゲルくぅ〜ん、好きぃ〜」とか言いやがって。
こちとらもう、
「うるせぇ!!甘い声を出すなっ!!」
なんつって。
で、そんなヤツが「ボタンちょーだーい」って。
だから、オレが第1ボタンをあげようとすると、彼は言うのですね。
「第2ボタン残ってるじゃん、ちょーだいよー」
太いクセに甘い声で言うワケですよ。
そんで、しかも、そいつはこう言うワケですよ。
「付き合ってください」
ワオ!!
告白!!
ありがとう!!
こんなオレに好意を持ってくれてどうもありがとう!!
でも・・・
でも・・・
なんか、ゴメン!!
いや、オマエの志向を否定するつもりはないし、
それはソレで立派な愛のカタチであることは間違いないのだけれど、
「なんか、ゴメン!!」と。
だってオレ、女の子の方が好きなんだもん・・・
結局彼にもボタンをあげまして。
代わりに、彼の第2ボタンをなかば強引に受け取らされまして。
もしかすると、家ん中捜せばどこかにあるかも。
で、ふと、
「オレのボタンはどうなったんだろう」なんて、
そんなこと思ったりします。
あれから20年近く。
やっぱ捨てられちゃってるんだろうなぁ。
・卒業といえば、毎年この時期、
「別れ」をテーマにした歌がたくさん歌われます。
古いところでいえば、斉藤由貴の「卒業」。
あとは、おニャン子クラブの「じゃあね」。
他には・・・・・・
まぁ、古い曲しか思い浮かばないのですが。
で、そんな曲たちの中でも一際輝く歌、
もう、名曲中の名曲とも言えるのが、
柏原良恵の「春なのに」。
卒業をテーマに、別れを迎えなければいけない
女性を歌った曲なのですが、これがまた、いい歌。
この季節、
「♪春なのーにー、春なのーにー
ためいーき、またひとーつー」
なんてついつい、口ずさんでしまったりします。
で、その「春なのに」。
この「春なのに」、最近歌ってて、
ふと、ひっかかる歌詞がありました。
や、この歌の中に、こんな歌詞があるのですね。
「♪記念にくださいボタンをひとつ 青い空に捨てます」
・・・・・・
捨てんならあげねぇよな。
外国語のことはあまり知らないのだけれど、
おそらく日本語ほど曖昧な表現がある言語というのは
世界にも例をみないのではないか、と思う。
だからといってソレが悪いというワケではなく、
むしろ、その曖昧さがあるから便利であるワケなのだが、
その曖昧な表現を外国人が完璧に理解するのは
かなり難しいのではないか、と思う。
例えば、「アレ」。
家なんかでよく、「リモコン」という名前をど忘れして
「アレ取って、アレ」なんて言うと、意外にも
「ああ、アレね」なんつってリモコンを取ってもらえたりする。
それは、自分が言う「アレ」が自分の周りにある多くのモノを
指すに当て嵌まる言葉であるからであり、そして、
自分以外の人にとっても「アレ」が多くのモノを指すに
当て嵌まる言葉であるからである。
名前が思い出せない場合だけではなく、
お互いに共通の認識さえあれば
「例のアレ」なんて言葉でその「アレ」が何を指すかが
お互いに理解できるし、
他にも、人体を指して「アレ」と言えば、
それはもう、9割方チンコのことを指すことになる。
他にも、例えば、他人を指すに「アレは」という場合もあるし、
また、他人の人となりを指すにも
「彼はちょっとアレなもんで・・・」
そんなふうに、わざと(否定的に)ぼかして言うのにも
使用されたりするもんだから、
「アレ」という言葉はその曖昧さが便利さを生み出している
一つの例であると思われる。
「アレ」、曖昧であるが故に便利な言葉である。
曖昧であるが故に便利な言葉は他にもある。
例えば、「ソレ」。
「アレ」と同様に「ソレ」も便利な言葉であるが、
ただしこの場合、「ソレ」をもって人体を指しても、
それはチンコを指すにはならない。
他にもある。
例えば、「何」。
「ここに何か一筆書いて」なんて言う場合があるが、
その「何」は何を指しているか不鮮明であるにも関わらず、
ある程度「何」を書いたらいいのか見当がつく。
「何」も非情に便利な言葉である。
また、この「何」をカタカナで「ナニ」と表記して人体を指した場合、
これも9割方、チンコのことになる。
他にもある。
例えば、「あそこ」。
「あそこ」は目的地などを指すに多く使われる言葉であって、
その「あそこ」だけでその「あそこ」がどこの「あそこ」か
理解できたりもする、非情に便利な言葉である。
また、その「あそこ」で人体を指した場合・・・これは辞めておく。
と、まぁ、日本語には数多くの曖昧な言葉があって、
上の例以外にもたくさんの曖昧な言葉があるワケだが。
なぜ、オレがこんな話をたらたらと書いたかというと、
今日の昼休み、一緒にメシを食ってたナミが
「ヘンなとこ」
そう言ったからである。
隣でメシを食ってたナミが、
うどんの汁を飲んだ時にいきなり
「ゲホッゲホッ」とむせ出したのだ。
そして散々ゲホゲホした挙句、少し涙目になったナミが、
こう言ったのだ。
「あー、ヘンなとこに入った」
「ヘンなとこ」
まぁ、ナミが言う「ヘンなとこ」はどこか、大体察しはつく。
この「ヘンなとこ」も非常に便利な言葉で、
「ヘンなとこ」と言うことによって
「通常とは違うどこか」を表現することができるワケだが、
ただ、オレは気になった。
ナミが言う「ヘンなとこ」がどこか気になった。
だからオレは、
その「ヘンなとこ」がどこか、ハッキリさせたいと思ったのだ。
ナミが言うその「ヘンなとこ」がどこなのか、
ハッキリさせておきたい衝動に駆られたのだ。
だから、オレはナミに問うた。
「ねーねー、ヘンなとこってどこー?ねーねーねーねー」
するとナミはオレを睨んで、言った。
「・・・エロ」
ナゼ!?
ノリちゃんが、仕事で大失敗を犯してしまった。
ノリちゃんやオレを含めたウチのチームの仕事は
会社側と職員側の間に入って通勤手当や扶養手当、
住居手当などの各種手当を職員の申告書類に基づいて支払い、
または、職員が虚偽の申告をしていないかを精査するというモノ。
例えば、通勤の道のりが片道10?だと5000円、
9.9?ではぐっと下がって2500円の支給になるとして、
職員が、「自分は片道10?の道のりを通勤している」と申告しても、
ウチのチームの精査で9.9?と判断されれば
職員に対して支払われる金額は2500円とする。
例え100mとて一切のオマケなし。
非情な世界。
そんな仕事をしていて、同じ会社内にありながら
独立した存在であるウチのチームだから
職員にすればウチのチームの人間は厄介な存在であって、
職員が会社のユニフォームを着ているのに対して
オレを含めたウチのチームはスーツで仕事をしているから
しばしば「スーツ組」などと呼ばれて忌み嫌われたりする。
スーツ組と職員側はそんな関係にあるから、
ウチのチームの人間が失敗をすると、
職員側はここぞとばかりに攻撃に出る。
だから、大失敗を犯してしまった19歳の女子であるノリちゃんは、
自分が失敗を犯したことに気付くと真っ青になって、
やがて顔を覆って泣き出してしまった。
ノリちゃんの失敗は、もう、言い訳なんかできないほどの失敗だった。
なんせ、昨年の秋頃に引越しをして通勤経路が変った
強面なおっさん職員が提出してた申告書類を処理することを忘れて
放置しっぱなしにしてしまっていたのだ。
おっさん職員にしてみれば、通勤の道のりが長くなったのに、
ソレに対して支払われる通勤手当の金額が一向に変らない。
「これはどういうことなんだ?」と、
おっさん職員が、ただでさえ恐い顔を更に恐くして、
まさしく鬼の形相といった感じで怒りまくりで文句を言ってきた為に
ウチらのチームが保管庫などを探したところ、
ノリちゃんが処理するべき書類の中から、ソレが出てきた。
泣いてしまったノリちゃん。
ノリちゃんは
「与えられた仕事さえもきちんとできなかったのが悔しい」
そう言って泣いたけど、それと同時に、
あの怒りまくりのおっさん職員が恐ろしく思えたのであろう、
あのおっさんに謝らなければいけないと思うと
気が遠くなるほどだったのだろうと、オレは感じた。
ノリちゃんは泣き声で言う。
「ワタシ、どうしたらいいですか?」
そんなもん、
謝罪にいかなければならないに決まっている。
何も誤魔化そうとせず、速やかに事実をきちんと報告したうえで
謝罪しなければならないだろう。
しかし、本来ならば謝罪に行くのは
上司であるチームのリーダーと、ノリちゃんとの2人で
行くべきところなのだけれど、生憎本日、リーダーは休み。
だからといって、謝罪を先延ばしにすることもできず。
「ワタシ、謝りに行ってきます」
ノリちゃんはそう泣いてグズグズな声で言うものの、
完全に青ざめた顔になって、その足はなかなか歩が進まない。
怯えてるのは明らか。
そして、小さなノリちゃんの身体は一回り小さく見えて、
自分の犯した過ちといえど、自分の歳の倍以上の歳の
しわくちゃなおっさん職員に1人で謝りに行かせるのは
なんだか気の毒に思えた。
「しょーがねぇな」
一緒に行ってやることにする。
ノリちゃんが犯してしまった失敗だとしても、
同じチームで働く人間という観点で見れば
ノリちゃんの上司ではないけれどオレにも非はあるし、
なんせ、おっさんの怒声を延々と聞くには
19歳の女の子の身体はまだ細い。
1人で謝りに行くよりも2人で行った方が、
その細い身体にのしかかる負担も少しは軽くなるだろうし、
その負担をあえて引き受けるのも、男の仕事ってもんだ。
“カッコイイ男”を目指す人間なら、ソレは避けては通れない。
「一緒に謝りに行ってやるよ。
でも、そのかわり、全部説明すんのはノリちゃんな?
オレも謝るけど、ノリちゃんもちゃんと自分で謝れよ?
オレは、時々横から口出してやっからよ」
ノリちゃんは「ハイ」というものの、まだ泣き声。
「時々横から口出ししてやっからよ、マーク・パンサー的な立場で」
オレは、泣いてるノリちゃんを笑わせようとしたけど
「それ、誰ですか?」と返され自分が泣きそうになった。
「え?マーク・パンサー知らねぇの?
globeにいたでしょ、
なんか、ジョーイジョーイ言ってるヤツ」
「globe、あんまり知らないんです・・・」
「マジで?
じゃ、ノリちゃんが“H jungle”な!!」
「ゲルタさんは?」
「“with t”に決まってるだろう!!」
ノリちゃんは笑った。
オレらが謝罪するべき相手である
おっさんのいる部署がある部屋のドアの前に立つ。
自分から「一緒に行ってやる」と行ったものの、
正直オレは、ビビッた。
そして、ビビッたらなんか、トイレに行きたくなった。
「ちょっと待ってろ、H jungle!!
with tはオおしっこをしてくる!!」
トイレに行って、謝罪の仕方をあれこれ考える。
まぁ、あれこれ考えたところで事実を正直に話して
素直に謝罪するしかないのだけれど、
それでも、なんかいい謝り方はないかと考える。
しかし、これといって「いい謝り方」など浮かぶワケもなく
ボーッとしてまたオレは、ノリちゃんが待っている
ドアの前に戻ってきてしまった。
「いろいろ考えたけどさ、何も浮かばないわな。
ま、全部正直に話して素直に謝るのが一番ってこったな」
ノリちゃんは「ハイ」と言った。
もう、泣き声じゃぁない。
「よし、オレがドアをノックして開けるからよ、
そしたらまっすぐにおっさんのところに行くのな?」
「ハイ!!」
「準備オッケー?」
「ハイ!!」
「よし、いくぞ、H jungle!!」
「ハイ!!」
おっさんの前に行く。
「失礼します!!
お忙しいところ申し訳ありません!!
この度、私どものミスで、○○さんに多大なご迷惑を
おかけしてしまい誠に申し訳ありませんでした!!」
謝った。
「○○さんの書類を処理させていただく担当はワタシだったのですが、
ワタシがお預かりした大事な書類を保管したまま
処理するのを忘れてしまったために○○さんに
ご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ありませんでした!!」
ノリちゃんも、謝った。
「つきましては、
この度の不始末は上司に速やかに報告をし、
ノリを厳しく指導することにいたします!!
誠に申し訳ありませんでした!!」
「マークパンサー的に横から口出し」とか言ってたが、
ほとんどオレが謝った。
オレもノリちゃんも、深く頭を下げる。
オレは、おっさんにどれほど罵られるか覚悟していた。
しかしおっさんは、始めこそ険しい顔をしていたが、
だんだんと表情が柔らかくなり、
なんだか口元には笑いさえうかべていた。
おっさんは、頭を下げるオレとノリちゃんに、
「わかった、もういいから」と言う。
オレはその言葉に頭を上げると、おっさんは
にやにやとしてこちらを見ていた。
そして、言った。
「キミ、ゲルタくんだっけ?」
「はい、ゲルタと申します」
オレが答えると、
おっさんは「ふふふ」と笑いながら、
「それよりゲルタくん」と言い、そして続けて、言った。
「キミ、ズボンのチャック、開いてるよ」
昼メシの時間、隣で食ってたナミが
オカズのウィンナーを
“ポロリ”
落とした。
「うぉわぁーっ!!
ナミ、早くしろっ!!
3秒以内ならまだセーフッ!!」
いわゆる3秒ルール。
オレは、その3秒ルールに基づいて、
早く拾って食うことを促したのだが、ナミは、
「△◎∝▽◆♪⊥б▲(何と言ったか解らない)、1、2、3!!」
そう言って、落としたウィンナーを食べてしまった。
ナミ、今の何?
「おまじないです」
おまじないって?
「おまじないをすると、落ちたモノでも食べられるんですよ」
アホか!!
おまじないをしたからって食えるワケがなかろうが!!
「知らないんですか?
ウチの方では子供の頃からみんなやってますよ?」
県外にあるナミの家の方では、
落ちたものを食べる時は、みんなおまじないをするのだそうだ。
おまじないをしてから、食べる。
ソレを聞いてオレは思った。
(アホめ)
だいたい、おまじないなんかしてたら
3秒なんかあっという間に過ぎてしまうではないか。
3秒といったらあっという間だ。
落ちたモノが食べれるギリギリの時間も、
おまじないをしている間に過ぎてしまう。
オレがそう言うと、ナミは言う。
「なんで3秒なの?」
んー・・・なんでだろ。
やっぱ、菌が繁殖するとか?
「そんなの、3秒でも10秒でも変らないじゃないですか」
変るだろ!!
3秒と10秒は大きく違うだろ!!
「だって、3秒でも付いた菌は繁殖してんでしょ?
だったら、3秒でも10秒でもどっちにしろ繁殖してんでしょ。
もう、地面に落ちた時点で菌は付いてんだから。
つーか、菌が繁殖するとかって意味がわかんない」
だからよ、3秒までだったら、菌の繁殖もまだ安全圏なのよ。
3秒がギリね。
3秒のラインを越えるか越えないかで大きく運命がかわんのね。
スクールウォーズの最終回の運命のトライみたいな?
「スクールウォーズ見たことないからわかんない」
え?見たことねぇの?
イソップデザインのジャージとか知らねぇの?
胸のマークはライジング・サン!!みたいな。
「知らない」
あ、そ。まぁ、いいや。
で、菌の話だけどよ、3秒以内ならまだ菌も安全圏だけど、
10秒経っちゃったらもう、ものすげぇ繁殖してるから。
ちうか、10秒経ったヤツとか食ったら危ねぇから。
「えー。
3秒と10秒でそんなに変るかなぁ」
オメー、菌をナメんなよ!!
菌の繁殖力をナメんなよ!!
「だいたい、さっきから菌って言うけど、何菌なのよ?」
知らねぇよ!!
知らねぇけど、なんかすげぇ菌なんだよ!!
危ねぇから!!
菌は危ねぇから気をつけろ!!
「えー、なんかバカっぽい」
うるせぇバーカ!!
バカって言った方がバーカ!!
と、オレとナミがそんな話をしていると、
オレの斜め向かいに座っていたヒカリが口を挟んできた。
「ウチの方では、落ちたのを食べれるのは7秒までですよ?」
マジで?
「はい。
7秒以内ならオッケーでしたね」
ヤベェだろ。
7秒はヤベェだろ。
7秒は死ぬぞ?
「でもワタシ、生きてるし」
うーん・・・
そりゃぁきっと、キミが鈍いんじゃないか?
「何で!?」
いや、なんつーの?
自分の身体が菌に蝕まれてることさえ気付いてないという。
「何言ってんですか!?」
じゃ、訊くがヒカリ、キミは最近、
どこか身体の調子が悪かったりしないか?
「いや、特にないですけど・・・
強いて言うなら、最近ちょっと風邪気味ですね」
ほらみろ。
ソレは菌のせいだ。
「だから、風邪だって言ってるじゃないですか!!」
いや、わかんないぜー?
風邪を装った危ない菌かもしれないからなー。
「だから、それは何菌ですか?」
んー、知らねぇ。
と、そんなこと言ってたら、ナミが言った。
「てか、3秒とか7秒とか、どっちでもいいじゃないですか。
なんか、バカみたいだもん」
何をー?
「確かに、菌はつくと思うよ?
でも、3秒とか7秒でどうこうなるってことはないから。
3秒ルールとか7秒ルールとか言って、
慌てて拾って慌てて食べるのって、ちょっとバカっぽいもん。
だからね、そんな時は落ち着いて・・・」
そんな時は落ち着いて?
「おまじないで」
だから、ソレが一番バカっぽいだろう!!
なんですか、この風は。
すごかったよね?
めちゃくちゃすごかったよね、風!!
暴風も暴風。
何これ、全国的だったの?
アホか、と。
まったくアホか、と。
ふざけんじゃないわよ、地球!!と。
そんな地球にキック&パンチ!!
だぁってよぅ。
新幹線がよぅ。
動かねぇんだもんよぅ。
や、オレ、
今日ですね、東京から福島に帰ってきたワケですが、
新幹線がもう、ぐっちゃぐちゃなワケですよ。
東北新幹線のダイヤが。
ぐっちゃぐちゃ。
もう、東京駅とかすごかったですもんね。
足止めくらった人の数が。
駅ん中に人が溢れかえっててさ、オレ、もう、
(えっ?何コレ、祭!?)
実際、ウチの地元の祭よか
東京駅で足止めくらってた人の数のほうが多かったもん。
なんだよ、どれだけ過疎地なんだよ、オレの地元。
まぁ、なんとか新幹線に乗り込んで、オレ、
大都会からそんな過疎地に帰ってきたワケですが。
ま、それはソレとして、この風。
ほんとにすごかったですよね。
皆様のお住まいの地域はダイジョブでしたか?
被害とかありませんでしたか?
オレのお住まいの地域は、
ダメでした。
や、何がダメってさ、
駅についてさ、
車に乗ってウチに帰ってきたらさ、ウチ。
屋根が壊れてました。
ベローンて。
屋根がベローンて。
ボカーンて。
雨どいがボカーンて外れてバキバキって。
なんちうかもう!!
家が壊れてるとなんかすげぇ落ち込む・・・
オレは今、東京にいます。
お友達の結婚パーティーに是非と
お声をかけていただいて参加させていただき、
そしてオレは今、東京にあるホテルの一室にいます。
今日の夕方まで緊急の出張で仙台にいたのですが、
このパーティは外せねぇと東京にやってきました。
すっかり日も沈んだころに東京に着いたときは
まるでこのあたりの地理がわからず、
道行く人に尋ねようと近づいていってもシカトされちゃったりで
「やべぇよ!!東京砂漠だよ!!」
そんな風に思ったりしたのですが、
今、カーテンを開けると
目の前には東京タワーがそびえたっていて、
ソレが放つ黄色と白の光はふんわりやさしく見えて、
その光はまるであたりを包み込むようで、オレは
「ああ、東京って街は案外やさしい街なのだな」
そんなふうに、妙にほっとした気持ちになっています。
ところで、今日の結婚パーティーは、ジツは、
このだいありぃを通じてお友達になった方の
結婚パーティーでした。
それはそれはステキなパーティーで
新婦様であるお友達はとても美しく、
初めてお会いする新郎様は
優しさや懐の深さがお顔ににじみ出ている、
それはソレはステキな男性でした。
思えば、この日記を書き始めて5年とか6年とか、
もしかするとソレ以上経っているのかもしれないのですが、
たくさんの方とお知り合いになっていただきました。
そして今現在までこうして、
なかよくお付き合いをさせていただいてるのですが、
その長い年月のなか、
そのお友達の多くの方が御結婚されました。
それはとてもステキなことで、
とても喜ばしいことで、
オレも、そうして御結婚された多くの方を心から、
もう、心の奥底から祝福しているワケですが。
ですが。
しかし。
いつまで祝福「してる」側なんだよ、と。
いつになったら祝福「される」側になんだよ、と。
キャー!!
なんとかして!!
オレの人生なんとかして!!
ちうか、頑張れよ、と。
オレ、もっと頑張れよ、と。
そんなん思って軽く落ち込んだりしてるワケですが。
そういえばさきほど、
とある女性にこんなお話を伺いました。
「東京タワーの灯りは午前0時に消えて、
消えるその瞬間を一緒に見たカップルは永遠に幸せになれる」
そんなお話がある、ということを教えていただきました。
そんなお話を思い出しながら眺める
東京タワーの灯りはよりいっそうやさしく見えて、
すべてを包みこんでるように見えて、
オレはなんだか、いっそうほっとしてしまったのでした。
まぁ、一人で見たんですけどね。
ちっ。
人の多く集まる場所には必ず噂というヤツはつきもので
それはソレで節度さえあればべつにいいと思うのだけれど、
そういう噂ばっかりを食べてまるまる太り、
ちょっとつつけばとめどなく噂を垂れ流すような、
そんなヤツがいるのは正直、困る。
オレはほとんど毎日の仕事帰りに、
ノリちゃんという女子を職場から駅まで車で送っていく。
ソレは、この寒い季節の夜に1人で歩いちゃカワイソウ、
そんな感じで始まったのだけれど、
たったそれだけの行為でさえもそういう輩は見逃しもせず、
「ゲルタがノリちゃんを狙ってる」だとか、
「2人は付き合ってる」だとか、
そんなことを集団になってはベラベラベラベラ喋りやがる。
それがまた、ヒソヒソ話というレベルではなくて
思いっきりまわりに漏れるように、
てか、わざと漏らしてるように喋るもんだから、
オレもノリちゃんも、困る。
もっとヒドイのは他県から新幹線で通うナミで、
朝、ナミはいつも駅から職場までの道を寒そうに歩いてて、
同じ時間にその道をオレも通るもんだから途中で車に乗せ、
一緒に職場に行くのだけれど、
そういう輩にとってはソレさえも好奇の対象になって、
「朝、一緒に通ってる」だとか
「ナミは家に帰ってないんじゃないの?」とか、
そんな話をベラベラまわりに撒き散らすもんだから、困る。
まぁ、ノリちゃんもナミも
「そういう人には勝手に言わせておけばいい」というので
オレも何も言わずにほったらかしにしてるワケですが。
しかし、しまいにゃ、
「ゲルタはノリちゃんとナミに二股かけてる」だとか
「ゲルタは女とみれば誰彼構わずに狙う」だとか、
「女に節操がない」だとか、
そんな話を撒き散らされるもんだから、困る。
まぁ、そんな感じで、オレは最近うんざり気味なのですが。
今日の帰り、である。
今日はノリちゃんが休みのため、
誰1人送ることなく1人でまっすぐに帰ろうとしていたところ、
その、噂話を撒き散らす女子と通用口で一緒になった。
その女子は言うのだ。
「ゲルタさん、ノリちゃんと付き合ってるって噂あるよ」
「ナミちゃんとも付き合ってるって噂もあるけど」
オレは、
(オメーが噂を撒き散らしてるんじゃねーか)
そう思ってムカッ腹たったのだけれど、「あ、そ」と軽くやり過ごす。
しかし、女子はまだ、
「いろんな女の子車に乗せて、モテるねー」だとか、
そんなことを嫌味ったらしく言っていた。
だからオレは、女子に向かって、言った。
「オレ、女の子ダイスキだから。
どんな女の子でも寒そうにしてりゃ送ってやりたいと思うし、
知ってる女の子なら、好きとか嫌いとか関係無しに
こんな寒い日には車に乗せて送ると思うよ、
よっぽどのことがなければ。
よっぽどのことがなければ、の話ね」
すると女子は、オレに向かって、言った。
「じゃ、アタシも駅まで乗せてって言ったら乗せてくれる?」
だからオレは、その女子に向かって言った。
「だから、よっぽどの事あるヤツは乗せねーんだって」
エリ、平仮名 ヲ 書ク。
2008年2月18日 日常 コメント (4)姪っ子のエリの話。
元「地域を代表するものすごいヤンキー」だった姉の娘、
すなわちオレの姪っ子のエリですが、
そのエリ。
最近、ある程度ひらがなで文字が書けるようになったらしく、
カレンダーとかチラシの裏にですね、
やたらと文字を書きたがるんですよ。
んで、「○○○えり」って、
自分の名前をまだヘタクソな字で書いては
「どう?じょうず?」
なんつって、いちいちオレに見せてくる。
そんなん見せられてオレは、
「あー、じょうずに書けたねー」なんつってるワケですが、
つい先日のこと。
いつものようにカレンダーの裏に文字を書いてたエリにですね、
オレ、
「他の言葉も書けるかな?」
って、そう言ったのですね。
そしたらエリ、当たり前という顔で得意げに
「書けるよー!!」
だからオレ、そんなエリに向かってですね
「じゃ、エリが一番上手に書ける字を書いてみようか」
っつったのですよ。
そしたらエリは、なんだかぐにゃぐにゃの線で
ゆっくり、ゆっくりとなにやらひらがなで文字を書き始めたんですが。
その字が。
その、エリの書いた言葉が。
た・・・
す・・・・・・・・・
「たすけて」
あー、「たすけて」かー。
じょうずに書けたねー、って、ぅおいっ!!
ええええーっ!?
ナゼ「たすけて」!?
ナゼ、「上手に書ける字」っつって「たすけて」と書く!?
も、もしや・・・
姉:「何?何こっちジロジロ見てんの?」
いえいえいえいえ!!
見てねっすよ!!全然見てねっすよ!!
実家や自宅に電話をかけるとき、
男子ならばついつい
「もしもし、オレだけど」
そんなふうに、
自分の名前を名乗らず自分を「オレ」で済ましてしまうことが
多いものですね。
その点でいえば、そういう男子の習性(?)を巧みに利用した
『オレオレ詐欺』というモノを一番最初に考えたヤツは
かなり、頭がイイと思います。
まぁ、その頭の良さをもっとマトモなことに使えって話ですが。
で、その『オレオレ詐欺』。
発生し出してからもうだいぶ経つワケですが、
未だに時々被害に遭う方はいるけれど
ピーク時に比べればその数はかなり減った様子。
それもこれも、警察のみならずTVや新聞などの報道、
銀行などの関係機関、さらには市町村の関係各所などが
繰り返される一連の事件を問題視して
対策にあたった成果なのだと思います。
お年寄りを中心に未だに被害が出る以上、
まだ「じゅうぶん」とは言えないけれど、
その数がだいぶ減ったというのは、
「オレオレに気をつけよう」というその周知がある程度徹底され、
その実情が広く知れ渡った成果なワケで、
これは大変スバラシイことだと思います。
大変スバラシイことだと思うのですが。
しかし。
しかし、だから、こんなことも起こるのです。
昨日のことです。
昨日の夜遅くのことですわ。
時間はすでに夜の11時をまわり、
あと数十分で日付が変る、という時刻のことですわ。
オレの携帯に友人から着信があったのですね。
「出て来い」と。
「飲み屋にいるから今から出て来い」と。
「バカヤロてめー、こちとらもう、おネムの時間だぜ!!」
そんなこと言いつつもオレ、キライじゃないですから。
オレ、酒飲まないクセに飲み会がダイスキですから。
「しょーがねぇな。オレがいねぇと華がねぇからな」
そんなこと言って、飲みに出かけたワケですわ。
で、出かけたワケですが。
飲み屋について早々、オレ、あることが気になりだしたのですね。
「あれ?オレ、ヒーターを消してきたかな・・・」
暖房。
ファンヒーター。
オレ、部屋のファンヒーターを
きちんと消してきたか心配になってきたのです。
「まぁまぁまぁまぁ、そこはちゃんと消してきただろう」
ヒーターのスイッチなどは、
生活の一連の動作の中で無意識のうちに消してるということもあるし。
「ちゃんと消してるはず!!」
オレ、そんなことを考えて強引に不安を打ち消そうとするも、
しかし、その不安は一向に頭から離れない。
ちうかむしろ、時が経つにつれその不安は大きくなるばかりで、
しかも、よりによってそんな時に
「カンカンカンカン」
そんなケタタマシイ音をたてて
店の前を消防車が走っていったりして、
「あ、消防車だ」
「火事?どこで?」
みんなそんなことを言い出すもんだからオレ、
「も、もしや・・・」
そんなことが頭に浮かぶワケです。
『福島市で火事』
『ファンヒーターが何かに引火して全焼』
そんな明日の新聞記事が頭に浮かぶワケです。
そんなもんだからもうオレ、
心配で心配でどうしようもなくなって、
だったら、家に電話してファンヒーターがちゃんと消えてるかどうか、
家の人に確認してみようと思いまして。
で、家に電話してみたワケですが。
これが、なかなか出ない。
電話を鳴らし続けてるんだけど、なかなか出ない。
「え?マジで?」
「さっきの消防車、ウチ!?」
もうオレ、頭の中はマイナスマイナスな方に行っちゃってて
もはや最悪なことしか考えられない。
「煙を吸い込んで親が倒れてるんじゃないか」とか
「無事に逃げられただろうか」とか
「作りかけのガンプラ溶けちゃっただろうか」とか、
そんなことしか頭に浮かばない。
半泣きですわ。
男34にして半泣きですわ。
で、そんな半泣きなオレ、
店を出て、車に向かって走りながら
一度切った電話をもう一度賭け直したら。
「はい、サイトウです」
オヤジの声。
正直、力が抜けましたわ。
「煙、吸い込んでなかった!!」
ホッと安堵のあまり、
無言のままヘナヘナとしゃがみこんでしまいましたわ。
しかし、そこはまだ、安堵しちゃいけない。
早く確認してもらわないと。
急いでオレの部屋のファンヒーターを確認してもらわないと!!
なもんでオレ、少々慌て気味にいつも
電話で言ってるように自分のことを言ったのですね。
「もしもし、オレオレ!!オレだけど!!」
そしたらオヤジ。
「オレオレって、オマエはどこのオレだっ!!」
ガチャッ
ツーツーツーツー・・・・・・
いや、「どこのオレだ?」って訊かれても・・・
オレ、オヤジがオレの電話を
『オレオレ詐欺』だと思ってるとすぐに気がつきましたね。
確かに、オレが悪かった。
つい、いつものように「オレオレ!!」なんて言っちゃって、
きちんと名乗らなかったオレがいけなかった。
だからオレ、電話をすぐにかけなおして、
今度は「もしもし、ゲルタだけど」って電話してみたんです。
そしたらオヤジ、
今度は「おお、どうした?」なんつって。
しかしオヤジは、
ついさっきの「オレ」と名乗った電話の「オレ」が
オレだったとはまだ気付いてないようで、
ちうか、さっきのオレを完全に『オレオレ詐欺』の「オレ」だと
信じて疑わないようで、オレに対して、こんなこと言ってました。
「さっきだけどよ、
今、ほんのちょっと前の話だけどよ、
オレオレーとか言って、オレオレ詐欺がかかってきたんだよ。
バカだよな。
自分の息子の声ぐらい、親ならすぐにわかるってもんだろう?」
・・・・・・
父さん・・・
わかってなかったじゃないか・・・
タイミング ノ 悪イ男。
2008年2月14日 日常 コメント (10)こんばんは。
今日の昼、職場の女子にチョコレートを貰ったゲルタです。
「ゲルタさん、
義理チョコ持ってきましたよ!!
はい、義理チョコ!!
食べてください、義理チョコ!!」
・・・・・・
まったく、義理義理うるせーってのね。
義理であることをそんなに念を押さなくても、
こちとら勘違いしませんよ、っちうのね。
ちうかオレ、最近、あまりにも忙しくて、
今日がバレンタインデーだということをすっかり忘れてましたよ。
本日はバレンタイン。
意中の人に想いを伝えた女子はいますか?
結果はどうあれお疲れ様でした。
会社の男子たちにチョコレートを配った女子の方はいますか?
毎年毎年お疲れ様です。
そして男子の皆さん、チョコはいくつ貰えましたか?
オレは、義理であることをプッシュされたチョコが1つです。
まぁ、本日はそういうワケでバレンタインデーだったワケですが、
そんなバレンタインな本日。
事件発生。
『オレ、バレンタインの告白現場に偶然に居合わせてしまう!!』
や、今日もオレは残業だったのですわ。
夜まで仕事だったのですわ。
で、その残業途中にオレ、ちょっとサボタージュに行ったのですね。
「あー、やってらんねぇ」とか思って、
「こっそり隠れてジュース飲んじゃおう」とか思って、
夜には誰もいなくなる真っ暗な食堂に、
仕事を抜け出してサボタージュに行ったのですね。
で、オレ、
「♪ドゥッビドゥッビドゥビドゥップップー
ドゥッビドゥッビドゥビイェイイェイ」なんつって、
鼻歌交じりで1人、サボタージュに行ったたワケですわ。
鼻歌ミー&マイですわ。ドゥビドゥビですわ。
で、そんなドゥビドゥビなオレが
ドゥビドゥビ言いながら真っ暗な食堂のドアをガチャリと開けたら。
男と女。
ウチの会社の社員(違う部署)である男と女が、
暗い中に向き合って立っている。
女はなんか、小さな紙袋を持って、
男はなんか、気をつけの姿勢みたいになって向き合って立っている。
しかもよく見るとなんだか2人とも神妙な顔つきで、
ナゼか2人とも黙りこくっている。
「♪ドゥッビドゥッビドゥビ・・・?」
ドゥビドゥビなオレ、
「何やってんだ?」とか思ったんですけど、まぁ、
そのまま無視してジュースを買いに自販機に向かったのですね。
で、そしたら、ですよ。
ちうか、その時、ですよ。
女が急に泣き出した。
それでオレは、一瞬にして理解しましたね。
その時、そこで何が行われていたか一瞬で理解しましたね。
「しまった!!
オレ、告白現場に突撃してしまった!!」
突撃ですよ。
「突撃、隣の告白現場」ですよ。
「今、この現場は告白現場で、
あの女の紙袋は、きっと本命チョコだ!!」
しかもアレだぜ?
告白現場っつっても、
雰囲気的にどーみてもダメだった方の現場だぜ?
だって男の方は、
シクシク泣いてる女に向かって「ごめんなさい」とか言ってるし。
確定でしょ。
ダメだった方の現場、確定でしょ。
「うわぁ、なんかオレ、すげぇ気マズイ・・・」
だからオレ、とっととジュースを買って、
その場を離れようとしたワケですわ。
自販機にお金入れて、ボタンを押して、
ジュースを買ってとっととその場を離れようとしたワケですわ。
それなのに。
そういう時に限ってジュースが当たるっ!!
アレですわ!!
なんだか自販機の電光のルーレットがチャカチャカ回るんですわ!!
で、3つの数字がですね!!
「7」
「7」
「7」!!
「オメデトー!!オメデトー!!
好キナドリンクヲ選ンデ、ボタンヲ押シテネ!!」(←喋る自販機)
なんでだよ!!
なんでこういう時に限ってジュースが当たんだよ!!
うっわぁ。
すっげぇ気マズイよー。
だって告白現場だぜ?
しかもダメな方の現場だぜ?
めちゃくちゃ気マズイっつーの!!
ちうかオレ、自販機でジュースが当たんのなんて初めて見たからね?
少なくとも、会社の自販機で当たりが出たの初めて見たからね?
しかもジュースが当たって嬉しいような嬉しくないような?
ジュースが当たんのは嬉しいけど、
だからといって、今じゃなくったっていいじゃない!!
「オメデトー!!オメデトー!!
好キナドリンクヲ選ンデ、ボタンヲ押シテネ!!」
ちうかうるせぇ黙れこの自販機ヤロウ!!
壊れろっ!!
キサマなんぞ1秒で壊れろっ!!
・・・・・・
で、ジュースを当ててしまったおかげで、
その場を妙な雰囲気にしてまったオレ。
「あ、なんかすみません・・・」
謝る他に仕方がなく。
「あ、どうぞどうぞ、
オレのことは気にしないで続けてください」
そういって、オレはその場から逃げ去りましたとさ。
おはようございます。
昨日の夜、紹介を受けてきたゲルタです。
ええ、紹介ですよ。
紹介を受けてきたのですよ。
ちうか、正確に言えば、職場の同僚の友達で
「男を紹介して」と言ってる、22歳の女子に会ってきたのですよ。
で、会ってきたのですが。
まず、結果から言いますと。
無理だ。
だってよー。
なんだかよー。
だってだってなんだもんよー。
や、きっといい子なんだと思うんですよ。
あんましわかんねーけど、きっといい子だと思うのですよ。
見た目ハデだったけど。
携帯とか、いろんなモノでぐっちゃぐちゃにデコレーションされてて
もはや原形をとどめてなかったけど。
ブランド物のバッグに、
スティッチの小さいぬいぐるみがついてたけど。
(それ、勿体無くね?ブランドの価値下げてね?)
そんなことをビシバシ感じさせる女子でしたけど、
それでも、きっといい子なんだと思うのですよ。
しかし!!
「KY」とか言われるとちょっとねー。
いや、オレが言われたんじゃなくて、
いろんな話をする度にですね、「アイツKYだよねー」とか、
その子はそういう言葉を使うのですわ。
オレ、初めて見たもん。
「KY」とかリアルで使ってる人間、初めて目の前で見たもん。
(うっはー!!「KY」ってホントに使うんだー!!)
若干感動すら覚えたもん。
で、オレ、さすがに「KY」の意味くらいは知ってるから、
「あー、KYねー」なんつってテキトーに合わせてたんだけど、
そのうちさ、その「KY」がさ、
今度は「CKY」とかって「KY」の前に「C」がついたりすんの。
(「CKY」の「C」って何!?)
「CKY」の「KY」は解るよ?「空気が読めない」でしょ?
じゃ、その前についてる「C」は!?
訊いたら、「チョー」なんですって。
つまり「CKY」は「チョー空気が読めない」ってことで。
まったくアホかっちうのね!!
だいたいよ、
「シー」って発音すんのも
「チョー」って発音すんのも
語感的にはたいして変りはないんだから
わざわざアルファベットに直す必要ねぇだろってのね!!
しかもそのうちさ、
今度は「KYB」なんてのが出てきてさ。
「KY」の後ろに「B」がついちゃったりしてさ。
「B」って何!?
え?何?ボッキ!?
まぁ、他にも「JK」だとか「LL」だとか
いろんなアルファベットが彼女の口からは出ましてね。
全然わかんねぇ。
さっぱりわかんねぇ。
だいたい、オレが知ってる「LL」はLLブラザーズだけだからね。
まぁ、そんな感じでオレ、だいぶ萎えまして。
だいぶヤラレまして。
途中からもう、
(うわー、早く帰りてぇ。早く帰ってデスノート観てぇ)
とか、そんなん思ってた、っちうか、
そんな「K」をオレのまわりに放出してたつもりだったんですけど。
あの子は、
そんな、オレがその場に出してる「K」を「Y」だったようで。
帰りにアドレスなんか訊かれちゃったから教えたら、
今朝の4時ごろにメールなんかよこしやがって。
しかも、そのメールの内容が。
「もう寝ちゃった?」
悪ぃんだけど、大方の人は寝てる時間だから。
申し訳ないんだけど、無理です。